航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定
航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定
 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定
 日本国政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、
 それぞれの領域の間の及びその領域をこえての航空業務を開設するために協定を締結することを希望して、
 次のとおり協定した。
第一条
1 この協定の適用上、文脈により別に解釈される場合を除くほか。
(a) 「航空当局」とは、日本国にあつては運輸大臣及び同大臣が遂行している民間航空に関する任務又はこれに類似する任務を遂行する権限を有する人又は機関をいい、ソヴィエト社会主義共和国連邦にあつては民間航空大臣及び同大臣が遂行している民間航空に関する任務又はこれに類似する任務を遂行する権限を有する人又は機関をいう。
(b) 「指定航空企業」とは、締約国により、この協定の附属書Iに掲げる路線(以下「特定路線」という。)における国際航空業務の運営のために指定された航空企業をいう。
(c) 「航空業務」とは、旅客、貨物及び郵便物の公衆用の運送のために航空機で行なう定期航空業務をいう。
(d) 「国際航空業務」とは、二以上の国の領域上の空間にわたつて行なう航空業務をいう。
(e) 「運輸以外の目的での着陸」とは、旅客、貨物又は郵便物の積込み又は積卸し以外の目的で着陸することをいう。
(f) 「附属書I」及び「附属書II」とは、この協定の附属書I及び附属書II又は第十八条2の規定に従つて改正される同附属書I及び同附属書IIをいう。
2 附属書は、この協定の不可分の一部をなすものとし、「協定」というときは、別段の定めがある場合を除くほか、附属書I及び附属書IIを含むものとする。
第二条
1 各締約国は、他方の締約国に対し、特定路線における国際航空業務(以下「協定業務」という。)の運営のため、この協定で定める権利を許与する。
2 各締約国の指定航空企業は、この協定の規定に従うことを条件として、協定業務を運営する間、次の特権を享有する。
(a) 他方の締約国が指定するその領域内の空港に運輸以外の目的で着陸する特権
(b) 国際運輸の対象たる旅客、貨物及び郵便物の積卸し及び積込みのため、当該特定路線について附属書Iで定める他方の締約国の領域内の地点に着陸する特権
第三条
1 いずれの特定路線における国際航空業務も、一方の締約国が当該路線について航空企業を指定し、かつ、その航空企業が他方の締約国により適当な運営許可を与えられた後、即時又は後日開始することができる。この運営許可は、遅滞なく与えられなければならない。
2 運航に関連する技術的及び商業的な事項、特に時間表、決済手続及び地上における航空機のための技術的業務は、指定航空企業間の商業上の取極によつて定められるものとする。この商業上の取極は、必要な場合には、両締約国の権限のある当局によつて承認されなければならない。
3 一方の締約国の航空当局は、1に規定する運営許可を与えるにあたり、他方の締約国の指定航空企業が、当該航空当局により国際航空業務の運営に通常かつ合理的に適用される法令で定める要件を満たすものである旨を立証することを、その指定航空企業に要求することができる。
4 各締約国は、他方の締約国の指定航空企業の航空機が自国の領域内において航行すべき航空路を決定する。
5 いずれか一方の締約国は、このようにして決定された航空路に満足しないときは、いずれの締約国の指定航空企業による協定業務をも停止する権利を有する。
第四条
 締約国は、協定業務の安全かつ効果的な運営を確保するため、附属書IIに定めるすべての必要な措置を執らなければならない。
第五条
1 一方の締約国の法令であつて、国際航空に従事する航空機の当該締約国の領域への入国若しくはそこからの出国又は当該領域内にある間の当該航空機の運航及び航行に関するものは、他方の締約国の指定航空企業の航空機に適用されるものとする。
2 一方の締約国の法令であつて、航空機の旅客、乗組員、貨物及び郵便物の当該締約国の領域への入国及びそこからの出国に関するもの、特に上陸許可、旅券、税関、通貨及び検疫に関するものは、当該締約国の領域への入国及びそこからの出国の際に、又は当該領域内にある間、他方の締約国の指定航空企業の航空機の旅客、乗組員、貨物及び郵便物に適用されるものとする。
3 2の規定にかかわらず、一方の締約国の指定航空企業の航空機の乗組員が協定業務に従事するにあたり他方の締約国への入国につき査証を必要とする場合には、その査証は、少なくとも六箇月の期間有効とし、両締約国が合意する数についてあらかじめ与えられなければならない。この査証は、その有効期間中、その査証を与えた締約国の領域へのいかなる回数の入国及びそこからのいかなる回数の出国についても有効なものでなければならない。
