日本国の指定航空企業によるシベリア上空を経由する自主運航の開始の時期に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の交換公文
日本国の指定航空企業によるシベリア上空を経由する自主運航の開始の時期に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、千九百六十九年二月六日から十三日まで東京において、日本国運輸大臣原田憲とソヴィエト社会主義共和国連邦民間航空大臣エ・エフ・ロギノフとの間で、両国間の航空業務を拡大する問題について行なわれた交渉に言及し、その交渉において、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府が日本国の指定航空企業に対しその航空機及び乗組員によるシベリア上空を経由する運航の開始を認めることを考慮し、かつ、両国間の航空業務の一層の拡大を目的として到達された次の了解を日本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
 一ソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、日本国の指定航空企業が、千九百六十六年一月二十一日に署名された航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(以下「協定」という。)に基づき、特定の航空機の使用を条件とされることなく、その航空機及び乗組員により、協定の特定路線において、両国の指定航空企業の間の商務的権利の平等の原則の下に、国際航空業務を千九百七十年三月三十一日よりおそくない時期に開始することに同意する。
 前記の航空業務が開始されるまでの間、次の措置が執られるものとする。
(1) 東京とモスクワとの間(両方向)における国際航空業務は、協定の議定書に基づいて千九百六十六年一月二十一日に両国政府の間で交換された書簡に従い、かつ、次の要領により行なわれるものとする。
(a) 運航回数は、千九百六十九年四月から週二便とする。この運航回数は、必要に応じ、さらに一便増加することができる。
(b) 航空機の機種は、イリューシン六十二とし、必要に応じ、両国の航空当局間の合意により、変更することができる。
(c) 運航計画表は、日本航空株式会社とアエロフロートとの間で別途合意される。
(2)両国の航空当局は、それぞれの国内法令に従い、日本航空株式会社及びアエロフロートに対し、本日から千九百七十年の日本万国博覧会の実施に関する輸送が終了するまでの間、日本国内の一地点とハバロフスクとの間の貸切飛行を共同で実施することを認める。
(3) 日本航空株式会社とアエロフロートは、前記(1)及び(2)に関して商務的取極を締結するため、千九百六十九年三月モスクワにおいて交渉するものとする。
  ニ両国の航空当局は、日本航空株式会社及びアエロフロートが日本国内の一地点とハバロフスクとの間の貸切飛行を引き続き実施する問題につき、日本国の指定航空企業が一に基づいて開始される国際航空業務を開始した後に検討する。
 三日本国内の一地点とハバロフスクとの間に貨物の航空運送業務を開始することについて積極的に解決するため、日本国の指定航空企業が一に基づいて開始される国際航空業務を開始した後一箇月以内に両国の航空当局の間で交渉を行なうものとする。この交渉においては、当該区間における将来の旅客の航空運送業務についても討議されるものとする。
 閣下が前記の了解をソヴィエト社会主義共和国連邦政府に代わつて確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 昭和四十四年三月七日に東京で
 日本国外務大臣 愛知揆一
 日本国駐在ソヴィエト社会主義共和国連邦特命全権大使
 オレグ・アレクサンドロヴィチ・トロヤノフスキー閣下
(ソ連邦側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本使は、前記の了解をソヴィエト社会主義共和国連邦政府に代わつて、確認いたします。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十九年三月七日に東京で
 日本国駐在ソヴィエト社会主義共和国連邦特命全権大使
 オレグ・アレクサンドヴィチ・トロヤノフスキー
 日本国外務大臣 愛知揆一閣下