一部旅券査証の相互免除に関する日本国政府とギリシャ政府との間の取極(交換公文)
一部旅券査証の相互免除に関する日本国政府とギリシャ政府との間の取極(交換公文)
日本国臨時代理公使からギリシャ外務大臣にあてた書簡
書簡をもつて啓上いたします。本使は、両国国民の旅券の領事査証の免除について行われた会談に関し、日本国政府が、厳密な相互主義の下に次の取極をギリシャ政府と締結する権限を本使に与えたことを閣下に通報する光栄を有します。
1 自国の有効な旅券を所持する日本国民又はギリシャ国民は、その出発する国のいかんを問わず、三箇月をこえない滞在のため、事前に査証をうけることなく自由にギリシャ又は日本国にそれぞれ赴くことができる。
2 各国は、査証なしですでに自国の領域に入国したことがある相手国の国民が、出国した日から三箇月の期間が満了する前に、査証なしで再び入国することを、国内法令に従つて拒否することができる。この制限は次の場合には適用しない。
(a) 入国した国の地方官憲が免除を与えた場合
(b) 通過旅行の場合
(c) 相手国の国民の住所が自国の領域にあることが証明された場合
3 この取極に定める査証の免除は、日本国又はギリシャにそれぞれ赴く両国の国民に対し、外国人の入国、滞在及び出国に関する日本国又はギリシャの国内法令を遵守すべき義務を免除するものではない。
両国の官憲は、好ましくないと認める者の自国ヘの入国又は自国における滞在を拒否する権利を留保する。
4 生業、職業又はその他の業務に従事する目的をもつて、ギリシャ又は日本国に赴くことを希望する日本国民又はギリシャ国民は、この取極の1に定める免除を受けることができず、いかなる場合にも、それぞれの国の領事官憲から事前に必要な許可を受けなければならない。
5 この取極の2の規定にかかわらず、公用又は特別旅券(外交、公務又は公用旅券を含む。)を所持する各国の国民は、入国の度数に関するなんらの制限をも受けることなく相手国に赴くことができる。
6 この取極は、千九百五十六年六月十日に効力を生ずる。
各国は、一箇月の予告をもつてこの取極を廃棄することができる。
本使は、ギリシャ政府が前記の諸規定を承諾する用意を有されるときは、この書簡及び同様な文言による閣下の返簡を両国政府間の取極を構成するものとみなすことを閣下に提案する光栄を有します。
本使は以上を伸し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向つて敬意を表します。
千九百五十六年五月十日
ギリシャ駐在日本国臨時代理公使 藤 健一
ギリシャ外務大臣 スピロス・テオトキス閣下
ギシリャ外務大臣から日本国臨時代理公使にあてた書簡
書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、次のとおり通報された千九百五十六年五月十日付の貴簡を受領したことを確認する光栄を有します。
本使は、両国国民の旅券の領事査証の免除について行われた会談に関し、日本国政府が、厳密な相互主義の下に次の取極をギリシャ政府と締結する権限を本使に与えたことを閣下に通報する光栄を有します。
1 自国の有効な旅券を所持する日本国民又はギリシャ国民は、その出発する国のいかんを問わず、三箇月をこえない滞在のため、事前に査証をうけることなく自由にギリシャ又は日本国にそれぞれ赴くことができる。
2 各国は、査証なしですでに自国の領域に入国したことがある相手国の国民が、出国した日から三箇月の期間が満了する前に、査証なしで再び入国することを、国内法令に従つて拒否することができる。この制限は次の場合には適用しない。
(a) 入国した国の地方官憲が免除を与えた場合
(b) 通過旅行の場合
(c) 相手国の国民の住所が自国の領域にあることが証明された場合
3 この取極に定める査証の免除は、日本国又はギリシャにそれぞれ赴く両国の国民に対し、外国人の入国、滞在及び出国に関する日本国又はギリシャの国内法令を遵守すべき義務を免除するものではない。
両国の官憲は、好ましくないと認める者の自国への入国又は自国における滞在を拒否する権利を留保する。
4 生業、職業又はその他の業務に従事する目的をもつて、ギリシャ又は日本国に赴くことを希望する日本国民又はギリシャ国民は、この取極の1に定める免除を受けることができず、いかなる場合にも、それぞれの国の領事官憲がら事前に必要な許可を受けなければならない。
5 この取極の2の規定にかかわらず、公用又は特別旅券(外交、公務又は公用旅券を含む。)を所持する各国の国民は、入国の度数に関するなんらの制限をも受けることなく相手国に赴くことができる。
6 この取極は、千九百五十六年六月十日に効力を生ずる。
各国は、一箇月の予告をもつてこの取極を廃棄することができる。
本使は、ギリシャ政府が前記の諸規定を承諾する用意を有されるときは、この書簡及び同様な文言による閣下の返簡を両国政府間の取極を構成するものとみなすことを閣下に提案する光栄を有します。
本大臣は、ギリシャ政府が、厳密な相互主義の下に、前記の取極を前記の日より実施することを貴使に通報する光栄を有します。
本大臣は以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴使に向つて敬意を表します。
千九百五十六年五月十日
外務大臣の授権により
総務局長大使 C・L・スィンディカス
日本国臨時代理公使 藤 健一閣下