4 一方の締約国の指定航空企業の航空機の乗組員は、協定業務に従事するにあたり、他方の締約国の領域内に一時的に滞在することができる。その乗組員は、職務上又は病気により必要とされる滞在の場合を除くほか、到着した便又は次の便で出国しなければならない。
5 各締約国は、この条に規定する関係法令の写しを他方の締約国に提供しなければならない。
第六条
1 各締約国は、他方の締約国が指定した航空企業の実質的な所有及び実効的な支配が当該他方の締約国又はその国民(法人を含む。)に属していないと認めた場合には、第二条2に定める特権を当該航空企業に関して一時的に停止し、又は取り消す権利を留保する。
2 各締約国は、他方の締約国の指定航空企業が第二条2に掲げる特権を許与する締約国の第5条1及び2に掲げる法令を遵守しなかつた場合又はこの協定で定める条件に従つて運営しなかつた場合には、当該航空企業による前記の特権の行使を停止する権利又は当該航空企業によるそれらの特権の行使に対し必要と認める条件を課する権利を留保する。ただし、重ねて法令の違反が生ずることを防止するため又は航行の安全上の理由により即時に停止し又は条件を課するやむを得ない必要がある場合を除くほか、この権利は、他方の締約国と事前に協議した後でなければ行使することができない。
第七条
1 各締約国の指定航空企業が協定業務において提供する運航回数、使用する航空機の機種その他の輸送力に関する基本的な事項については、両締約国の航空当局間の合意により決定するものとする。
2 一方の締約国の指定航空企業により特定路線において行なわれる臨時の飛行は、当該指定航空企業が他方の締約国の航空当局に対して提出する許可申請により実施することができる。前記の臨時の飛行を実施する手続は、両締約国の航空当局間の合意により決定されるものとする。
第八条
1 各締約国の指定航空企業は、協定業務から得た収入を、送金の時の公の市場における為替相場により、合衆国ドルでその本店に送金することができる。
2 前記の送金は、いかなる種類の租税をも課されず、また、他のいかなる制限にも服しない。
3 旅行者は、日本国内及びソヴィエト社会主義共和国連邦内の地点の間の並びにそれらの地点をこえての旅行のため、いずれの締約国の指定航空企業の航空機をも利用することができる。この3の規定は、貨物について準用する。
第九条
 いずれか一方の締約国がその管理の下にある空港その他の施設の使用について他方の締約国の指定航空企業に課し、又は課することを許す料金は、公正かつ合理的なものでなければならない。ただし、ソヴィエト社会主義共和国連邦が日本国の指定航空企業に課し、又は課することを許す料金は、日本国がソヴィエト社会主義共和国連邦の指定航空企業に課し、又は課することを許す料金よりも高額のものであつてはならない。
第十条
1 一方の締約国の指定航空企業の航空機による使用のみを目的として他方の締約国の領域内に持ち込まれる燃料、潤滑油、航空機貯蔵品、予備部品及び正規の航空機装備品は、当該領域において通常適用される関税規則に従うことを条件として、関税、検査手数料その他これらに類する課徴金を免除されるものとする。
2 一方の締約国の指定航空企業の航空機は、他方の締約国の領域への入国及びそこからの出国の際に、関税、検査手数料その他これらに類する課徴金を免除されるものとする。
3 一方の締約国の指定航空企業の航空機に積載されている燃料、潤滑油、航空機貯蔵品、予備部品及び正規の航空機装備品は、当該航空機により他方の締約国の領域の上空における飛行中に消費され又は使用される場合にも、当該他方の締約国の領域への入国及びそこからの出国の際に、関税、検査手数料その他これらに類する課徴金を免除されるものとする。
4 一方の締約国の指定航空企業の航空機による使用のみを目的として他方の締約国の領域内で当該航空機に積載される燃料、潤滑油、航空機貯蔵品、予備部品及び正規の航空機装備品は、当該領域における関税規則に従うことを条件として、関税、検査手数料その他これらに類する課徴金を免除されるものとする。
5 1、3及び4の規定に基づいて関税及び課徴金を免除される燃料、潤滑油、航空機貯蔵品、予備部品及び正規の航空機装備品は、他方の締約国の税関当局の許可なしに当該他方の締約国の領域内で取り卸すことはできない。これらの物品は、使用し又は消費することができないときは、再輸出しなければならない。これらの物品は、使用し又は再輸出するまでの間、当該他方の締約国の税関当局の管理下に置くものとする。
第十一条
 特定路線に関する運賃は、指定航空企業間の合意により、国際慣行上合理的と認められるべき水準に定めるものとする。合意された運賃及びその改正は、両締約国の航空当局の認可を受けなければならない。
