北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約に基づく漁業規則の違反によりだ捕された漁船及び逮捕された人の引渡手続に関し交換された取極(口上書)
北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約に基づく漁業規則の違反によりだ捕された漁船及び逮捕された人の引渡手続に関し交換された取極(口上書)
(ソ連邦外務省から在ソ日本国大使館あての口上書)
口上書
ソヴィエト連邦外務省は、在ソヴィエト連邦日本国大使館に敬意を表するとともに、千九百五十六年に署名された北西太平洋の公海における漁業に関するソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の条約によつて定められた漁業規則の違反に関連してだ捕された漁船及び逮捕された人の引渡手続についての了解に関してソヴィエト連邦外務省と在ソヴィエト連邦日本国大使館との間で交換された千九百六十四年四月十五日付けの口上書に言及し、この了解により定められた引渡手続を千九百六十五年においても引き続き実施することとするとのソヴィエト連邦政府及び日本国政府の代表者の間で到達した了解をソヴィエト連邦政府に代わつて確認する光栄を有する。
千九百六十五年四月十五日にモスクワで
(在ソ日本国大使館からソ連邦外務省あての口上書)
口上書
在ソヴィエト連邦日本国大使館は、ソヴィエト連邦外務省に敬意を表するとともに、次の千九百六十五年四月十五日付けの外務省口上書を受領したことを確認する光栄を有する。
(ソ連側口上書)
在ソヴィエト連邦日本国大使館は、この口上書をもつて日本国政府及びソヴィエト連邦政府の代表者の間で到達し、前記ソヴィエト連邦外務省口上書に述べられた了解を日本国政府に代わつて確認する光栄を有する。
千九百六十五年四月十五日にモスクワで
[参考]
千九百六十二年のだ捕漁船及び逮捕者の引渡し手続取極
(ソ連側口上書)
ソヴィエト連邦外務省は在ソヴィエト連邦日本国大使館に敬意を表するとともに、千九百五十六年に署名された北西太平洋の公海における漁業に関するソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国との間の条約によつて定められた漁業規則の違反に関連して、だ捕された漁船及び逮捕された人の引渡手続に関し、ソヴィエト連邦政府及び日本国政府の代表者の間で到達した次の了解をソヴィエト連邦政府に代わつて確認する光栄を有する。
以下に規定する引渡手続は千九百六十二年において実施される。
1 だ捕された漁船又は逮捕された人の所属する国の公務員が、だ捕又は逮捕の場所の近くにあるときは、漁船をだ捕し又は人を逮捕した公務員は、これをだ捕の場所において他方の国の公務員に引き渡すものとする。(この口上書において「公務員」とは、ソ連側については、ソ連邦漁業監督機関の監督官をいい、日本側については、日本の漁業監督又は取締りの権限を有する者をいう。)
漁船をだ捕し又は人を逮捕した公務員は、漁船又は人による漁業規則の違反に関するロシア語及び日本語による調書を二通作成し、その一通をだ捕された漁船又は逮捕された人を引き渡す際に他方の国の公務員に手交する。
この場合、だ捕された漁船又は逮捕された人及び前記調書の引渡しの事実についてロシア語及び日本語による調書(書式別紙のとおり)を二通作成し、調書の各一通を双方の公務員が保持する。
2 港を根拠地とする漁船がだ捕された場合に、この口上書1の規定に基づいてだ捕の場所でその引渡しを行なうことができないときは、次の手続を適用するものとする。
漁業規則に違反した漁船をだ捕した公務員は、漁船の網を封印し、その漁船の所属する国によりあらかじめ定められた港の一におもむくよう指示を与え、その指示を遵守する旨の船長又は操業責任者の署名した文書を徴する。この指示を受けた漁船は、指定された港におもむくものとする。
