日本国政府とチャード共和国政府との間の貿易取極
日本国政府とチャード共和国政府との間の貿易取極
日本国政府及びチャード共和国政府は、両国間の貿易を発展させることを希望し、それぞれの国で施行されている法令の範囲内で次の規定を適用することを合意した。
第一条 両政府は、両国間の貿易の量を増大し、かつ、これをできる限り高い水凖に維持するように努力する。
第二条 両政府は、輸出及び輸入の許可の付与について、無差別の原則に従いできる限り好意的な待遇を相互に与えるものとする。
第三条 第二条の規定は、なかんずく、この取極に附属するA表及びB表に例として掲げるそれぞれの国の産品に適用される。
第四条 関税及びこれに関する手続に関し、いずれの一方の国の政府も、他方の国の産品に対し、無差別の原則に従いできる限り好意的な待遇を与えるものとする。
第五条 この取極に基づいて行なわれる貿易に関する支払及び他の支払で、それぞれの国で施行されている為替管理に関する法令に従つて認められるものは、交換可能な通貨により行なうものとする。
第六条 両政府は、特に、それぞれの国の領域内における経済の発展及び生活水凖の向上に資するため、科学的及び技術的知識の交換を容易にするものとする。
第七条 両国間の貿易を発展させ、かつ、経済関係を強化するため、いずれの一方の国の政府も、他方の国の国民の自国の領域における入国、滞在、旅行、居住及び諸種の活動を無差別の原則に従い容易にするものとする。
第八条 両国は、関税及び貿易に関する一般協定に規定されている正常な関係のわく内で協力するものとする。
第九条 いずれの一方の国の政府も、この取極の実施に関して他方の国の政府が行なう申入れに対し、好意的考慮を払うものとする。
第十条 この取極は、千九百六十五年一月一日に効力を生じ、一年間効力を有する。この取極は、いずれか一方の政府がその有効期間の満了の三箇月前の書面による予告によつて廃棄しない限り、暗默の更新により一年ずつ更新される。
千九百六十四年十一月二十四日にフォール・ラミーで、フランス語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 蓮見幸雄
チャード共和国政府のために アブドレィ・ラマナ
A表
日本国のチャード共和国向け輸出品
(A) 機械類
一 紡績機械及び機器
二 耕地用及び刈入用農業機械及び機器
三 電力計
四 内燃機関付トラクター
五 精米用機械及び機器
六 トランジスター・ラジオの部品
七 ミシン
八 双眼鏡及び望遠鏡
九 写真機及び映画機械(部品及び映写機を含む。)
十 レンズ
十一 無線電話及び無線電信用の発信機及び受信機の部品
十二 魚群探知機
十三 漁網製造機
十四 電池(トランジスター用を含む。)
十五 露出計
十六 電力計測、検査及びコントロール用機器
十七 蓄電器
十八 モーター・サイクル
(B) 金属及び金属製品
一 鉄鋼及び鉄鋼製品(亜鉛鉄板を含む。)
二 非鉄金属及び非鉄金属製品
(C) 化学品
一 医薬品(血清及びワクチンを含む。)
二 各種ヴィタミン
三 抗生物質
四 殺虫剤
五 酸化チタン
六 化粧品
七 映画用フィルム
八 石炭
九 肥料
(D) 繊維
一 絹織物
二 長繊維化合繊糸
三 長繊維化合繊維物
四 短繊維化合繊糸
五 短繊維化合繊維物
六 毛糸
七 毛織物
八 生糸
九 絹屑糸
十 綿織物
十一 タオル生地
十二 ガーゼ生地
十三 綿糸
十四 漁網
十五 メリヤス製品及び衣料
十六 毛布類
(E) 雑品目
一 釣具
二 ライター、パイプ等
三 玩具(各種)
四 合板
五 陶磁器
六 衛生用陶磁器
七 陶磁製碍子
八 ガラス製模造貴石
九 ゴム及びプラスチック製はきもの
十 黒鉛電極
十一 ガラス及びガラス製品、まほうびん
十二 セメント
十三 製粉器、研磨用具
十四 楽器
十五 レコード
十六 人造木材(ハード・ボード)
十七 ペーパーボード(アスファルト・ルーフィング)
十八 石綿製品
十九 錠前
二十 万年筆
二十一 鉛筆
二十二 パステル、白墨
二十三 スポーツ用品(柔道着を含む。)
二十四 アンチモニー製品
二十五 ナイフ、フォーク、スプーン
二十六 照明具、ランブ類
二十七 木製家庭用具
二十八 竹製品
二十九 扇子、団扇
三十 花火
三十一 豚皮製品
三十二 合成樹脂製品
三十三 ボタン
三十四 はけ(豚毛)
三十五 時計バンド
三十六 スライド・ファスナー
三十七 布製カバン及び袋物
三十八 金物(琺瑯鉄器等)
(F) 農産物
一 魚介かん詰(まぐろ、いわし等)
二 蟹かん詰
三 果物かん詰
四 果物ジュース
五 寒天
六 養殖真珠製品
七 ソース、香味料及び合成調味料
八 花むしろ
九 除虫菊
十 茶
十一 葉煙草
B表
チャード共和国の日本国向け輸出品
一 コットンリンター
二 綿糸
三 綿実油
四 落花生油
五 カリテ油
六 綿実絞り粕
七 落花生絞り粕
八 綿実
九 ひまの種
十 落花生の種
十一 アラビア ゴム
十二 各種皮革
十三 角
十四 ひずめ
十五 骨
十六 らくだの毛
十七 羊毛
十八 なつめやしの実
十九 天然炭酸ソーダ
二十 手工業製品
(対日ガット三十五条援用撤回に関する交換公文)
書簡をもつて啓上いたします。本日署名されたチャード共和国政府と日本国政府との間の貿易取極第八条に関し、本大臣は、チャード共和国政府が、関税及び貿易に関する一般協定第三十五条の規定の日本国に対する援用を撤回するために必要な措置を、赤道関税同盟・カメルーンの混合委員会が行なうことがある勧告のわく内で、できる限りすみやかに前記の一般協定の締約国団の書記局長に対し執ることを閣下に通報する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十四年十一月二十四日
チャード共和国経済運輸大臣 アブドレィ・ラマナ
日本国特命全権大使 蓮見幸雄閣下
書簡をもつて啓上いたします。本使は、次のことを本使に通報された本日付けの閣下の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(チャード側書簡)
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十四年十一月二十四日
日本国特命全権大使 蓮見幸雄
チャード共和国 経済運輸大臣 アブドレィ・ラマナ閣下