外交郵袋ニ關スル交換公文
外交郵袋ニ關スル交換公文
墨國外務大臣ヨリ帝國臨時代理公使宛來翰
以書翰致啓上候陳者墨國政府ノ名ニ於テ左記ノ條件ニ遵ヒ當國外務省、在東京墨國公使館間並ニ貴國政府、在墨國貴國公使館間ニ於ケル外交文書特別郵嚢ニ關スル制度ヲ單ニ公文交換ノ形式ニ依リテ設定セムトスル希望ヲ申進スルノ光榮ヲ有シ候
一、前記ノ郵嚢ハ不可侵トシ且兩國ノ利用シ得ル郵送方法ニ依り輸送スヘキモノトス但シ横濱ト「マンサニヨ」又ハ「サリナ、クルス」トノ間及「マンサニヨ」又ハ「サリナ、クルス」ト横濱トノ間ノ航海業務ヲ営ム日本船舶ヲ優先使用スルモノトス
二、前記ノ郵嚢ハ一切ノ郵便料ヲ免除セラルヘシ尤モ右郵嚢ニシテ日本國ヨリ他ノ一又ハ數國ヲ經由シテ墨西哥國ニ向ケ仕立テラレタルトキハ日本國ノ郵政廳ハ該郵嚢ノ運送ニ依リ經由國ノ爲ニ生スルコトアルヘキ通過費用ヲ低減郵便料トシテ徴収スルコトヲ得
三、各郵嚢ハ強靱ナル革又ハ布ヲ以テ製シ堅固ナル鎖鑰ヲ具フヘシ宛名ハ堅固ナル荷札又ハ郵嚢ノ表面ニ之ヲ明記スヘシ
四、兩國政府及公使館ハ何レモ郵嚢ノ鍵ヲ保存スヘシ
五、各郵嚢ハ内容共如何ナル場合ニ於テモ三十瓩ヲ超過スヘカラス
六、墨西哥合衆國及日本帝國ノ各郵政廳ハ本行政上ノ取極ノ即時施行ニ付必要ナル措置ヲ定ムヘシ
本官ハ貴國政府ニ於テ出來得ル限リ速ニ右取極ニ對シ贊意ヲ表明セラレンコトヲ希望シ玄ニ此ノ機會ニ於テ貴下ニ向ヒ重テ深厚ナル敬意ヲ表シ候 敬具
千九百二十一年十月十五日
墨西哥共和國外務大臣 アルベルト、ジー、パニ(署名)
日本帝國臨時代理公使 伊藤敬一殿
帝國臨時代理公使ヨリ墨國外務大臣宛往翰
以書翰致啓上候陳者本日附書翰ヲ以テ御申越ノ趣致敬承候日本帝國政府ハ左記ノ條件ニ遵ヒ在東京日本帝國外務省、在墨日本公使館間並貴國外務省、在東京貴國公使館間ニ於ケル外交文書特別郵嚢ニ關スル制度ヲ單ニ公文交換ノ形式ニ依リテ設定センカ爲貴國政府卜協定ヲ逐ケントスル希望アルコトヲ囘答スルノ光榮ヲ有シ侯
一、前記ノ郵嚢ハ不可侵トシ且兩國ノ利用シ得ル郵送方法ニ依リ輸送スヘキモノトス但シ横濱ト「マンサニヨ」又ハ「サリナ、クルス」トノ間及「マンサニヨ」又ハ「サリナ、クルス」ト横濱トノ間ノ航海業務ヲ營ム日本船舶ヲ優先使用スルモノトス
二、前記ノ郵嚢ハ一切ノ郵便料ヲ免除セラルヘシ尤モ右郵嚢ニシテ日本國ヨリ他ノ一又ハ數國ヲ經由シテ墨西哥國ニ向ケ仕立テラレタルトキハ日本國ノ郵政廳ハ該郵嚢ノ運送ニ依リ經由國ノ爲ニ生スルコトアルヘキ通過費用ヲ低減郵便料トシテ徴収スルコトヲ得
三、各郵嚢ハ強靱ナル革又ハ布ヲ以テ製シ堅固ナル鎖鑰ヲ具フヘシ宛名ハ堅固ナル荷札又ハ郵嚢ノ表面ニ之ヲ明記スヘシ
四、兩國政府及公使館ハ何レモ郵嚢ノ鍵ヲ保存スヘシ
五、各郵嚢ハ内容共如何ナル場合ニ於テモ三十瓩ヲ超過スヘカラス
六、墨西哥合衆國及日本帝國ノ各郵政廳ハ本行政上ノ取極ノ即時施行ニ付必要ナル措置ヲ定ムヘシ
本官ハ閣下ニ向テ深厚ナル敬意ヲ表シ候 敬具
千九百二十一年十月十七日
日本帝國臨時代理公使 伊藤敬一(署名)
墨西哥共和國外務大臣 アルベルト、ジー、パニ閣下