第十二条
1協定業務に従事するすべての航空機は、その適正な国籍及び登録の記号を掲げなければならず、かつ、次に掲げる書類を携行しなければならない。
(一) 登録証明書
(二) 耐空証明書
(三) 各乗組員の適当な免状又は証明書
(四) 航空機局免許状
(五) 旅客を運送するときは、その氏名、乗込地及び目的地の表
(六) 貨物を運送するときは、積荷目録及び貨物の細目申請書
2 一方の締約国により発給され又は有効とされている1に掲げるすべての書類は、他方の締約国の領域内において有効なものと認められなければならない。ただし、当該証明書、免状又は免許状が発給され又は有効とされる要件は、国際航空運送において一般に受け入れられている基準より低いものであつてはならない。
第十三条
1 一方の締約国は、他方の締約国の指定航空企業に対し、協定業務の運営を容易にするため、当該航空企業の技術、航行及び営業の要員を自国の領域内に維持する権利を許与しなければならず、また、国内法令に従い、これらの要員による任務の効果的な遂行を確保するために必要な便宣を供与しなければならない。
2 一方の締約国の指定航空企業が他方の締約国の領域内に常駐させる要員の数は、両締約国間の合意により決定する。
3 この条に定める要員及び両締約国の指定航空企業の航空機の乗組員は、締約国の国民でなければならない。
第十四条
 一方の締約国の航空当局は、他方の締約国の航空当局の要請があつたときは、当該航空当局に対し、自国の指定航空企業が協定業務において供給する輸送力の検討のために合理的に必要とされる定期の又はその他の統計表を提供しなければならない。その統計表は、前記の指定航空企業が協定業務において運送する旅客、貨物及び郵便物の総計を知るために必要なすべての情報を含むものでなければならない。
第十五条
 一方の締約国は、その領域内で遭難した他方の締約国の指定航空企業の航空機に対して実行可能と認める救援措置を執り、かつ、当該他方の締約国の航空当局及び指定航空企業に対し、その救援措置の状況をすみやかに通報しなければならず、また、自国の権限のある当局の監督に従うこと及びその国内法令に従うことを条件として、当該他方の締約国の航空当局及び指定航空企業が状況により必要とされる救援措置を執ることを許可しなければならない。
第十六条
1 一方の締約国の指定航空企業の航空機が他方の締約国の領域内において事故を起こし又は不可抗力により着陸した場合には、自国の領域内で事件が生じた締約国の航空当局は、その事件の詳細及び状況をすみやかに他方の締約国の航空当局に通告し、かつ、乗組員及び旅客に必要な援助を与えなければならない。
2 事故又は不可抗力による着陸により、死者若しくは重傷者が生じ、又は航空機に重大な損害が生じた場合には、自国の領域内で事件が生じた締約国の航空当局は、さらに、次の措置を執らなければならない。
(a) 証拠を保全し、かつ、当該航空機及びその積載物の安全を確保すること。
(b) 他方の締約国の航空当局の権限のある代表者及び事件に係る航空機の属する指定航空企業の権限のある代表者が直ちに当該航空機に近づくことを認めること。
(c) 事件の状況の調査を行なうこと。
(d) 他方の締約国の航空当局の権限のある代表者及び事件に係る航空機の属する指定航空企業の権限のある代表者に対し、調査に立ち合うことができるよう十分な便宣を与えること。
(e) 他方の締約国の要請があつた場合には、当該他方の締約国の航空当局の代表者が検査を行なうまでの間、当該航空機及びその積載物を合理的に実行可能な限りそのままにしておくこと。
(f) 当該航空機及びその積載物が調査に必要でなくなつたときは、直ちに解放すること。
(g) 他方の締約国の航空当局に対し、調査の報告書を作成した後直ちに、これを送付すること。
第十七条
 この協定の解釈又は適用に関して両締約国間に紛争が生じた場合には、両締約国は、両国の間の交渉によつてその紛争を解決しなければならない。
第十八条
1 いずれの一方の締約国も、この協定の実施に関するすべての事項について緊密な協力を確保し、又はこの協定を改正するため、いつでも、他方の締約国との協議を要請することができる。この協議は、要請を受領した日から六十日の期間内に開始しなければならない。
2 附属書I及び附属書IIの改正は、両締約国の航空当局間の合意により行なうものとし、外交上の公文の交換によつて確認された後に効力を生ずる。
第十九条
 この協定は、いずれか一方の締約国が他方の締約国からこの協定を終了させる意思を有する旨の書面による通告を受領した日から一年を経過する時まで効力を存続する。
第二十条
 この協定は、各締約国により、それぞれの国内法上の手続に従つて承認されなければならない。この協定は、その承認を通知する外交上の公文が交換された時に効力を生ずる。
 以上の証拠として、下名は、各自の政府により正当に委任を受け、この協定に署名した。
