海運業及び航空運輸業の所得にする課税の相互免除に関する日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の交換公文
海運業及び航空運輸業の所得にする課税の相互免除に関する日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、船舶又は航空機を国際運輸に運用することから生ずる所得に対する二重課税を回避するため、日本国政府とアルゼンティン共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を日本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
1 日本国政府は、千九百六十二年の日本国法律第百四十四号に従い、相互主義に基づき、船舶又は航空機による国際運輸業から生ずるアルゼンティンの企業の所得又は利得について、所得税及び法人税を免除する。
2 アルゼンティン共和国政府は、相互主義に基づき、船舶又は航空機による国際運輸業から生ずる日本国の企業の所得又は利得について、収益税を免除する。
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(a) 1にいう「アルゼンティンの企業」とは、アルゼンティン共和国政府、アルゼンティンの租税に関しアルゼンティン共和国の居住者であり、かつ、日本国の租税に関し日本国の居住者でない個人(死亡した個人の未分割の財産がアルゼンティンの租税に関し個人として取り扱われる間、すなわち、相続人の宣告が行われるか又はこれと同一の目的を果たす遺言書が有効であると宣言されるまでの間における当該財産を含む。)又はアルゼンティン共和国内に本店若しくは主たる事務所を有する法人(アルゼンティンの租税に関し法人として取り扱われる団体を含む。)をいう。
(b) 2にいう「日本国の企業」とは、日本国政府、日本国の租税に関し日本国の居住者であり、かつ、アルゼンティンの租税に関しアルゼンティン共和国の居住者でない個人又は日本国内に本店若しくは主たる事務所を有する法人(日本国の租税に関し法人として取り扱われる団体を含む。)をいう。
(c) 1及び2にいう「船舶又は航空機による国際運輸業」とは、日本国の港若しくは空港とアルゼンティン共和国の港若しくは空港との間又は日本国若しくはアルゼンティン共和国の港若しくは空港と第三国の港若しくは空港との間において、人、貨物又は郵便物を運送する事業をいう。
(d) 1及び2にいう所得又は利得には、(a)及び(b)にいう企業であつて船舶又は航空機による国際運輸業に従事するものが船舶又は航空機による国際運輸業のために船舶又は航空機を賃貸することから生ずる所得又は利得を含む。
4 この取極局は、日本国政府がアルゼンティン共和国政府からその憲法上の所要の手続を完了した旨の文書による通告を受けた日に効力を生ずる。
1及び2に定める租税の免除は、千九百七十四年一月一日以後に開始する各課税年度について適用する。
この取極は、いずれか一方の政府が、他方の政府に対し文書による六箇月の予告を与えることにより、この取極を廃棄する場合に効力を失う。
5 千九百六十一年十二月二十日に東京で行われた書簡の交換によつて取り決められた海運業所得に対する二重課税の回避に関する日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の取極は、この取極が適用される各課税年度について効力を失う。
本使は、更に、閣下が前記の了解をアルゼンティン共和国政府に代わつて確認されるよう要請する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十五年十二月二十九日にブエノス・アイレスで
特命全権大使 近藤四郎
アルゼンティン共和国外務宗務大臣
マヌエル・アラウス・カステックス閣下
書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、スペイン語による訳文が次のとおりである本日付けの閣下の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、前記書簡に述べられている了解をアルゼンティン共和国政府に代わつて確認するとともに、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十五年十二月二十九日にブエノス・アイレスで
アルゼンティン共和国外務宗務大臣
マヌエル・アラウス・カステックス
特命全権大使 近藤四郎閣下