ラオス外国為替操作基金に対する日本国政府の(千九百七十五年度)拠出に関する日本国政府とラオス暫定国民連合政府との間の交換公文
ラオス外国為替操作基金に対する日本国政府の(千九百七十五年度)拠出に関する日本国政府とラオス暫定国民連合政府との間の交換公文
(ラオス側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、ラオス暫定国民連合政府が国際通貨基金と協議の上千九百六十三年十二月二十四日にオーストラリア政府、連合王国政府、アメリカ合衆国政府及びフランス政府との間の同日付けの交換公文により発足させ、かつ、千九百六十五年四月七日付けの交換公文により日本国政府が参加した安定計画に言及する光栄を有します。
 ラオス暫定国民連合政府は、千九百七十五年において安定計画を継続するため、次のような特定の措置をとることを約束する。
I A ラオス暫定国民連合政府は、目的達成のために必要な財政措置を緊急にとることにより、千九百七十五暦年の国庫実績赤字額を、為替取引税による収入がある場合にはこれを考慮しつつ、二百九億キープの枠内に制限する。この目的のため、ラオス暫定国民連合政府は、千九百七十四-千九百七十五会計年度の間、予算赤字を二百三十九億キープに制限し、更に、千九百七十五-千九百七十六会計年度の予算赤字を百八十億キープに制限することを予定する。ラオス暫定国民連合政府は、千九百七十四-千九百七十五会計年度の為替取引税による収入が見積額たる六十六億キープを超える場合には、この収入超過分に見合う額だけ予算赤字を引き下げることに同意する。
B ラオス暫定国民連合政府は、支出枠の上限を超えることがないようにするため、その約束及び支出について効果的な管理を行う。
C ラオス暫定国民連合政府は、千九百七十五年六月三十日以前に、千九百七十五-千九百七十六会計年度についてのキープ建て総合予算及び同予算に関連する外貨建て予算を作成するために必要な措置をとる。ラオス暫定国民連合政府は、他の拠出諸政府に対し、このためにとられた措置及び実施状況を通報する。
D ラオス暫定国民連合政府は、徴税の基礎を拡大し、現行の租税の完全な徴収を確保し、かつ、すべての収入を直ちに国庫に納入することを保証するため、一層の努力を行う。ラオス暫定国民連合政府は、各四半期ごとの徴税が予測額に達しない場合には、徴税額を増加するために適切な措置をとる。徴税額が歳入予算額を超過する場合には、超過分は、予算赤字を減少するため又は開発支出の資金として使用される。
II ラオス暫定国民連合政府は、通貨量の増大を抑制するため政府及び民間の信用に対して実施された管理に関して他の拠出諸政府に説明し、かつ、国民経済健全化政策に沿つて今後とられる措置を他の拠出諸政府に報告する。
III A ラオス暫定国民連合政府は、外貨の収入及び支出の管理を行うため、外貨によるすべての取引に関する外貨建て予算勘定を引き続き設定する。為替に関する法令は、すべての公式な為替取引の管理及び会計の責任を負う国家為替局により適用される。
B ラオス暫定国民連合政府及びラオス国立銀行は、外貨建て予算を通じて、かつ、為替に関する法令の規定に従つてのみ外貨を取得し又は支出し得る。国営企業及び公社についてもその中期及び長期の対外債務返済に関しては同様とされる。
C ラオス暫定国民連合政府は、外国為替の公認市場を維持する。
 本大臣は、公認市場の正常な機能の維持を援助するため、貴国政府がラオス暫定国民連合政府とともにラオス外国為替操作基金に参加されることを要請するとともに、次の提案を行う光栄を有します。
IV A ラオス暫定国民連合政府の代表者、ラオス外国為替操作基金の管理者、国際通貨基金の常駐代表者及び他の各拠出政府のそれぞれ一名の代表者を構成員とする安定協議委員会が設置される。
B 安定協議委員会は、安定計画の良好な実施を確保することができるように、安定計画の進ちよく状況を毎月検討する任務を有し、並びに予算局、国家為替局、外貨配分委員会、ラオス国立銀行及びラオス外国為替操作基金の管理者から、各月の操作状況に関する文書による報告をその月の末から遅くとも二十日以内であつて、かつ、月例会議の少なくとも二日(平日)前までに受領する。安定協議委員会は、拠出諸政府及び外国為替操作基金の管理者に対し、安定計画の進ちよく状況及びその実施を改善する手段に関する勧告を行う。
V ラオス暫定国民連合政府は、日本国政府が、現拠出諸政府以外の政府による外国為替操作基金への拠出を歓迎することに留意し、現拠出諸政府以外の政府に対し、新規の拠出を行うよう積極的に勧誘する意向を有する。
VI この取極のいずれか一方の当事者が、取極に定められている約束を履行しえないと考えるに至つた場合には、他方の当事者と直ちに協議を行う。
VII この取極は、双方の合意により改正することができる。
VIII いずれか一方の当事者は、両政府間の協議を経てこの取極を終了させることができる。
 ラオス暫定国民連合政府は、これらの約束及び提案が日本国政府によつて受諾されることを示す返簡を受領したときに、この書簡及び貴官の返簡が貴官の返簡の日付の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものと認めます。
 ラオス暫定国民連合政府は、貴国政府がこの計画の実現のために協力をよせられたことを感謝し、また、本大臣は、この機会に本大臣の謝意を貴官に表明することを特に幸いとするものであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴官に向かつて敬意を表します。
 千九百七十五年七月十五日にヴィエンチャンで
 ラオス暫定国民連合政府 外相代理
プーン・シパスート
 ラオス駐在日本国臨時代理大使 西山健彦殿
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(ラオス側書簡)
 本官は、前記の約束及び提案が日本国政府にとつて受諾し得るものであり、したがつて閣下の書簡及びこの返簡が本日効力を生ずる両政府間の合意を構成することに日本国政府が同意すること並びに日本国政府は、千九百七十五年において、国家予算で承認された資金の範囲内で、ラオス外国為替操作基金に対し拠出を行う意向を有することを閣下に通報する光栄を有します。
 本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百七十五年七月十五日にヴィエンチャンで
 ラオス駐在日本国臨時代理大使 西山健彦
 ラオス暫定国民連合政府 外相代理
プーン・シパスート閣下