ラオス外国為替操作基金に対する日本国政府の拠出に関する日本国政府とラオス王国政府との間の交換公文
ラオス外国為替操作基金に対する日本国政府の拠出に関する日本国政府とラオス王国政府との間の交換公文
ラオス側書簡
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、閣下に対し次のことを通報する光栄を有します。
I ラオス王国政府がIMFと協議の上千九百六十三年十二月二十四日に発足させ、かつ、拠出諸政府が外国為替操作基金への拠出の形で援助を供与された安定計画は、満足すべき結果をもたらした。通貨及び価格の一層の安定並びに為替自由市場におけるキップ貨の強化が直ちに現われた効果である。これらの効果ほどめざましいものではないが、信用回復による投資及び生産の増大も同様事実である。
 計画の成功は、千九百六十三年十二月二十四日の取極の精神及び規定に従つたラオス王国政府と拠出諸政府との間の緊密な協力によるところ大である。本国政府としても、過去一年の間予算支出を最小限にとどめるよう努力したが、今後もこの努力を継続する意向である。同時に、財政収入を増加させるためすべての努力が行なわれた結果、財政収入は約三十パーセント増大した。われわれは、また、安定のための努力の一環として財源を増加させるため、二百八十万ドルをわれわれに提供するよう合衆国と交渉して、われわれの収入を増加させることができた。同様に、貴政府は、為替操作基金に対する五十万米ドルを限度とする拠出の形で安定計画に参加する意向を表明された。
 本国政府は、安定計画を継続することが王国の安寧のために基本的に必要であると考えている。それゆえにこそ、外国為替操作基金の財源への拠出を行なうという貴政府の意向に対し感謝する次第である。
 外国為替操作基金は、こうして、為替市場における需要供給を均衡させること及びインフレ傾向を抑制する限度において通貨安定に貢献することにより、計画全体に占める重要な役割を引き続き果たすことができるであろう。
IIA ラオス王国政府は、千九百六十四-六十五会計年度の間、予算赤字を五十八億三百七十万キップに限定する。さらにその上生ずる歳入と歳出との間の差額十四億キップは、わが国が保有する外貨を外国為替操作基金に売却することにより補われる。千九百六十五-千九百六十六年度に対する予算赤字の上限は、できる限りすみやかに、いかなる場合にも千九百六十五年五月一日より遅くない時期に貴政府と協議の上決定される。
B予算局は、予算上限をこえないよう確保し、及びIIAに定める期間内に千九百六十五-千九百六十六年度の総合予算を準備するのに必要な措置を執るため、一般及び軍事支出に対し効果的な監督を引き続き行なう。
Cラオス王国政府は、拠出諸政府に対し、必要な場合には、国家予算の編成及び運用につき援助を行なう予算専門家を同政府に派遣するよう要請する。
Dラオス王国政府は、予算収入を最大限に増大するため、すべての現行税の徴収を確保するようすべての努力を払い及び新税の導入のため適切な措置を執る。
Eラオス王国政府は、必要な場合には、ラオス国立銀行のラオス王国政府に対する貸出しを、外国援助により供与される予算支持額とIIAにいう赤字の上限との差額に限定する。
III ラオス王国政府は、国民経済健全化政策に沿う政府及び民間信用の適切な規制により、通貨量の増大を抑制する。
IVA ラオス国立銀行、国家為替局及び公認為替業者のみが公定レートでの為替取引を行なうことを認められる。ラオス王国政府は、外国為替の収入及び支出の監督を改善するため、公定レートによるすべての取引について外国為替予算を作成する。
 為替に関する法令は、公定レートによるすべての為替取引の監督及び会計の責任を負う国家為替局により適用される。すべての公任為替業者は、公定レートによる為替取引をラオス国立銀行に毎日報告する。
B ラオス王国政府の在外大使館に対する支出又は外国為替予算及び為替に関する法令に掲げる基本的で明確なその他の目的のための支出に限り、公定レートで交換される。
C ラオス政府は、外国為替の公任自由市場を維持する。
 本大臣は、前記の自由市場の正常な機能の維持を助けるため、ラオス外国為替操作基金に対する閣下の政府の参加を要請し、及び次の提案を行なう光栄を有します。
VA 安定協議委員会は、総理府、大蔵大臣、国家経済大臣及びラオス国立銀行の各代表者、ラオス外国為替操作基金の管理者並びに各拠出政府の代表者それぞれ一名を構成員とする。
B 安定協議委員会は、安定計画の実施に良好な条件を確保することができるように、安定計画の進ちよく状況を検討する任務を有し、並びに予算局、国家為替局及びラオス外国為替操作基金の管理者から報告を毎月受領する。安定協議委員会は、ラオス王国政府、拠出諸政府及び外国為替操作基金の管理者に定し、安定計画の進ちよく状況及びその効果を改善する手段についての勧告を行なう。
VI この取極は、双方の合意により改正することができる。
VIIいずれか一方の当事者は、両政府間の協議を経てこの取極を終了させることができる。
 ラオス王国政府は、これらの約束及び提案が日本国政府によつて受諾されることを示す返簡を受領した時に、この書簡及び閣下の返簡が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずる両政府間の合意を構成するものと認めます。
 ラオス王国政府は、貴国政府がこの計画の実現のために協力をよせられたことを感謝し、また、本大臣はこの機会に本大臣の謝意を閣下に表明することを特に幸いとするものであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向つて敬意を表します。
 千九百六十五年四月七日にヴィエンチャンで
 スヴァナ・プーマ
 ラオス駐在日本国特命全権大使 和田周作閣下
日本側書簡
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、千九百六十五年四月七日付けの殿下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(ラオス側書簡)
 本使は、日本国政府が殿下の書簡に掲げる約束及び提案に同意し、かつ、外国為替操作基金への五十万合衆国ドルを限度とする参加を受諾することを殿下に通報する光栄を有します。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに殿下に向かつて敬意を表します。
 千九百六十五年四月七日にヴィエンチャンで
 日本国大使 和田周作
 ラオス王国政府総理大臣 スヴァナ・プーマ殿下