日本国政府とヴィエトナム共和国政府との間の医療協力に関する交換公文
日本国政府とヴィエトナム共和国政府との間の医療協力に関する交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、日本国とヴィエトナム共和国との間の医療協力に関する最近の両国の権限のある当局間の会談に言及し、日本国政府及びヴィエトナム共和国政府が次の取極について合意することを提案する光栄を有します。
1日本国政府は、日本国において施行されている法令に従い、次のために必要な措置を執る。
(1)医療専門家その他の専門家をコロンボ計画に従いヴィエトナム共和国へ派遣すること
(2)ヴィエトナム人医療職員をコロンボ計画に従い日本国に受け入れること
(3)診察、治療及び医学研究に必要な機械、資材及び医薬品をヴィエトナム共和国政府に供与すること
(4)神経外科の一病棟及び医療協力のわく内で派遣される日本人専門家の宿舎をヴィエトナム共和国政府の利益のためにチョウライ病院敷地内に建設すること
2ヴィエトナム共和国政府は、次のために必要な措置を執る。
(1)1(4)にいう神経外科病棟の維持及び運用に必要な経費を負担すること
(2)この取極により日本国政府が供与する機械、資材及び医薬品の輸入に対する免税を許与すること並びに1(3)にいう機械、資材及び医薬品の陸上げの費用及び陸上げ地より目的地までの運送費用を負担すること
(3)サイゴン港における機械及び資材のすみやかな陸上げに必要な便宜を供与すること並びに1(4)にいう建物の建設のすみやかな完成のためできる限りの援助を与えること
(4)日本人専門家に対するこの取極に定める職務の善意の遂行に起因するすべての請求について責任を負うこと
31(4)にいう建物の建設のための現地における費用を支払うための外国通貨(最大限二五◯、◯◯◯米ドル)は、一米ドルにつき一一八ピアストルの現行交換率、すなわち八◯ピアストルの公定為替率にヴィエトナム共和国政府からの附加金三八ピアストルを加えたもので、ヴィエトナム・ピアストルに交換される。ただし、この一一八ピアストルの交換率は、現行の為替率が変更されたときは、両国政府の合意により修正することができる。
4両国の権限のある当局は、この取極に定める協力を達成するため随時協議する。
5この取極は、四年間効力を有する。もつとも、両国政府は、いずれか一方の要請に基づいて、この取極の期間を延長するために協議を行なうことができる。
 本使は、本国政府に代わつて、この書簡及び前記の提案の貴国政府による受諾を確認する閣下の返簡を、閣下の返簡の日付の日に効力を生ずる両国政府間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十七年六月十日にサイゴンで
 日本国特命全権大使 中山賀博
 ヴィエトナム共和国
 外務大臣 トラン・ヴァン・ド閣下
(ヴィエトナム側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、本国政府に代わつて、閣下の書簡に述べられた提案に同意し、閣下の書簡及びこの返簡を、この返簡の日付の日に効力を生ずる両国政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十七年六月十日にサイゴンで
 ヴィエトナム共和国
 外務大臣 トラン・ヴァン・ド
 日本国特命全権大使 中山賀博閣下