 千九百六十六年一月二十一日モスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために
附属書I
1 日本国の指定航空企業が両方向に運営する路線
 東京-モスクワ-第三国内の諸地点
 ソヴィエト社会主義共和国連邦の指定航空企業が両方向に運営する路線
 モスクワ-東京-第三国内の諸地点
注(a) 1に掲げる路線は、日本国の西海岸及びシベリアの上空を経由するものとする。
注(b) 第三国内の諸地点は、合意により定めるものとする。
2 日本国政府は、第三条1の規定に基づき、1の路線を運営するため、「日本航空株式会社」と呼ばれる日本国の航空企業を指定する。
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、第三条1の規定に基づき、1の路線を運営するため、「アエロフロート」と呼ばれるソヴィエト社会主義共和国連邦民間航空省の航空企業を指定する。
附属書II
 両締約国は、第四条の規定に従い、協定業務に従事する航空機(以下「航空機」という。)の安全な運航を確保するため、この附属書に従うものとする。
 航空交通管制区域の境界線等の取極
1 両締約国の航空当局は、航空交通管制、飛行情報及び捜索救難業務を提供する区域の境界線並びに航空交通管制の移管の手続につき取極をしなければならない。
情報の提供
2 各締約国の航空当局は、他方の締約国の航空当局に対し、この協定の署名後すみやかに、又はおそくとも協手業務の開始の六箇月前までに、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
(a) 協定業務に使用される航空路、その最低安全高度、位置通報点並びに主要な及び補助的な無線施設その他の航行援助施設
(b) 航空交通管制の施設及び業務並びに飛行計画の要件、位置通報の要件、間隔標準、巡航高度、高度計規正方式、管制用語、使用周波数、交信不能の場合の方式、航空路から逸脱した場合の方式、出発前方式その他の航空交通管制の方式
(c) 協定業務のための使用に供される空港及びその代替空港(緊急時に使用することができる空港を含む。)につき、
(i) 詳細な地理的資料
(ii) 附帯施設(救難消防設備及び整備用設備並びにそれらの器材を含む。)
(iii) 滑走路、誘導路等
(iv) 離着陸のための無線及び可視の援助施設並びに標識
(v) 空港内及びその周辺の障害物
(vi) 最低気象条件等を定めた運用に関する規則
(vii) 計器進入方式
(viii) 提供される燃料、油脂及びガス
(d) 気象通報式、単位系その他の気象情報に関する方式
(e) 特定路線において使用に供され又は供される予定の固定通信の施設及び利用の手続
(f) 捜索救難業務及びその区域
3 各締約国の航空当局は、2の規定に従つて提供した情報の内容を変更した場合には直ちに、また、変更が計画される場合にはあらかじめ、その変更を他方の締約国の航空当局に対しノータムにより通報しなければならない。この場合において、通報の手段としては、緊急を要する場合にはテレタイプを、他の場合には航空郵便を用いなければならない。
4 各締約国の航空当局は、他方の締約国の航空当局に対し、航空機の航行に必要な気象情報を当該航空機の飛行開始前及び飛行中に通報しなければならない。
航空機の航行
5 航空機の乗組員は、他方の締約国の航行規則及び航空交通管制方式を熟知していなければならない。
6 航空機の機長は、飛行計画を作成するにあたり又は飛行中において、必要な情報、特に当該飛行に係る航空路、空港及び航行援助施設の状態に関する情報並びに当該航空路及び空港における気象の実況報及び予報の提供を受けることができる。
7 航空機の機長は、飛行しようとするときは、当該飛行を開始する国の航空交通管制機関に対してあらかじめ飛行計画を提出し、その承認を受けなければならない。これを変更する場合も、同様とする。
8 航空機の機長は、7の承認を受けた飛行計画に従つて航行しなければならず、それを変更しようとするときは、当該変更が行なわれる空域を管轄する航空交通管制機関の承認を受けなければならない。ただし、緊急事態により即時の措置を必要とする場合は、この限りでない。この場合には、当該航空機の機長は、その措置が執られた空域を管轄する航空交通管制機関に対してすみやかにその旨を通報しなければならない。
9 航空機の機長は、航空交通管制機関(対空通信局を含む。)が指示する周波数の電波を常時聴守しなければならず、また、必要なときは直ちに当該電波により送信することができるようにしておかなければならない。
通信
10 両締約国の航空当局の間に別段の合意がある場合を除くほか、航空機と航空交通管制機関(対空通信局を含む。)との交信は、無線電話によらなければならない。
