ザイール共和国の商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国政府との間の交換公文
ザイール共和国の商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、ザイールの債務者が負担する商業上の債務についてとられる救済措置に関し、千九百七十六年六月十五日及び十六日にパリで開催されたザイール共和国行政評議会の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議において到達した了解に基づいて日本国政府の代表者とザイール共和国行政評議会の代表者との間で到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(a) この取極は、一方においてザイール共和国の行政評議会、国営企業及び民間企業(以下「債務者」という。)と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で千九百七十六年一月一日前に契約され、日本国政府が輸出保険を引き受けた商業上の債務であつて千九百七十五年一月一日から千九百七十六年十二月三十ー日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもののうち、弁済期間が一年を超えるものの元本及び利予の総額に適用される。
(b) この取極が適用される商業上の債務の総額は、次のとおりと見積もられている。
(i) 千九百七十五年一月一日から千九百七十六年六月三十日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来した元本及び利子の総額は、二百三十六万六千四百十六合衆国ドル六十五セント(二、三六六、四一六合衆国ドル六五セント)である。
(ii) 千九百七十六年七月一日から千九百七十六年十二月三十ー日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来した元本の総額は、百四十三万二千五百四合衆国ドル二十八セント(一、四三二、五〇四合衆国ドル二八セント)である。
(c) (b)にいう商業上の債務の総額は、日本国政府及びザイール共和国行政評議会の関係当局が最終的検討を行つた後に同関係当局間の合意により若干の修正を行うことができる。
2(a) ザイール共和国行政評議会は、(d)及び(e)に掲げる支払計画に従つて1(b)にいう商業上の債務の決済のために支払われる債務の額及び支払日を債務者が債権者に通告するよう必要な措置をとる。
(b) ザイール共和国行政評議会は、1(b)にいう商業上の債務の額が(d)及び(e)に掲げる支払計画に従い関係契約により指定された通貨によつてザイール銀行を通じて債権者に支払われることを保証する。
(c) 日本国政府は、商業上の関係債務が、(d)及び(e)に掲げる支払計画に従つて行われる支払によつて決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(d)(i) 1(b)(i)にいう総額の十五パーセントは、次の支払計画に従つて支払われる。
千九百七十七年七月三十一日七・五パーセント
千九百七十八年七月三十一日七・五パーセント
(ii) 1(b)(ii)にいう総額の十五パーセントは、次の支払計画に従つて支払われる。
千九百七十七年七月三十一日七・五パーセント
千九百七十八年七月三十一日七・五パーセント
(e)(i) 1(b)(i)にいう総額のうち千九百七十五年一月一日から千九百七十五年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来した元本及び利子の八十五パーセントは、千九百七十八年四月三十日から始まる半年ごとの十四回均等分割払による支払計画に従つて支払われる。
(ii) 1(b)(i)にいう総額のうち千九百七十六年一月一日から千九百七十六年六月三十日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来した元本及び利子の八十五パーセント及ぴ1(b)(ⅱ)にいう元本の総額の八十五パーセントは、千九百七十九年四月三十日から始まる半年ごとの十四回均等分割払による支払計画に従つて支払われる。
3 2(d)及び(e)に掲げる支払計画について適用される利子率は、年八パーセントとし、かつ、ザイール共和国行政評議会は、債権者に対し、弁済期限が到来している商業上の関係債務のいかなる額についても、その債務が決済されていない限り、前記の利予率により算定された利子を2(d)及び(e)に定める各支払日に支払う。
4 ザイール共和国行政評議会は、商業上の関係債務の決済に必要な銀行手数料を支払う。
5 2、3及び4の規定にかかわらず、債務者が一定の商業上の債務についてザイール共和国において必要とされる措置をとらなかつた場合には、ザイール共和国行政評議会は、その債務が、関係契約に従つて債務者と債権者との間で決済されることを、ザイール共和国において施行されている関係法令の範囲内で容易にし、かつ、その契約により指定された通貨による関係債務の支払のための送金の自由を保証する。
6 ザイール共和国行政評議会は、商業上の関係債務の基因となつた契約の条件のうちこの書簡に特に言及されていないものは、関係契約当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き変更されないことを確認する。
7 ザイール共和国行政評議会は、日本国以外の国に対して1にいう商業上の債務と同種の債務の繰延べについて2(d)及び(e)に定める条件より有利な条件を与えた場合は、これより不利でない条件を日本国の居住者である関係債権者に直ちに与える。
本大臣は、更に、この書簡及び前記のことをザイール共和国行政評議会に代わつて確認される閣下の返簡が日本国政府及びザイール共和国行政評議会の間の合意を構成し、かつ、その合意は、閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとみなすことを提案する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十七年四月八日に東京で
外務大臣に代わつて 中近東アフリカ局長加賀美秀夫
ザイール共和国特命全権大使 カペラ・キンドゥエル閣下
(ザイール側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本使は、更に、ザイール共和国行政評議会に代わつて、前記のことがザイール共和国行政評議会の了解でもあることを確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡が、ザイール共和国行政評議会及び日本国政府の間の合意を構成し、かつ、その合意は、この書簡の日付の日に効力を生ずるものとみなすことに同意する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十七年四月八日に東京で
ザイール共和国特命全権大使 カペラ・キンドゥエル
日本国外務大臣 鳩山 威一郎閣下