日本国政府と中央アフリカ共和国政府との間の貿易取極
日本国政府と中央アフリカ共和国政府との間の貿易取極
 日本国政府及び中央アフリカ共和国政府は、両国間の貿易を発展させることを希望し、次の規定を適用することを合意した。
第一条 
 両政府は、両国間の貿易の量を増大し、かつ、これをできる限り高い水準に維持するように、それぞれの国で施行されている法令の範囲内で努力する。
第二条 
 両政府は、輸出及び輸入の許可の付与について、それぞれの国で施行されている法令の範囲内で、第三国に対し与える待遇よりも不利でない待遇を相互に与えるものとする。
第三条 
 第二条の規定は、なかんずく、この取極に附属するA表及びB表に例として掲げるそれぞれの国の産品に適用される。
第四条 
 関税及びこれに関する手続に関し、いずれの一方の国の政府も、他方の国の産品に対し、それぞれの国で施行されている法令の範囲内で、第三国に対し与える待遇よりも不利でない待遇を相互に与えるものとする。
第五条 
 第四条の規定は、次に掲げる利益に対しては、これが関税及び貿易に関する一般協定の規定に従つたものである限り、適用されないものとする。
(a) いずれか一方の国が国境貿易を容易にするために隣接国に与えた、又は与えることがある利益
(b) いずれか一方の国により締結された、又は将来締結されることがある関税同盟条約より生ずる利益
(c) いずれか一方の国が、自由貿易地域の範囲内で、この地域の産品の自国領域への輸入及び自国産品の前記地域への輸出に対し与え、又は与えることがある利益
第六条 
 この取極に基づいて行なわれる貿易に関する支払及び他の支払で、それぞれの国で施行されている為替管理に関する法令に従つて認められるものは、交換可能な通貨により行なうものとする。
第七条 
 両政府は、特に、それぞれの国の領域内における経済の発展及び生活水準の向上に資するため、それぞれの国で施行されている法令の範囲内で、科学的及び技術的知識の交換を容易にするものとする。
第八条 
 両国間の貿易を発展させ、かつ、経済関係を強化するため、いずれの一方の国の政府も、他方の国の国民の自国の領域における入国、滞在、旅行、居住及び諸種の活動を、それぞれの国で施行されている法令の範囲内で、並びに無差別の原則に従い、容易にするものとする。
第九条 
 両国は、関税及び貿易に関する一般協定に規定されている正常な関係のわく内で協力するものとする。
第十条
 いずれの一方の国の政府も、この取極の実施に関して他方の国の政府が行なう申入れに対し、好意的考慮を払うものとする。
第十一条
 この取極は、署名の日に効力を生じ、一年間効力を有する。この取極は、いずれか一方の政府がその有効期間の満了の六箇月前の書面による予告によつて廃棄しない限り、暗黙の更新により一年ずつ更新される。
 千九百六十八年十月十五日に東京で、フランス語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
 三木武夫
 中央アフリカ共和国政府のために
 クレマン・セボ
A表
 日本国の中央アフリカ共和国向け輸出品
(A) 機械類
一 紡績機械及び機器
二 耕地用及び刈入用農業機械及び機器
三 電力計
四 内燃機関付トラクター
五 精米用機械及び機器
六 トランジスター・ラジオ
七 ミシン
八 双眼鏡及び望遠鏡
九 写真機及び映画機械(部品及び映写機を含む。)
十 レンズ
十一 無線電話及び無線電信用の発信機及び受信機の部品
十二 魚群探知機
十三 漁網製造機
十四 電池(トランジスター用を含む。)
十五 露出計
十六 電力計測、検査及びコントロール用機器
十七 蓄電器
(B) 金属及び金属製品
一 鉄鋼及び鉄鋼製品(亜鉛鉄板を含む。)
二 非鉄金属及び非鉄金属製品
(C) 化学品
一 医薬品(血清及びワクチンを含む。)
二 各種ヴィタミン
三 抗生物質
四 殺虫剤
五 酸化チタン
六 化粧品
七 映画用フィルム
八 肥料
(D) 繊維
一 絹織物
二 長繊維化合繊糸
三 長繊維化合繊織物
四 短繊維化合繊糸
五 短繊維化合繊織物
六 毛糸
七 毛織物
八 生糸
九 絹屑糸
十 毛布類
(E) 雑品目
一 釣具
二 ライター、パイプ等
三 玩具(各種)
四 陶磁器
五 衛生用陶磁器
六 陶磁製碍子
七 ガラス細工品、模造真珠
八 ゴム及びプラスチック製はきもの
九 黒鉛電極
十 ガラス及びガラス製品、まほうびん
十一 セメント
十二 製粉器、研磨用具
十三 楽器
十四 レコード
十五 石綿製品
十六 錠前
十七 万年筆
十八 鉛筆
十九 パステル、白墨
二十 スポーツ用品(柔道着を含む。)
二十一 アンチモニー製品
二十二 ナイフ、フォーク、スプーン
二十三 照明具、ランプ類
二十四 扇子、団扇
二十五 花火
二十六 豚皮製品
二十七 合成樹脂製品
二十八 ボタン
二十九 はけ(豚毛)
三十 時計バンド
三十一 スライド・ファスナー
三十二 金物(琺瑯鉄器等)
(F) 農産物
一 魚介かん詰(まぐろ、いわし等)
二 蟹かん詰
三 果物ジュース
四 寒天
五 養殖真珠製品
六 ソース、香味料及び合成調味料
七 むしろ
八 除虫菊
九 茶
B表
中央アフリカ共和国の日本国向け輸出品
一 綿花
二 コーヒー
三 皮つき及び製材した材木
四 ゴム
五 密蝋
六 象牙
七 唐辛子
八 鰐皮
九 カカオ豆
十薬草
十一 手工芸品
十二 プリント木綿布
十三 中央アフリカ共和国内の観光フィルム
十四 レコード
十五 刊行物
 (対日ガット三十五条援用撤回に関する交換公文)
(中央アフリカ側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本日署名された中央アフリカ共和国政府と日本国政府との間の貿易取極第九条に関し、本使は、中央アフリカ共和国政府が、関税及び貿易に関する一般協定第三十五条の規定の日本国に対する援用をできる限りすみやかに撤回するよう努力するものであることを閣下に通報する光栄を有します。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十八年十月十五日に東京で
 日本国駐在中央アフリカ共和国
特命全権大使 クレマン・セボ
 日本国外務大臣 三木武夫閣下
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、次のことを本大臣に通報された本日付けの閣下の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(中央アフリカ側書簡) 
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十八年十月十五日に東京で
 日本国外務大臣 三木武夫
 日本国駐在中央アフリカ共和国特命全権大使
クレマン・セボ閣下