日本国と大韓民国との間の日本国産米の貸借に関する契約に関連する交換公文
日本国と大韓民国との間の日本国産米の貸借に関する契約に関連する交換公文
(韓国側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本年二月十日に日本国東京において大韓民国調達庁と日本国農林省食糧庁との間で締結された「大韓民国と日本国との間の日本国産米の貸借に関する契約」(以下「契約」という。)に言及する光栄を有します。
 前記の契約は、本国政府が現在の逼迫した米穀需給事情を緩和する緊急の措置として日本国政府に要請した日本米の貸付けに関するものであり、主として次の事項を定めています。
(a) 日本国農林省食糧庁(以下「貸付者」という。)は、日本国産水稲うるち玄米三十万トンを千九百七十年三月から同年八月までの間に大韓民国調達庁(以下「借受者」という。)に対し貸し付ける。
(b) 借受者は、貸付けに係る米穀と等質等量の韓国産水稲うるち玄米を、千九百八十一年から二千年までの間において、各年一万五千トンずつ貸付者に返還する。
(c) 貸付けに係る米穀の受渡しは、日本国の港における本船積込み渡し(F.O.B.stowed)とし、返還に係る米穀の受渡しは、日本国の港における本船乗渡し(C.I.F.)とする。
(d) 借受者は、貸付者に対し、貸付手数料として、貸付時に二百七十万米ドル及び返還時に貸付者が返還を受けるのに要する経費相当額を支払う。
(e) 借受者は前記貸付手数料のほかに、貸付料として返還に係る米穀と等質の米穀を返還期間中毎年四千五百トンずつ貸付者に引き渡す。
 本使は、契約に基づく日本米の導入が韓国の通常の米穀商業貿易に影響を及ぼすものではないとの本国政府の見解を閣下に通報するとともに、契約が両国の友好関係の発展のために有する意義を認め、契約に関する次の了解を大韓民国政府に代わつて確認します。
1 両国政府は、それぞれの国内法令の範囲内で、契約の円滑かつ適時の実施を促進し、かつ、このため必要な措置をとるものとする。
2 契約に基づく米の輸出及び輸入に関する業務にもつぱら従事する大韓民国の国民及び日本国の国民は、その業務の遂行のための相手国への入国及び相手国における滞在につき、それぞれの国内法令の範囲内で必要な便宜を与えられるものとする。
3 両国政府は、この了解から、又はそれに関連して生することがあるいかなる事項についても相互に協議するものとする。
 本使は、閣下が前記の了解を日本国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百七十年二月二十日に東京で
 日本国駐在大韓民国特命全権大使 李厚洛
 日本国外務大臣 愛知揆一閣下
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(韓国側書簡)
 本大臣は、さらに日本国政府に代わつて、前記のことが日本国政府の了解であることを確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百七十年二月二十日に東京で
 日本国外務大臣 愛知揆一
 大韓民国特命全権大使 李厚洛閣下