漁業に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の交換公文
漁業に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の交換公文
漁業に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本官は、両国間の漁業の問題に関して最近日本国政府の代表者とフランス共和国政府の代表者との間で行われた討議に言及するとともに、両政府間で到達した次の合意を日本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
1 フランス共和国領土の地先沖合の経済水域に関する千九百七十六年七月十六日付けの法律並びに千九百七十八年二月三日付けの政令第七八一一四二号、第七八一一四三号、第七八一―四五号、第七八一一四六号及び第七八年一一四七号により設定され、フランス共和国の漁業管轄権の下にある表に掲げる水域(以下「水域」という。)における日本国の国民及び母船する漁獲は、この取極に従つて行われる。
(1) ニュー・カレドニア及び附属の諸島の水域
(2) フランス領ポリネシアの水域
(3) ワリス及びフトゥナ諸島の水域
(4) トロムラン島、グロリューズ島、ジュアン・ド・ノヴァ島、ヨーロッパ島及びバッサ・ダ・インディア島の水域
(5) クリッパートン島の水域
2 フランス共和国の権限のある当局は、漁獲料金の事前の支払を条件として、関係水域において日本国の漁船が漁獲を行うための一年間有効な許可証を発給する。
3 (1)日本国政府は、日本国のいかなる漁船もこの取極の規定に従つた許可証を取得しない限り水域において漁獲を行わないことを確保するため、並びに許可証を取得した日本国の漁船が漁業に関するフランス共和国の関係法令、特に千九百七十八年九月十九日付けの政令第七八一九六三号、この取極の規定及び許可証に定められた条件を遵守することを確保するため、日本国の法令に従い、適当な措置をとる。
(2) フランス共和国政府は、1にいうフランス共和国のすべての関係法令及び許可証に定められた条件をあらかじめ、日本国政府に通報する。
4 フランス共和国の権限のある当局日本国の漁船が拿捕され又は日本国の漁船の乗組員が逮捕されたときは、外交上の経費を通じて日本国政府に対し速やかに通報する。
5 両政府は、いずれか一方の政府の要請に基づき、この取極の適用に関し協議を行う。
6 この取極は、千九百七十九年七月二十日から一年間適用される。この取極は、その後は、いずれか一方の政府が少なくとも一箇月前に文書によつて行う報告をもつてこの取極を終了させるまで引き続き効力を有する。
本官は、貴官が前記の合意をフランス共和国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに貴官に向かつて敬意を表します。
千九百七十九年七月二十日にパリで
フランス駐在日本国大使 大嶋鋭男
外務省経済局全権公使 ベルナール・ギトン閣下
(フランス側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日付けの貴官の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本官は、更に、貴官の書簡に述べられた合意をフランス共和国政府に代わつて確認する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十九年七月二十日にパリで
外務省経済局全権公使 ベルナール・ギトン
フランス駐在日本国大使 大嶋鋭男閣下
漁業に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の交換公文に関する合意された議事録
日本国政府の代表者及びフランス共和国政府の代表者は、千九百七十九年七月二十日付けの交換公文によつて行われた取極(以下「取極」という。)を考慮して、次のとおり合意した。
1千九百七十九年七月二十日から千九百八十年四月十九日までの期間における日本国の漁船による漁獲について、許可される漁獲量、一キログラム当たりの漁獲料金、事前に支払うべき漁獲料金の総額及び漁獲を許可される日本国の漁船の最大隻数は、次のとおりとする。
漁業に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の交換公交に関する合意された議事録
日本国政府の代表者及びフランス共和国政府の代表者は、千九百七十九年七月二十日付けの交換公交によつて行われた取極(以下「取極」という。)を考慮して、次のとおり合意した。
1 千九百七十九年七月二十日から千九百八十年四月十九日までの期間における日本国の漁船による漁獲について、許可される漁獲が、一キログラム当たりの漁獲料金、事前に支払うべき漁獲料金の総額及び漁獲を許可される日本国の漁船の最大隻数は、次のとおりとする。
(注)(1) 漁獲料金は、取極の1に掲げる水域の関係当局との漁業に関する協力の状況のより減額されることがある。
(2) 漁獲日数は、日本国の漁船が、はえなわ漁船については一日当たり平均一・二トン、及び一本釣り漁船については一日当たり平均四・二トンの漁獲を行うものとして算定する。
2 両政府の権限のある当局は、千九百八十年四月二十日から千九百八十年七月十九日までの期間及び千九百八十年七月二十日以後の期間につき、取極の1に掲げる水域における日本国の国民及び漁船による漁獲の条件に関し双方の合意する日に協議を行う。
3(1) 日本国の国民が許可証を申請する水域別の漁船の名簿は、在日本国フランス大使館に提出する。
(2) 取極の2の規定にかかわらず、フランス共和国の権限のある当局は、千九百七十九年七月二十日から千九百八十年四月十九日までの期間有効な許可証を発給する。
(3) (1)にいう名簿に記載された日本国の漁船については、フランス共和国の権限ある当局が許可証の発給に同意する旨の通知を行った日から四十五日間は、許可証を船上に保持する義務を暫定的に免除される。
4 フランス共和国の視察員、フランス共和国の権限ある当局の要請に基づき、日本国の漁船に乗船することができるものとし、また、これらの視察員には、船室及び食事が提供されるものとする。
5(1) 取極の1に掲げる水域において漁獲を行う日本国の漁船は、テレックス又は無線により、フランス共和国の規則によつて定められた通報の方式に従い、フランス共和国の権限のある当局に対し入域及び出域並びに漁獲について通報する。
(2) 取極の1に掲げる水域への入域についての通報は、フランス共和国の権限のある当局に対し、入域との予定時刻までに行わなければならず、また、同水域からの出域についての通報は、遅滞なく行わなければならない。更に、漁獲についての通報は、一週間ごとに行わなければならない。
6 日本国の漁船が取極の1に掲げる水域において捕獲した漁獲物の転載を行う場合には、この転載は、フランス共和国の権限のある当局の監督の下に、港又は当該当局によつて指定された領海において行われるものとする。
7 日本国の漁業団体であつて、それに所属する漁船が許可証を取得したものは、責任を有する代理人を、ニュー・カレドニア及び附属の諸島並びにワリス及びフトゥナ島については、ヌメアに、フランス領ポリネシアについては。パペーテに、並びにその他の領域すなわちトロムラン島、グロリユージ島、ジュアム・ド・ノヴァ島、ヨーロッパー島、バッサ・ダ・インディア島及びクリッパートン島についてはパリに、それぞれ指定する。
8 日本国政府は、フランス共和国政府に対し、取極の1に掲げる水域において行われた毎月の漁獲に関する統計資料を毎年提供する。これらの統計は、月別、水域別及び船種別に作成されるものとし、次のものを含む。
(1) トンで表示される魚種類の漁獲量
(2) 水域内の平均漁船数
(3) はえなわ漁船についてはつり針の数、及び一本づり漁船についてはつりざおの数
(4) 漁獲区画(はえなわ漁船については五度を一辺とする区画、及び一本づり漁船については一度を一辺とする区画)
9 1の表に掲げる漁獲料金の総額は、フランス共和国の権限のある当局に支払われるものとする。この漁獲料金は、3にいう漁船の名簿が提出される際に日本国の漁業団体によつて支払われる。
10 漁業に関する民間の協力は、日本国政府により、特にフランス領ポリネシアにおいて双方の利益のために奨励される。
千九百七十九年七月二十日にパリで
日本側代表団長 大嶋鋭男
フランス側代表団長 ベルナール・ギトン