漁船をだ捕した公務員は、漁船だ捕の事実について無線により他方の国に通報する。この通報には漁船名、番号、船籍港、船長の姓名、だ捕の場所及び時並びに当該漁船がおもむくよう指示された港を示すものとする。
漁業規則の違反に関する調書は、この口上書1に規定されている方式と同様の方式で作成される。このほか、調書にはその漁船がおもむくよう指示された港及び同船の網の封印の有無が記載される。調書の一通は当該公務員が保持し、他の一通は漁船の船長又は操業責任者に手交される。調書は自国の公務員に提示されるものとする。
港におもむくよう指示を受け、かつ、網が封印された漁船は、その網の封印が解除されるまでは漁業を行なつてはならない。その網の封印は、当該漁船の所属する国の公務員のみがこれを解除することができる。だ捕された漁船の所属する国は、当該漁船が指示された港に到着したことをその到着後十二時間以内に他方の国に対し通報する。
3 母船に属する漁船がだ捕され又はその漁船上にある人が逮捕された場合において、この口上書1の規定に基づいてだ捕又は逮捕の場所でその引渡しを行なうことができないときは、次の手続の一を適用するものとする。
(A) だ捕された漁船又は逮捕された人は、当該漁船の属する母船にとう乗する他方の国の公務員に引き渡される。この場合、この口上書1に規定された手続が適用される。
(B) だ捕された漁船に対し、当該漁船の属する母船にとう乗している他方の国の公務員のもとにおもむくよう指示が与えられる。この場合、この口上書2に規定された手続が適用される。
母船にとう乗している公務員は、だ捕された漁船が母船に到着したことをその到着後十二時間以内に当該漁船をだ捕した公務員の所属する国に対し通報する。
4 だ捕された漁船の所属する国の公務員が、この口上書2及び3(B)に基づいて港又は母船に向かつている漁船に遭遇するときは、同公務員は遭遇した場所で当該漁船を引き取ることができる。この場合その公務員は、だ捕された漁船が引き取られたことをその引取り後十二時間以内に当該漁船をだ捕した公務員の所属する国に対し通報する。
5 この口上書の前各項の規定によらないで、漁船をだ捕し又は人を逮捕した公務員の所属する国が、当該漁船又は人が所属する国の要請に基づき、これを自国の領域内で監視の下に置くときは、だ捕された漁船の乗組員の代表者又は逮捕された人は、当該漁船又は人に必要な食料品、清水、燃料その他の需品の供給を要請することができる。だ捕された漁船又は逮捕された人をその監視の下に置く国の官憲は、その要請を満たすために必要な措置を執る。
前記需品の受領が行なわれた場合には、漁船又は人をその監視の下に置く国の官憲と需品の供給に対し支払の義務を負うだ捕された漁船の乗組員の代表者又は逮捕された人は、需品の供給及び受領を確認するロシア語及び日本語による調書を二通作成し、その一通は需品を供給した国の官憲が保持し、他の一通はだ捕された漁船の乗組員の代表者又は逮捕された人が保持する。
需品を供給した国はできる限りすみやかに前記調書の写し及び関係書類をだ捕された漁船又は逮捕された人が所属する国の政府に送付する。
調書の写し及び関係書類を受け取つた国の政府は、供給された需品の代金の支払が確実に行なわれるように適当な措置を執るものとする。供給された需品の代金の支払は、これら文書の受領の日から四箇月以内に行なわれるものとする。
6 前各項に定められただ捕された漁船又は逮捕された人の引渡し及び引取りに関する相互の通信は、船舶無線局及び海岸無線局を通じて行なわれる。
ソ連側の指定する受信及び発信無線局は次のとおりとする。
a 船舶無線局
事件発生海域 局 名 呼出符号
オーツク海、ベーリング海、日本海及び太平洋 ビゾン UKLE ボドルイ UBMV ブルン UTVE ネリマ UXSK デイアナ UMYY
b 海岸無線局
事件発生海域 局 名 呼出符号
全 海 域 ベトロパウロフスク・カムチヤツキー UBA-2又はUBD-3
日本側の指定する受信及び発信無線局は次のとおりとする。
a 船舶無線局
事件発生海域 局 名 呼出符号
アリユーシヤン及びベーリング海海域 東 光 丸 JEKE 第六興南丸 JDHP 第十一関丸 JICV