11 両締約国の航空当局は、協定業務に必要な情報(航空気象情報及びノータムを含む。)の交換及び航空交通管制のため、東京とモスクワとの間のテレタイプ回線及び、設置が可能となつた場合には気象専用模写電送回線並びに両締約国の隣接する管制区管制機関間の直通電話回線を設置する。
12 各締約国の指定航空企業は、両締約国の航空当局が合意する範囲内において、11のテレタイプ回線を用いることができる。
国際基準の採用
13 この附属書の規定を実施するため、国際民間航空機関(及び必要な場合には世界気象機関)によつて確立され又は勧告されている標準、方式及び手続は、できる限り採用するものとする。
試験飛行
14 各締約国の指定航空企業は、協定業務の開始の前に試験飛行を五往復行なうことができる。その回数は、両締約国の航空当局間の合意により増加することができる。
空港及び施設への立入り
15 一方の締約国の航空当局は、相互主義に基づき、他方の締約国の航空当局の権限のある代表者に対し、当該他方の締約国の航空機によつて使用されている自国の領域内の空港並びに通信、航行援助、航空交通管制、気象及び整備のための施設を視察するためにこれらの空港及び施設に立ち入ることを認める。
用語
16 この附属書2、6、7、10及び11の規定の実施にあたつて用いられる言語は、英語とする。
 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の議定書
 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(以下「協定」という。)に署名するにあたり、日本国政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、さらに、次のとおり協定した。
1 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府がシベリアの上空を外国の航空機による航行のために開放することがさしあたりできないことを考慮して、東京とモスクワ(両方向)との間の国際航空業務は、協定の効力発生の時から各締約国がそれぞれ他方の締約国の指定航空企業に対しその航空機及び乗組員による相互乗入れの原則に基づき日本国の西海岸及びシベリアの上空を経由する特定路線において行なわれる国際航空業務の開始を認めることが可能となる時までの期間は、両締約国政府間において合意されるところに従い、暫定的に運営されるものとする。
2 この議定書は、協定の不可分の一部をなすものとする。
 以上の証拠として、下名は、各自の政府により正当に委任を受け、この議定書に署名した。
 千九百六十六年一月二十一日にモスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために
 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の議定書についての合意された議事録
 日本国政府の代表者及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府の代表者は、航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(以下「協定」という。)の議定書に署名するにあたり、日本国の西海岸及びシベリアの上空を経由する特定路線における相互乗入れの原則に基づく国際航空業務の開始に関し、それぞれの政府のために次のことを確認した。
1 日本国政府の代表者は、両締約国の指定航空企業がそれぞれの航空機及び乗組員による相互乗入れの原則に基づき特定路線において行なう国際航空業務が、協定の議定書1の規定に基づいて両締約国政府において合意されるところに従つて暫定的に運営される国際航空業務の開始後できる限りすみやかに、約二年以内に実現されることを強く希望し、これに対し、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の代表者は、日本国政府の代表者のこの強い希望を了承した。
2 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の代表者は、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府が、東京とモスクワとの間の飛行が行なわれるべき路線における外国の航空機による定期的な航行のためにシベリアの上空を開放することが可能となつたときは直ちに、かつ、いずれの第三国の航空企業に対するよりも早い時期に、日本国の指定航空企業に対しその航空機及び乗組員によりシベリアの上空を経由して行なわれる国際航空業務を開始することを認める旨を言明し、日本国政府の代表者は、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の代表者のこの言明を了知した。
