一部旅券査証の相互免除に関する日本国政府とスぺイン政府との間の交換公文
一部旅券査証の相互免除に関する日本国政府とスぺイン政府との間の交換公文
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、日本国政府が日本国とスペインとの間の観光、文化及び通商上の交流を容易にし、かつ、両国間の関係を緊密にすることを希望して、日本国民及びスペイン国民に対する査証の免除に関し、スペイン政府と次の取極を締結する用意があることを閣下に通報する光栄を有します。
1日本国の権限のある当局が発給した有効な旅券を所持する日本国民は、その居住地のいかんを問わず、査証を必要とすることなく、継続して最長三箇月間の滞在のため、出入国のために定められた地点を経由してスペイン本土、バレアレス諸島、カナリア諸島、セウタ及びメリーリヤに赴くことができる。この滞在期間の制限は、外交旅券又は公用旅券を所持する日本国民であって、スペインにおける日本国の外交上若しくは領事上の任務のため赴任するもの又は日本国政府の公務のためスペインに赴くものには適用しない。
2スペインの権限のある当局が発給した有効な旅券を所持するスペイン国民は、その居住地のいかんを問わず、査証を必要とすることなく、継続して最長三箇月間の滞在のため、出入国のために定められた地点を経由して日本国に赴くことができる。この滞在期間の制限は、外交旅券又は公用旅券を所持するスペイン国民であつて、日本国におけるスペインの外交上若しくは領事上の任務のため赴任するもの又はスペイン政府の公務のため日本国に赴くものには適用しない。
3日本国民及びスペイン国民であつて、相手国において継続して三箇月をこえる期間の滞在を希望するもの又は、滞在期間が三箇月をこえない場合をも含めて、生業、職業若しくは報酬を受ける活動に従事しようとするものは、あらかじめ権限のある当局に対し査証を申請し、かつ、取得しなければならない。この査証は、無料で与えられる。
4この査証手続の免除は、日本国民及びスペイン国民が、外国人の入国、滞在及び出国に関する法令で、それぞれスペイン及び日本国において有効な法令に従う義務を免除するものではない。
5いずれの政府も、好ましくないと認める者の自国領域への入国又は滞在を拒否する権利を留保する。
6いずれの政府も、公序上の理由により、この取極の全部又は一部の適用を一時的に停止することができる。この停止は、外交上の経路を通じて直ちに他方の政府に通報しなければならない。
7この取極は、千九百六十五年四月十五日に効力を生ずる。いずれの政府も、一箇月の予告をもつてこの取極を廃棄することができる。
 日本国政府は、この書簡及びスペイン政府の同意を確認される閣下の書簡を前記の事項に関する両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意いたします。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて重ねて敬意を表します。
 千九百六十五年三月十六日
 日本国外務大臣 椎名悦三郎(自署)
 スペイン外務大臣
 フェルナンド・マリア・カスティエリャ・イ・マイース閣下
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、スペイン政府が、閣下の前記の書簡に述べられた意図と同様の意図を有するので、閣下の書簡に同意し、かつ、閣下の書簡及びこの書簡を前記の事項に関する両政府間の合意を構成するものとみなすことを確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて重ねて敬意を表します。
 千九百六十五年三月十六日
 スペイン外務大臣
 フェルナンド・マリア・カスティエリャ・イ・マイース(自署)
 日本国外務大臣
 椎名悦三郎閣下