商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の交換公文
商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、ザイールの債務者が負担する商業上の債務についてとられる救済措置に関し、千九百七十七年七月六日及び七日並びに千九百七十七年十一月三十日及び十二月一日にパリで開催されたザイール共和国行政評議会の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議において到達した了解に基づいて、日本国政府の代表者とザイール共和国行政評議会の代表者との間で到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(a) この取極は、一方においてザイール共和国の行政評議会、国営企業及び民間企業(以下「債務者」という。)と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で千九百七十六年一月一日前に契約され、日本国政府が輸出保険を引き受けた商業上の債務であつて、千九百七十七年一月一日から千九百七十七年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもののうち、弁済期間が一年を超えるものの元本及び利子の総額に適用される。
(b) この取極が適用される商業上の債務の総額は、三百六十二万二千百四十二合衆国ドル十セント(三、六二二、一四二・一〇合衆国ドル)と見積もられる。
(c) (b)にいう商業上の債務の総額は、日本国政府及びザイール共和国行政評議会の関係当局が最終的検討を行った後に同関係当局間の合意により若干の修正を行うことができる。
2(a) ザイール共和国行政評議会は、1(a)にいう商業上の債務の決済のため(d)及び(e)に掲げる支払計画に従って行われる支払の額及び支払日を日本国政府に通告する。
(b) ザイール共和国行政評議会は、1(b)にいう商業上の債務の総額が(d)及び(e)に掲げる支払計画に従い関係契約により指定された通貨によってザイール銀行を通じて債権者に支払われることを保証する。
(c) 日本国政府は、商業上の関係債務が(d)及び(c)に掲げる支払計画に従って決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(d) 1(b)にいう商業上の債務の総額の十五パーセントと債務者が債権者に既に支払った三十六万二千二百十三合衆国ドル二セント(三六二、二一三・二合衆国ドル)との間の差額である十八万千百八合衆国ドル三十セント(一八一、一〇八・三〇合衆国ドル)は、千九百八十年十月三十一日に支払われる。
(e) 1(b)にいう商業上の債務の総額の八十五パーセントは、千九百八十一年六月三十日から始まる半年ごとの十二回均等分割払による支払計画に従って支払われる。
3(a) 2(d)及び(c)に掲げる支払計画に従って決済される商業上の関係債務について当初の弁済期限より適用される利子率は、年八パーセントとし、かつ、ザイール共和国行政評議会は、債権者に対し、弁済期限が到来している商業上の関係債務について、その債務が決済されていない限り、前記の利子率により算定された利子を2(d)及び(c)に定める各支払日に支払う。
(b) 当初の弁済期限が到来した後で、かつ、この取極が効力を生ずる前に決済された商業上の関係債務(その額は、2(d)に掲げるとおり三十六万二千二百十三合衆国ドルニセント(三六二、二一三・二合衆国ドルである。)に関しては、ザイール共和国行政評議会は、債権者に対し、当該債務の当初の弁済期限の翌日から決済日までの期間(両期日を含む。)に関し当該債務について、(a)に定める利子率により算定された利子を千九百八十年十月三十一日に支払う。
(c) 商業上の関係債務の支払が2(d)及び(c)に掲げる支払計画に従って行われない場合には、(a)に定める利子率は、遅滞期間の未払金について、年一パーセントの割増しが行われる。ただし、遅滞期聞が十五日を超えない場合には、利子率の割増しは、行われない。
4 ザイール共和国行政評議会は、商業上の関係債務の決済に必要な銀行手数料を支払う。
5 2、3及び4の規定にかかわらず、債務者が一定の商業上の債務についてザイール共和国において必要とされる措置をとらなかった場合には、ザイール共和国行政評議会は、その債務が関係契約に従って債務者と債権者との間で決済されることをザイール共和国にかいて施行されている関係法令の範囲内で容易にし、かつ、その契約により指定された通貨による関係債務の決済のための送金の自由を保証する。
6 ザイール共和国行政評議会は、商業上の関係債務の基因となった契約の条件のうちこの取極に特に言及されていないものは、関係契約当事者問で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き変更されないことを確認する。
7 ザイール共和国行政評議会は、日本国以外の国に対して1(a)にいう商業上の債務と同種の債務の繰延べについて2(d)及び(c)に定める条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国に与えられる条件より不利でない条件を日本国の居住者である関係債権者に直ちに与える。
 本使は、更に、この書簡及び前記のことをザイール共和国行政評議会に代わって確認される閣下の返簡が日本国政府とザイル共和国行政評議会との間の合意を構成し、かつ、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとみなすことを提案する光栄を有します。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百八十年九月十六日にキンシャサで
 日本国特命全権大使 大嶋鋭男
 大蔵大臣 ナムウィシ・マ・コイ閣下
(ザイール側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、ザイール共和国行政評議会に代わって、前記のことがザイール共和国行政評議会の了解でもあることを確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡がザイール共和国行政評議会と日本国政府との間の合意を構成し、かつ、その合意がこの書簡の日付の日に効力を生ずるものとみなすことに同意する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百八十年九月十六日にキンシャサで
 大蔵大臣 ナムウィシ・マ・コイ
 日本国特命全権大使 大嶋鋭男閣下