ラオス外国為替操作基金に対する日本国政府の千九百七十二年度拠出に関する日本国政府とラオス王国政府との間の交換公文
ラオス外国為替操作基金に対する日本国政府の千九百七十二年度拠出に関する日本国政府とラオス王国政府との間の交換公文
(ラオス側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、ラオス王国政府が国際通貨基金と協議のうえ千九百六十三年十二月二十四日にオーストラリア政府、連合王国政府、合衆国政府及びフランス政府との間の同日付けの交換公文により発足させ、かつ、千九百六十五年四月七日付けの交換公文により日本国政府が参加した安定計画に言及する光栄を有します。
 ラオス王国政府は、千九百七十二年において安定計画を継続するため、次のような特定の措置をとることを約束する。
IA ラオス王国政府は、目的達成のために必要な財政措置を緊急にとることにより、千九百七十二暦年の国庫実績赤字額を百四十二億キープの枠内に制限する。この目的のため、ラオス王国政府は、千九百七十一-千九百七十二会計年度の間、予算赤字を百五十億キープに制限し、さらに、千九百七十二-千九百七十三会計年度の予算赤字を百四十五億キープに制限することを予定する。
B ラオス王国政府は、支出枠の上限をこえることがないようにするため、支出について効果的な管理を行なう。
C ラオス王国政府は、千九百七十二年六月三十日以前に、千九百七十二-千九百七十三会計年度についてのキープ建て総合予算及び同予算に関連して外貨建て予算を作成するために必要な措置をとる。ラオス王国政府は、他の拠出諸政府に対し、このためにとられた措置及び実施状況を通報する。
D ラオス王国政府は、徴税の基礎を拡大し、現行の租税の完全な徴収を確保し、かつ、すべての収入を直ちに国庫に納入することを保証するため、一層の努力を行なう。徴税額が歳入予算額を超過する場合には、超過分は、予算赤字を減少するため又は開発支出の資金として使用される。
E ラオス王国政府は、他の拠出諸政府が、国家予算の編成及び運用について援助を行なう専門家を引き続き同国政府に派遣することに同意する。
II ラオス王国政府は、国民経済健全化政策に沿い政府及び民間の信用を適切に規制することによつて通貨量の増大を抑制する。
IIIA ラオス王国政府は、外貨の収入及び支出の管理を行なうため、外貨によるすべての取引について外貨予算に関する勘定を設定し、維持する。為替に関する法令は、すべての公式な為替取引の管理及び会計の責任を負う国家為替局により適用される。
B ラオス王国政府及びラオス国立銀行は、外貨建て予算を通じて、かつ、為替に関する法令の規定に従つてのみ外貨を取得し又は支出しうる。国営企業及び公社についてもその中期及び長期の対外債務返済に関しては同様とされる。しかしながら、困難が生じた場合には、他の拠出諸政府は、期限の到来した中期及び長期の対外債務の返済のために基金を通じて外貨を取得することを国営企業及び公社に許可することを目的としたラオス王国政府の要請を千九百七十二暦年第四・四半期において考慮することができる。
C ラオス王国政府は、外国為替の公認市場を維持する。
 本大臣は、公認市場の正常な機能の維持を援助するため、閣下の政府がラオス王国政府とともにラオス外国為替操作基金に拠出されることを要請するとともに次の提案を行なう光栄を有します。
IVA ラオス王国政府の代表、ラオス外国為替操作基金の管理者、国際通貨基金の常駐代表者並びに他の各拠出政府の代表者のそれぞれ一名を構成員とする安定協議委員会が設置される。
B 安定協議委員会は、安定計画の良好な実施を確保することができるように、安定計画の進ちよく状況を毎月検討する任務を有し、並びに予算局、国家為替局、外貨配分委員会、ラオス国立銀行及びラオス外国為替操作基金の管理者から、各月の操作状況に関する文書による報告をその月の末から遅くとも二十日以内に受領する。安定協議委員会は、拠出諸政府及び外国為替操作基金の管理者に対し、安定計画の進ちよく状況及びその実施を改善する手段に関する勧告を行なう。
V ラオス王国政府は、日本国政府が、現拠出諸政府以外の政府による外国為替操作基金への拠出を歓迎することに留意し、現拠出諸政府以外の政府に対し、新規の拠出を行なうよう積極的に勧誘する意向を有する。
VI この取極のいずれか一方の当事者が、取極に定められている約束を履行しえないと考えるに至つた場合には、他方の当事者と直ちに協議を行なう。
VII この取極は、双方の合意により改正することができる。
VIII いずれか一方の当事者は、両政府間の協議を経てこの取極を終了させることができる。
 ラオス王国政府は、これらの約束及び提案が日本国政府によつて受諾されることを示す返簡を受領したときに、この書簡及び閣下の返簡が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものと認めます。
 ラオス王国政府は、貴国政府がこの計画の実現のために協力をよせられたことを感謝し、また、本大臣は、この機会に本大臣の謝意を閣下に表明することを特に幸いとするものであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百七十二年六月十三日にヴィエンチャンで
 総理大臣 スヴァナ・プーマ
 ラオス駐在日本国大使 谷 盛規閣下
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日付けの殿下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(ラオス側書簡)
 本使は、前記の約束及び提案が日本国政府にとつて受諾しうるものであり、したがつて殿下の書簡及びこの返簡が本日効力を生ずる両政府間の合意を構成することに日本国政府が同意すること並びに日本国政府は、千九百七十二年において、国家予算で承認された資金の範囲内で、ラオス外国為替操作基金に対し拠出を行なう意向を有することを殿下に通報する光栄を有します。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて殿下に向かつて敬意を表します。
 千九百七十二年六月十三日にヴィエンチャンで
 ラオス駐在日本国大使 谷 盛規
 ラオス王国政府総理大臣 スヴァナ・プーマ殿下