 千九百六十六年一月二十一日
 日本国政府のために
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために
 (航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の議定書に基づく交換公文)
(ソ連邦側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の委任により、本日署名された航空業務に関するソヴィエト社会主義共和国連邦政府と日本国政府との間の協定(以下「協定」という。)の議定書1の規定に基づいて両国政府の間に次の合意が達成されたことを確認する光栄を有します。
1 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府及び日本国政府は、それぞれの国内法令及び2から4までの規定に従うことを条件として、アエロフロート及び日本航空株式会社がモスクワと東京との間(両方向)において国際航空業務を共同して運営することを認めるものとする。
2(1) 1にいう国際航空業務は、アエロフロート及び日本航空株式会社が共同してソヴィエト社会主義共和国連邦民間航空省から操縦室乗組員付きで賃借りする航空機により行なわれるものとする。その航空機は、国際航空運送において通常適用されるすべての技術的及び商業的な要件を満足させるものでなければならず、また、その機体にはアエロフロート及び日本航空株式会社の標識が掲げられているものでなければならない。
(2) その航空機についての賃借料は、アエロフロート及び日本航空株式会社にとつて十分採算のとれるよう設定されるものとする。
3 1にいう国際航空業務を運営するための技術的及び商業的な事項は、ソヴィエト社会主義共和国連邦及び日本国の航空当局の承認を受けるアエロフロートと日本航空株式会社との間の商業上の取極において定められる。その商業上の取極は、有効期間は一年とするものとし、アエロフロートと日本航空株式会社との間の合意により、その期間を延長し及びその内容を修正することができる。
 前記の商業上の取極は、特に、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
(1) 2に定める航空機の運航がアエロフロート及び日本航空株式会社により共同して行なわれること。
(2) ソヴィエト社会主義共和国連邦の領域内におけるすべての地上取扱業務はアエロフロートにより、日本国の領域内におけるすべての地上取扱業務は日本航空株式会社により確保されること。
(3) 操縦室乗組員には日本航空株式会社の乗組員を加えることができること、客室乗組員がアエロフロート及び日本航空株式会社により提供される乗組員によつて構成されること並びにこれらの乗組員についての業務要領がアエロフロートと日本航空株式会社との間の合意によつて定められること。
(4) 特別勘定がアエロフロート及び日本航空株式会社により設けられ、並びに経費及び収入が両者の間で合意される原則に従つて配分されること。
4 1にいう国際航空業務は、次に掲げる了解の下に、協定に定める条件に従つて行なわれる。
(1) 協定にいう「一方の締約国の指定航空企業の航空機」又は「他方の締約国の指定航空企業の航空機」とは2に定める航空機をさすものと了解される。
(2) 協定第七条2に規定する臨時の飛行は1にいう国際航空業務に含まれるものと了解される。
5 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府及び日本国政府は、1にいう国際航空業務と同様の航空業務について第三国との間に取極を行なわないものとする。
6 いずれか一方の政府は、3に定める商業上の取極の有効期間の満了の一箇月前に、事前通告を行なうことにより、この交換公文の効力を停止することができる。
 閣下が前記の合意を日本国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十六年一月二十一日にモスクワで
 ソヴィエト社会主義共和国連邦民間航空大臣
 エ・エフ・ロギノフ
 日本国外務大臣
 椎名悦三郎閣下
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、日本国政府の委任により、次のことを本大臣に通報された本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(ソ連邦側書簡)
 本大臣は、前記の閣下の書簡における合意を日本国政府に代わつて確認いたします。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十六年一月二十一日にモスクワで
 日本国外務大臣 椎名悦三郎
 ソヴィト社会主義共和国連邦民間航空大臣
 エ・エフ・ロギノフ閣下