綿製品の貿易に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定
綿製品の貿易に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定
綿製品の貿易に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定
千九百七十年九月三十日まで延長された綿製品の国際貿易に関する取極(以下「ジュネーヴ取極」という。)の規定、特に相互に受諾可能な取極の締結について定める第四条の規定に従い、日本国とフランスとの間の綿製品貿易の秩序ある発展を確保するため、日本国政府及びフランス共和国政府は、協力しかつ次の諸規定を適用することを合意した。
第一条 この協定は、日本国を原産地としかつ積出地とする綿製品でこの協定の附属書に掲げるものに適用する。
第二条 この協定の有効期間中、この協定及び附属書の規定により、フランス共和国政府は、新たな数量制限を設けないこと及び現行の数量制限の適用を停止することを約束し、また、日本国を原産地としかつ積出地とする綿製品のフランスへの輸入が合意された数量をこえない限り、ジュネーヴ取極第三条の規定を援用しないことに同意する。
日本国政府は、特にフランス共和国政府の要請があつたときは、合意された上限が尊重されるよう適当な措置をとり、かつ、このため必要と認められる措置の実施についてフランス共和国政府と協力することを約束する。
ジュネーヴ取極の規定は、日本国政府とフランス共和国政府との間で引き続き効力を有する。
第三条 (a) 総上限
十二箇月の各期について合意された総数量は、二、六五〇トンとする。
(b) 分類群別上限
前記の総数量は、二の主要な品目分類群の間で次のとおり配分される。
第一分類群 生地又はさらし綿織物(マー 一、五五〇トンセライズされているかどうかを問わない。)
第二分類群 その他の綿織物、綿の二次製 一、一〇〇品及び綿の雑製品
(c) 個別上限
前項に定める各分類別上限の度内において、取引が過度に特定品目に隼中することを避けるため、個別上限が合意される。この上限は、この協定の附表を基礎として定められる。
いずれかの十二箇月の期間において、フランス共和国政府が、個別上限の対象となつていない特定の品目の輸入について急速かつ重要な増大を認める場合には、同政府は、個別上限を定めるよう要請することができる。この要請があつた場合には、当該品目についての個別上限の数量を合意するためすみやかに協議を行なう。
第四条 1 第一分類群について定める数量と第二分類群について定める数量との間で振替えを行なうことはできない。
個別上限は、超過してはならない。個別上限の未使用分は、各分類群別上の限度内において、同一の分類群の他の分類で個別上限の対象となつていないものに使用することができる。
2 十二箇月の期間において使用されなかつたいずれかの分類群別上限の部分は、当該上限の十パーセントの限度内において次の十二箇月の期間の同一の分類群別上限に繰り越すことができる。
分類別の個別上限の未使用部分は、振替え又は他の繰越しの対象となつていない場合には、当該上限の十パーセントの限度内において次の十二箇月の期間の同一の個別上限に繰り越することができる。
3 日本国政府が適当な時に書面で要請する場合には、合意された各上限の五パーセントの限度内において、次の十二箇月について定められた上限から先取りが認められる。ただし、日本国政府は、特に委節的要因を考慮に入れ、すべての分類の綿製品の輸出が年間を通じてできる限り均等に行なわれるよう努力する。先取りの量は、次の十二箇月の上限から控除される。
第五条 両政府は、フランスに仕向けられる日本国の綿製品の輸出及びこれに対応するフランスへの輸入に関する情報を交換する。各政府は、この協定の適用にあたり、自国が用いる分類方法を適用することができるものとし、また、このようにして提供された情報の比較を容易にするため協力する。
第六条
フランス共和国政府が日本政府に対し、この協定の実施について、フランスの輸入者と日本国の輸出者との間の現行の取引関係の維持について困難が生じた旨を通報した場合には、日本国政府及びフランス共和国政府は、この取引関係の維持を確保するため必要なあらゆる措置を決定する目的をもつて協議を行なう。
第七条 両政府は、いずれか一方の政府の要請があつたときは、この協定の実施から生ずるすべての問題について協議する。
さらに、日本国政府及びフランス共和国政府は、綿製品の貿易全般に関し、日本国政府の代表者と欧州経済共同体の加盟国政府及び委員会の代表者との間の協議に毎年参加することに同意する。
第八条 この協定は、署名の日に効力を生じ、かつ、千九百六十九年十月一日から十二箇月の期間適用される。
ジュネーヴ取極の有効期間を延長する議定書第四項の規定は、この協定について適用される。その規定が適用される場合には、この協定中の約束は、適当な形式に修正される。
この協定の附属書は、協定の不可分の一部をなす。
千九百六十九年十月二十二日に東京で、ひとしく正文である日本語及びフランス語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 鶴見清彦
フランス共和国政府のために ルイ・ド・ギランゴー
附属書
(綿製品の貿易に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に関する交換公文)
(フランス側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、フランス共和国政府と日本国政府との間で行なわれ、綿製品の貿易に関する協定の署名に至つた交渉の妥結にあたり、フランス共和国政府が次の諸規定に同意することを閣下に確認する光栄を有します。
I 欧州経済共同体における特殊の事情にかんがみ、前記の協定は、欧州経済共同体の他のすべての加盟国政府が同様の二国間協定を綿製品貿易に関するジュネーヴ長期取極第四条の規定に従つて締結したときに適用されることとなる。
II 前記の協定のいかなる規定も、フランスと日本国との間において存在する綿製品の自由化の現状に影響を与えるものと解してはならない。
III 関係品目の輸入の急速かつ重要な増大が市場かく乱をおこす場合又はおこすおそれがある場合にのみ、フランス共和国政府は、協定第三条(c)に基づいて個別上限を設定するよう要請するものと了解される。
同条に定める協議の結果が得られるまでの間、日本国政府は、要請の行なわれた日から、当該品目の輸出を、統計資料が入手可能な最近の十二箇月間に行なわれた輸出の百五パーセントを期間比例按分したものに相当する水準に維持する。
本使は、閣下が前記のことに関する日本国政府の同意を確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十九年十月二十二日に東京で
ルイ・ド・ギランゴー
外務大臣 愛知揆一閣下
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(フランス側書簡)
本大臣は、前記の諸規定に関する日本国政府の同意を確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十九年十月二十二日に東京で
外務大臣に代わつて 経済局長 鶴見清彦
フランス共和国特命全権大使 ルイ・ド・ギランゴー閣下