オホーツク海海域 東 光 丸 JEKE 第十五文丸 JATJ 第三京丸 JNEE 第一あけぼの丸 JMOE
北緯四十八度以南の太平洋側海域 東 光 丸 JEKE 第五興南丸 JNAO 第七興南丸 JEDO 第八あけぼの丸 JKME
b 海岸無線局
事件発生海域 局 名 呼出符号
全海域 釧 路 JNX
いずれの国も無線連絡のためさらに無線局を増設し、又は変更することができる。その際これをあらかじめ無線により他方に通報する。
両国は次の通信方法を採用する。
(A) 船舶無線局及び海岸無線局は、全日グリニッチ時間四時、八時、十二時、十六時、二十時、二十四時の初めの五分間は相互に相手側からの呼出しがあつたとき直ちに応答ができるよう聴取を行なうものとし、自国から送信すべき通報がない場合は、原則として呼出しを行なわないものとする。
(B) この口上書に定められたソヴィエト連邦及び日本国の船舶無線局及び海岸無線局の無線連絡は、次の周波数によつて行なう。なお、いずれの国も無線連絡の周波数を変更することができる。その際これをあらかじめ無線により他方に通報する。
ソ連側 a 船舶無線局
通信の種類 呼出応答 通 信
無線電信 A二 五〇〇 A二 四二五又は四五四
同 A一 四二二〇 A一 四二四〇又は二三二五
無線電話 A三 二二八五 A三 二二八五
b 海岸無線局
通信の種類 呼出応答 通 信
無線電信 A二 五〇〇 A二 四四〇
同 A一 四二四〇 A一 四二四〇又は二六二〇
同 A一 八五五五 A一 八五五五
無線電話 A三 四一三〇 A三 二七七〇
日本側
a 船舶無線局
通信の種類 呼出応答 通 信
無線電信 A二 五〇〇 A二 四二五
同 A一 二〇五〇 A一 二〇五〇又は二四五七
無線電話 A三 二六三八 A三 二六三八
b 海岸無線局
通信の種類 呼出応答 通 信
無線電信 A二 五〇〇 A二 四七二
同 A一 四二四四 A一 四二四四又は二四一七・五
同 A一 八六九八 A一 八六九八
無線電話 A三 二一三〇 A三 二一三〇
(c) 無線通信はロシア語又は日本語をもつて行なうものとし、必要に応じ英語を使用することができるものとする。
ロシア語又は日本語による電文は、ローマ字をもつてし、国際電気通信条約附属電信規則に定められた国際モールス符号をもつて送信するものとする。その他の通信方法は前記条約附属無線通信規則によるものとする。
ソヴィエト連邦外務省は、在ソヴィエト連邦日本国大使館がソヴィエト連邦政府及び日本国政府の代表者の間で到達した前記の了解を日本国政府に代わつて確認されることを期待する。
千九百六十二年三月三十一日にモスクワで
ソヴィエト連邦駐在日本国大使館
被だ捕漁船(補逮捕人)及び違反調書の引渡しに関する調書
この調書は、1962年 月 日、 区域において、-------------------------- (引渡し責任者の官職氏名)が、-------------------------- (引取り責任者の官職氏名)に対し漁船-------------------------- (船名)(登録番号)、被逮捕人-------------------------- (被逮捕人氏名)及び1956年の北西太平洋の公海における漁業に関するソ日条約によつて定められた漁業規則の違反に関する調書を引き渡したことを確認するために作成された。
署名
--------------------------(引渡し責任者の官職氏名)
--------------------------(引取り責任者の官職氏名)
(日本側口上書)
在ソヴィエト連邦日本国大使館はソヴィエト連邦外務省に敬意を表するとともに、次の千九百六十二年三月三十一日付け外務省口上書を受領したことを確認する光栄を有する。
(ソ連側口上書)
在ソヴィエト連邦日本国大使館はこの口上書をもつて日本国政府及びソヴィエト連邦政府の代表者の間で到達し、前記ソヴィエト連邦外務省口上書に述べられた了解を日本国政府に代わつて確認する光栄を有する。
千九百六十二年三月三十一日にモスクワで
ソヴィエト連邦外務省