日本人鉱山労務者のドイツ連邦共和国ルール炭鉱における期限付就労のための日本国政府とドイツ共和国政府との間の取極(交換公文)
日本人鉱山労務者のドイツ連邦共和国ルール炭鉱における期限付就労のための日本国政府とドイツ共和国政府との間の取極(交換公文)
日本国大使館からドイツ外務省にあてた書簡
 JB464/56
 口上書
 日本国大使館は、自国政府の名において及びその訓令に基き、ドイツ連邦共和国外務省に対し日本人鉱山労務者のルール炭鉱における期限付就労に関し、次の提案を行う光栄を有する。
1 総数五百人をこえない二十一歳から三十歳までの日本人独身鉱山労務者で、日本の炭鉱において少くとも三年間の坑内就労の経験を有するものが、その職業上の技術を完成し、かつ、知識を広めるため、労務者として三年間ルール炭鉱に派遣される。
2 ドイツ連邦共和国政府は、日本人鉱山労務者の入国、滞在及び労働許可に関しすべての便益が与えられるように配慮する。
3 日本人鉱山労務者は、その出発前に就労していた日本の鉱業会社により、ドイツ連邦共和国における就労期間中、帰国後再び当該鉱業会社において労働に従事することを要求する権利を有するという条件の下に、休暇を与えられる。当該労務者の日本国における年金要求権に関しては、ドイツ連邦共和国内で費消した労働期間は、日本国内で費消したものとみなして取り扱われる。
4 前項の規制を考慮して、ルール炭鉱において就労する日本人鉱山労務者の活動は、ドイツ連邦共和国においてドイツ鉱員年金保険の適用を免除されるものと認められる。
5 ルール炭鉱において就労する日本人鉱山労務者は、労働条件、特に、労働賃金、労働保護及び労働時間に関し同種のドイツ人労務者と同等に取り扱われる。
6 日本人労務者は、ドイツ国民と同様の身体及び財産に関する保護並びに法律上の保護を受け、その賃金についてはドイツ人労務者と同様に法律により定められた課税の適用を受ける。
7 この提案に基いてルール炭鉱に派遣される日本人鉱山労務者の期限付就労は、別添の計画書の1から27までの各項に従い実施される。
 ドイツ連邦共和国政府がこれらの提案に同意するときは、この口上書及びドイツ連邦共和国政府の回答口上書は、両国の現行法令の範囲内でそれぞれの政府により実施されるべき日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の合意とみなされるものとし、この合意は、本日付で効力を生じ、かつ、前記の日本人鉱山労務者の日本国への帰国の時まで効力を有する旨相互に了解される。
 日本国大使館は、ここに重ねてドイツ連邦共和国外務省に向つて敬意を表する。
 千九百五十六年十一月二日にボンで
 ドイツ外務省から日本国大使館にあてた書簡
 505-553-11/37-59174-56
 口上書
 ドイツ連邦共和国外務省は、日本国大使館がドイツ連邦共和国政府に対し次のとおり述べた千九百五十六年十一月二日付日本国大使館ロ上書JB第四六四/五六号の受領を確認する光栄を有する。
 日本国大使館は、自国政府の名において及びその訓令に基き、ドイツ連邦共和国外務省に対し日本人鉱山労務者のルール炭鉱における期限付就労に関し、次の提案を行う光栄を有する。
1 総数五百人をこえない二十一歳から三十歳までの日本人独身鉱山労務者で、日本の炭鉱において少くとも三年間の坑内就労の経験を有するものが、その職業上の技術を完成し、かつ、知識を広めるため、労務者として三年間ルール炭鉱に派遣される。
2 ドイツ連邦共和国政府は、日本人鉱山労務者の入国、滞在及び労働許可に関しすべての便益が与えられるように配慮する。
3 日本人鉱山労務者は、その出発前に就労していた日本の鉱業会社により、ドイツ連邦共和国における就労期間中、帰国後再び当該鉱業会社において労働に従事することを要求する権利を有するという条件の下に、休暇を与えられる。当該労務者の日本国における年金要求権に関しては、ドイツ連邦共和国内で費消した労働期間は、日本国内で費消したものとみなして取り扱われる。
4 前項の規制を考慮して、ルール炭鉱において就労する日本人鉱山労務者の活動は、ドイツ連邦共和国においてドイツ鉱員年金保険の適用を免除されるものと認められる。
5 ルール炭鉱において就労する日本人鉱山労務者は、労働条件、特に、労働賃金、労働保護及び労働時間に関し同種のドイツ人労務者と同等に取り扱われる。
6 日本人労務者は、ドイツ国民と同様の身体及び財産に関する保護並びに法律上の保護を受け、その賃金についてはドイツ人労務者と同様に法律により定められた課税の適用を受ける。
7 この提案に基いてルール炭鉱に派遣される日本人鉱山労務者の期限付就労は、別添の計画書の1から27までの各項に従い実施される。
 ドイツ連邦共和国政府がこれらの提案に同意するときは、この口上書及びドイツ連邦共和国政府の回答ロ上書は、両国の現行法令の範囲内でそれぞれの政府により実施されるべき日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の合意とみなされるものとし、この合意は、本日付で効力を生じ、かつ、前記の日本人鉱山労務者の日本国への帰国の時まで効力を有する旨相互に了解される。
 ドイツ連邦共和国外務省は、日本国大使館に対し、ドイツ連邦共和国政府が、提案された規制に同意する旨並びに前記の千九百五十六年十一月二日付日本国大使館ロ上書及びこの回答ロ上書が両国の現行法令の範囲内でそれぞれの政府により実施されるべきドイツ連邦共和国政府と日本国政府との間の合意とみなされること、また、この合意が本日付で効力を生じ、かつ、前記の日本人鉱山労務者の日本国への帰国の時まで効力を生ずる旨相互に了解されることを通報する光栄を有する。
 ドイツ連邦共和国外務省は、ここに重ねて日本国大使館に向つて敬意を表する。
 千九百五十六年十一月二日にボンで