日本国政府とフランス共和国政府との間の科学技術協力協定
日本国政府とフランス共和国政府との間の科学技術協力協定
 日本国政府及びフランス共和国政府は、
 千九百五十三年五月十二日に署名された日本国とフランスとの間の文化協定が科学技術分野における交流をも対象とするものであることを考慮するとともに、
 他方において、両国間の科学技術協力の重要性が増大していることに留意し、かつ、この協力が日仏協力全体の中でふさわしい地位を占めることを希望し、
 この交流を相互主義の基礎の上に発展させることを希望して、
 次のとおり協定した。
第一条
 両政府は、科学技術分野における両国間の協力を発展させる。この協力は、双方の共通の利益であると認められる科学技術の諸部門において、日本国及びフランスの政府機関又は政府の監督する機関の間で行われる。協力部門の選択は、科学技術分野における各国の優先度を考慮に入れるものとする。
第二条
 科学技術協力は、特に、次の方法によつて実施される。
(a) 科学者及び技術者の交流
(b) 両国の科学者及び技術者が参加する討論会、セミナー等の会合のいずれか一方の国における開催
(c) 共同研究計画及び共同出版の実施
(d) 科学技術に関する情報の交換
第三条
1 この協定の目的を達成するため、日仏科学技術協力混合委員会(以下「委員会」という。)が設置される。委員会は、外交上の経路を通じて定める日に、日本国及びフランスにおいて交互に会合する。
2 専門部会が、必要に応じ、委員会の管轄の下に設置される。専門部会は、特定の部門における協力を調整し、及び推進する任務を有する。
第四条
1 委員会は、次の任務を有する。
(a) 科学技術協力に関する重要な問題に関し、意見の交換を行うこと。
(b) この協定の実施状況を検討すること。
(c) 協力計画を作成し、両政府に提案すること。
(d) 科学技術協力の発展を確保するための具体的措置を、必要に応じ、両政府に提案すること。
2 委員会は、両国間の文化協定に基づいて設置されている混合委員会に対してその活動を通報する。
第五条
 この協定に基づく活動に関する手続及び技術的な事項を規定することを目的とする実施取極を日本国及びフランスの政府機関又は政府の監督する機関の間において締結することができる。
 委員会は、これらの取極及びその実施について定期的に通報を受ける。
第六条
 委員会の会合が開催されていない期間中のこの協定の実施のための両政府間の連絡は、外交上の経路を通じて行われる。
第七条
 各政府は、他方の国の国民に対し、この協定に基づく活動の遂行に必要な便宣を与える。
第八条
 この協定のいかなる規定も、両政府間の協力に関する現行の又は将来の取極に影響を及ぼすものと解してはならない。
第九条
 この協定は、各国の法令に従つて実施される。
第十条
1 この協定は、署名の日に効力を生ずる。
2 この協定は、二年間効力を有するものとし、暗黙の更新により二年ごとに更新される。
 もつとも、いずれの一方の政府も、三箇月の書面による予告をもつて、この協定を終了させることができる。
 千九百七十四年七月二日に東京で、ひとしく正文である日本語及びフランス語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
大平正芳
 フランス共和国政府のために
F・ド・ラブレー