科学技術の分野における協力に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定
科学技術の分野における協力に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定
日本国政府及び中華人民共和国政府は、
両国間の友好協力関係が、千九百七十八年八月十二日に北京で署名された日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の基礎の上に発展していることを想起し、
科学技術の分野における両政府間の協力が、両国間の友好協力関係を一層強固にし、かつ、両国の経済及び社会の発展に資することを信じ、
この協力を促進することを目的として、
次のとおり協定した。
第一条 1 両政府は、平等及び互恵の原則の基礎の上に科学技術の分野における両政府間の協力を発展させ、かつ、促進する。
2 1の協力は、次の形態により行うことができる。
(1) 科学者及び技術者の派遣及び受入れ
(2) 両国の科学者及び技術者が参加する討論会、セミナー等の会合の開催 (3)共同研究の実施
(4) 科学技術に関する情報の交換
(5) 両政府間で合意することがあるその他の形態
第二条 この協定に基づく特定の協力活動の細目及び手続を定める実施取極は、両政府又は両政府の機関のいずれか適当なものを当事者として行うことができる。
第三条 1 両政府は、この協定の目的を達成するため、両政府の代表者から成る日中科学技術協力委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、外交上の経路を通じて定められる日に、日本国及び中華人民共和国において交互に会合する。
2 委員会は、次の任務を有する。
(1) この協定の実施に関連する主要な科学技術の政策事項を討議すること。
(2) この協定の協力計画その他この協定の実施について必要な勧告を両政府に対して行うこと。
(3) この協定の実施状況を検討すること。
3 委員会の会合が開催されていない間、委員会の2に掲げる事項に関する連絡は、外交上の経路を通じて行われる。
4 専門部会が、必要に応じ、委員会の全般的な指導の下に設置される。専門部会は、特定の分野における協力を調整し、及び推進する任務を有する。
第四条 両政府は、両国の各種団体及び機関並びに個人の間の科学技術協力をできる限り支持し、かつ、促進する。
第五条 各政府は、他方の国の国民に対し、この協定に基づく活動の遂行に必要な便宜を与える。
第六条 この協定は、各国の関係法令に従って実施される。
第七条 1 この協定は、署名の日に効力を生ずる。
2 この協定は、二年間効力を有するものとし、その後は、3の規定に定めるところによって終了するまで効力を存続する。
3 いずれの一方の政府も、六箇月前に他方の政府に対して文書による予告を与えることにより、最初の二年の期間の満了の際又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。
4 この協定の終了は、第二条にいう実施取極に従って行われ、かつ、この協定の終了の時までに履行を完了していないいかなる計画の実施にも影響を及ぼすものではない。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
千九百八十年五月二十八日に東京で、ひとしく正文である日本語及び中国語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 大来佐武郎
中華人民共和国政府のために 黄 華