航空運輸企業の所得に対する課税の相互免除に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の交換公文
航空運輸企業の所得に対する課税の相互免除に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の交換公文
外務省は、日本国大使館に敬意を表するとともに、航空運輸企業に係る所得に対する租税及び営業税の相互主義に基づく免除に関し、次のとおり通報する光栄を有する。
1 ドイツ所得税法第四十九条2及びドイツ法人税法第六条の規定に基づき、相互主義を条件として、日本国で管理及び支配されている企業が行なう国際航空路における航空機(同企業が所有する航空機であると傭船による航空機であるとを問わない。)の運航により日本国に居住する者が取得する所得は、ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)において課される所得に対する租税を免除される。この場合、その企業がドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)内に有する営業所は、ドイツ営業税法第二条7の規定に基づき、ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)において課される営業税を免除される。
前記の規定は、航空運輸企業が共同計算、共同経営組織又は国際経営共同体において有する持分についても、適用される。
2 「者」とは、すべての種類の者、すなわち、自然人及び法人をいう。
3 「日本国に居住する者」とは、日本国の税法上日本国の居住者であり、かつ、ドイツ連邦共和国の税法上ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)内に住所又は通常の滞在地を有しない自然人をいう。法人は、その事業が日本国内で管理及び支配され、かつ、その本店を日本国内に有する場合には、「日本国に居住する者」とみなされる。
4 1に規定する免除は、千九百六十二年中に始まる事業年度及びその後の事業年度に生ずる所得について適用される。
外務省は、ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)の居住者が営む航空運輸企業の課税上の取扱いに関し、1にいう相互主義が日本国において与えられるかどうかについて通報されることを要請する。相互主義が与えられる場合には、ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)において、1に規定する課税の免除が実施される。
外務省は、さらに、次のことを確認する。
1 日本国の航空運輸企業の航空機は、ドイツ財産税法の規定に従い、ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)においてドイツ財産税を課されないこと。
2 前記の2及び3の定義による日本国に居住する者である法人が営む航空運輸企業には、日本国政府又はその機関が営む航空運輸企業も含まれること。
3 この相互主義の確認が最初に適用される事業年度前の事業年度に生ずる日本国の航空運輸企業の所得は、日本側においてドイツの航空運輸企業に対して租税を課していない限り、相互主義の原則に基づき、租税を課されないこと。
外務省は、日本国大使館が、この相互主義の確認が最初に適用される事業年度前の事業年度に生じたドイツの航空運輸企業の所得が、ドイツ側において日本国の航空運輸企業に対し相互主義の原則に基づき租税を課していない限り、租税を課されないことを確認されれば幸甚である。
外務省は、ここに重ねて日本国大使館に向かつて敬意を表する。
千九百六十四年十月五日にボンで
日本国大使館は、外務省に敬意を表するとともに、本日付けの外務省の口上書を受領したことを確認する光栄を有する。大使館は、さらに、同口上書が、日本国の航空運輸企業がドイツ連邦共和国において、関係法令に基づき、相互主義を条件として所得に対する租税及び営業税を免除されることを述べているので、日本国において、昭和三十七年法律第百四十四号及び関係法令に基づき、相互主義の適用として次の措置が執られることを外務省に対し通報する光栄を有する。
1 ベルリン地区を含むドイツ連邦共和国(以下「ドイツ連邦共和国」いとう。)の企業が行なう国際航空路における航空機(同企業が所有する航空機であると傭船による航空機であるとを問わない。)の運航により生ずる所得は、日本国において課される所得税、法人税、住民税及び事業税を免除される。
前記の規定は、航空運輸企業が共同計算、共同経営組織又は国際経営共同体において有する持分についても、適用する。
2 1にいう「ドイツ連邦共和国の企業」とは、ドイツ連邦共和国の税法上ドイツ連邦共和国内に住所又は通常の滞在地を有し、かつ、日本国の税法上日本国の居住者でない自然人が営む企業でドイツ連邦共和国内で管理及び支配されているもの並びにドイツ連邦共和国内にその本拠を有し、かつ、その事業がドイツ連邦共和国内で管理及び支配されている法人又はドイツ連邦共和国政府若しくはその機関が営む企業をいう。
3 1に規定する免除は、千九百六十二年中に始まる事業年度及びその後の事業年度に生ずる所得について適用される。
日本国大使館は、さらに、次のことを了知する。
1 日本国の航空運輸企業の航空機は、ドイツ財産税法の規定に従い、ドイツ連邦共和国(ベルリン地区を含む。)においてドイツ財産税を課されないこと。
2 ドイツ側口上書2及び3の定義による日本国に居住する者である法人が営む航空運輸企業には、日本国政府又はその機関が営む航空運輸企業も含まれること。
3 この相互主義の確認が最初に適用される事業年度前の事業年度に生ずる日本国の航空運輸企業の所得は、日本側においてドイツの航空運輸企業に対して租税を課していない限り、相互主義の原則に基づき、租税を課されないこと。
日本国大使館は、外務省に対し、日本側において、千九百六十一年以前の事業年度に生じたドイツ航空運輸企業の所得が租税を課されていないことを通報する。
日本国大使館は、ここに重ねて外務省に向かつて敬意を表する。
千九百六十四年十月五日にバート・ゴーデスベルグで