海運業及び航空運輸業の所得に対する課税の相互免除に関する日本国とフランス共和国との間の交換公文
海運業及び航空運輸業の所得に対する課税の相互免除に関する日本国とフランス共和国との間の交換公文
書簡をもつて啓上いたします。千九百二十四年日本国法律第六号を改正する、国際航路又は国際航空路における船舶又は航空機の運航から生ずる所得に対する相互主議の条件に基づく課税の免除に関する千九百六十二年五月二十五日から施行の同年日本国法律第百四十四号に関し、本使は、日本国政府が次の了解を内容とするこの交換公文の形式による一層一般的な合意をもつて千九百三十一年五月五日付けの海運業から生ずる所得に対する課税の相互免除に関する日本国政府とフランス政府との間の交換公文に代える意図を有することを閣下に通報する光栄を有します。
1(A) フランス政府は、日本の企業による船舶又は航空機(その企業によつて所有されているか又は用船されているかを問わない。)の国際航路又は国際航空路における運航により取得するすべての収益及び所得について、個人所得税、補充税、会社その他の法人に対する収益税その他フランス国のために課される収益及び所得に対するすべての租税を免除する。
(B) 日本国政府は、フランスの企業による船舶又は航空機(その企業によつて所有されているか又は用船されているかを問わない。)の国際航路又は国際航空路における運航により取得するすべての収益及び所得について、所得税、法人税その他日本国のために課される収益及び所得に対するすべての租税を免除する。
2(A) 「フランスの企業」とは、フランス政府、フランスの居住者である自然人で日本国の居住者でないもの、又はフランスにおいて管理され、かつ、支配されている会社若しくは人的会社でその本店若しくは主たる事務所を日本国内に有しないものによつて運営される企業をいう。
(B) 「日本の企業」とは、日本国政府、日本国の居住者である自然人でフランスの居住者でないもの、又は日本国に本店若しくは主たる事務所を有する会社でフランスにおいて管理され、かつ、支配されていないものによつて運営される企業をいう。
3 「国際航路又は国際航空路における運航」とは、一方の国のある企業が他方の国において行なう貨客の国際運送のみならず、他の海運企業又は航空企業のための旅客切符の販売、都市と空港とを結ぶ乗合自動車業務の運営のような附随的な収入を生ずるものをも含む。ただし、その収入の合計が当該他方の国において得る総売上高の五パーセントをこえない場合に限る。
4 この合意は、日本国及びフランスにおいて、これを実施するための必要な手続が完了し、かつ、両国が相互にその旨の通報を受けた時に効力を生ずる。
この合意は、次のものに最初に適用するものとする。
(a) 収益に対する税に関しては、千九百六十二年一月一日に又は同日後に始まる最初の事業年度に生じた収益に対する課税
(b) 源泉控除方式によつて徴収される動産資本所得に対する租税に関しては、千九百六十二年十二月三十一日の日後に行なわれる支払に係る所得に対する課税
5 1に定める租税の免除は、両国間で現在交渉されている二重課税に関する一般的な条約が効力を生ずるまで、引き続き効力を有する。
なお、法令の廃止又は改正の結果、1の規定が日本国又はフランスで適用することができなくなつた場合には、前記の免除は直ちに終了する。
本使は、前記の規定がフランス政府の同意を得るならば、この書簡及び閣下の返簡が両国政府の間の合意を構成することを提案します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十二年十二月二十一日
萩原 徹
フランス外務省総務局長 全権公使 F・ルデュク閣下
書簡をもつて啓上いたします。本官は、閣下が本官に送付された本日付けの次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本官は、以上の規定がフランス政府の同意を得たことを閣下に通報するとともに、前記の書簡及びこの返簡が両国政府の間の合意を構成することを閤下に確認する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百六十二年十二月二十一日
F・ルデュク
フランス国駐在 日本国特命全権大使 萩原徹閣下