日本国とタイとの間の文化協定
日本国とタイとの間の文化協定
日本国政府及びタイ政府は、相互の利益のため、両国を結ぶ文化的のきずなを維持し、かつ、緊密にすることを希望するので、
文化協定を締結することに決定し、次のとおりそれぞれの全権委員を任命した。
日本国政府
外務大臣 重光葵
タイ政府
外務大臣 プラチャオオラオンタークロマムーンナラティップ・ポンプラバン
これらの全権委員は、その企権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた後、次の規定を協定した。
第一条 両締約国は、特に次の諸手段により、各締約国内において相手国の文化が一層理解されるように、できる限りの便宜を相互に与えるものとする。
(a) 書籍、定期刊行物その他の出版物
(b) 講演、演奏会及び演劇
(c) 美術展覧会その他の文化的性質を有する展覧会
(d) ラジオその他類似の手段
(e) 科学的、教育的又は文化的性質を有する映画
第二条 両締約国は、教授、学者、学生その他特に文化活動に従事する者の両国間における交換を奨励するものとする。
第三条 両締約国は、自国の大学その他の教育又は研究の機関における相手国の文化に関する諸問題を取り扱う講義の拡充及び創設を奨励するものとする。
第四条 両締約国は、いずれか一方の締約国の国民が、他方の締約国内において修学若しくは研究を行い、又は技術を習得することができるように、これらの者に奨学金その他の便宜を与えるための方法を研究するものとする。
第五条 両締約国は、いずれか一方の締約国において修学中に又は修学終了の際に大学その他の教育機関から与えられる学位及び資格証書並びに当該締約国において与えられるその他の資格証書が、修学上の目的のため、及び今後定める若干の場合においては職業上の目的のため、他方の締約国においても同等の価値を認められるための方法及び条件を研究するものとする。
第六条 両締約国は、両国の学会その他の文化団体が協力することを奨励するものとする。
第七条 いずれの締約国も、自国内において、相手国の国民に対し、博物館、図書館その他の資料供覧施設の利用について便宜を与えるものとする。
第八条 両締約国は、この協定の実施及び適用の条件を一層具体化するため必要があるときは、協議を行うものとする。
第九条 この協定は、批准されるものとし、バンコックで行われるべぎ批准書の交換の日に効力を生する。
第十条 この協定は、五年間効力を存続するものとし、その期間の満了後においても、いずれか一方の締約国がその廃棄を通舎した日から起算して一年の期間が満了するまでなお効力を有する。
以上の証拠として、前記の全権委員は、この協定に暑名調印した。
昭和三十年四月六日(仏暦二千四百九十八年四月六日に相当する。)に東京で、ひとしく正文である日本語及びタイ語により本書二通を作成した。
重光葵(署名調印)
ワイ・ワイタヤコン クロマムーン ナラティップ・ポンプラバン(署名調印)