一部旅券査証及び査証料の相互免除に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の取極(交換公文)
ドイツ大使館から外務省にあてた書簡
524-10/352/54
口上書
在東京独逸連邦共和国大使館は、独逸国及び日本国政府の代表者の間に於て執行われた協議に基き、独逸連邦共和国政府に代り、且つその訓令に依り、謹んで外務省に次の通り通報する。
独逸連邦共和国政府は、日本国政府が、対応した措最を執られるならば、一九五四年三月一日以降、日本国籍保有者に対し、査証制度の範囲内に於て、次の如き便宜を供与する用意がある。
独逸連邦共和国の主務査証官庁は、連邦共和国の領域内に於て、就職する意図を有しない日本国籍保有者に対しては、有効な日本国旅券を呈示する上は、壱ケ年間の有効期間を有する、幾回にても入国を許可する入国査証を発給する。
一切の査証は、無手数料にて発給される。
一切の査証は、原則として、査証申請の際、査証申請人自身の出頭を必要とすることなくして発給される。さりながら特別の場合に於ては、独逸国査証官庁は、旅券法第六条第二項に依り、査証申請人自身の出頭を、要求することが出来る。
渉外警察令の規定並びに査証の拒否及び査証の無効宣告についての旅券法の規定は、この新規定によりて何等変更されることはない。
この協定は、万一連邦共和国政府が、日本国政府に対し、三ケ月以内に、何等これに反対する如き通告をなさざる以上は、西ベルリーンに対しても亦、その効力を有するものである。
昭和二十九年二月九日東京にて
外務省からドイツ大使館にあてた書簡
欧米四号第一八号
口上書
外務省は、在本邦ドイツ進邦共和国大使館に敬意を表するとともに、同大使館に対し左記の申入を行う光栄を有する。
日本国政府は、ドイツ連邦共和国政府が対応せる措置を採る場合においては、ドイツ連邦共和国国籍保有者に対し、一九五四年三月一日以降、査証制度に関し、左記の緩和措置を容認する用意がある。
日本国政府の海外における権限ある代表者は、日本国内において就職する意図を有しないドイツ連邦共和国国籍保有者に対し、有効なドイツ連邦共和国旅券の提示があれば、任意に欲するだけの回数の入国を認められるところの一年間有効な入国査証を付与する。
日本国政府の海外における権限ある代表者によつて与えられるすべての査証は手数料なしに付与されるものとする。
すべての査証は、旅券提示の際査証申請人本人の出頭を要求することなしに、付与されるものとする。
入国の拒否並びに強制退去に関する出入国管理令の規定及び外国人登録法の規定の適用は、この新しい取極により変更をうけることがない。
この協定は、ドイツ連邦共和国政府がら三カ月以内に反対の申入を受けない場合は、ベルリン地区に対しても効力を有する。
昭和二十九年二月九日
ドイツ大使館から外務省にあてた書簡
524-16/817/55
口上書
ドイツ連邦共和国政府は、千九百五十五年三月一日をもつてドイツ連邦共和国と外交関係を有する凡ての国の国人に対し、査証に関する抑制策を中止いたした旨、在日ドイツ連邦共和国大使館はここに外務省に通報するの光栄を有する。但しこの場合、その国の領土に帰還するその国人に対し帰還入国査証の調達を要求する国についてのみは、この限りでない。査証に関する抑制から免れる者とは、ドイツ連邦領土内に最長三カ月まで滞在のため入国する意向を有し、同地において生計を立てることを目的とする仕事になんら従事しない者に限らる。
ついては、前述の部類の日本国人は、将来ドイツ連邦共和国領土に入国するためには、最早査証を必要としない旨、日本当該管轄官庁におしらせ下されば、ドイツ連邦共和国大使館は外務省に向つて幸甚に存ずる次第である。
なお、ドイツ連邦共和国大使館は、日本政府におかれても、ドイツ国の旅券所持者に対し、なんらかの簡易化を御許可下さる御意向を事情によつてはもたるるよう承り、感謝いたす次第であるが、日本政府より時期を違えぬ内にこれに関し御通知をいただき得れば、同大使館は幸甚の至りである。
東京、昭和三十年三月七日
外務省からドイツ大使館にあてた書簡
欧米五号第一三六号
No. 136/EA5
口上書
NOTE VERBALE
外務省は、在本邦ドイツ連邦共和国大使館に敬意を表するとともに、ドイツ連邦共和国政府が一九五五年三月一日をもつて同国と外交関係を有する凡ての国の国民に対し査証に関する抑制策を中止した旨通報越した同大使館発一九五五年三月七日付口上書五二四-一六/八一七/五五に関し、左記のとおり同大使館に通報する光栄を有する。
The Ministry of Foreign Affairs presents its compliments to the Embassy of the Federal Republic of Germany in Japan, and, in reply to the latter's Verbale No.524-16/817/55 dated March 7, 1955, informing the Ministry that the Government of the Federal Republic of Germany, with effect from March 1, 1955, has relaxed the restriction on visa with regard to all nationals of the countries having diplomatic relations with the Federal Republic of Germany, has the honour to state as follows:
昭和三十年六月十八日
記
(一) 外務省は、ドイツ連邦共和国領土内に最長三カ月間まで滞在のため入国する意向を有し、同地において生計を立てることを目的とするなんらの仕事に従事しない日本国民が、ドイツ連邦共和国領土に入国するには今後査証を必要としない旨を関係官庁に通報した。
1) The Ministry has notified the Japanese authorities concerned that the Japanese nationals are allowed to enter the Federal Republic of Germany free of visa, if they stay there for three months or less and do not engage in any work to earn a living.
(二) 日本国政府は右ドイツ連邦共和国政府の措置にレシプロケートするため一九五五年七月一日以降次の措置をとることになつた。
2) In order to reciprocate the measures taken by the Government of the Federal Republic of Germany, the Japanese Government will enforce, effective from July 1, 1955, the following provisions:
(a) 有効なドイツ連邦共和国旅券を所持し、日本国内に継続して三カ月をこえて滞在せず、かつ、その間日本国内において生計を立てる職に従事しなドイツ国民の本邦入国については査証を免除し、通過者については十五日、観光のみを目的とする者については六十日、その他の者については申請者の必要に応じ九十日以内の継続した在留を認める。
a) The nationals of the Federal Republic of Germany holding a valid passport are a11owed to enter Japan free of visa, if they stay there for three months or less and do not engage in any work to earn a living. The entrants in the case of transit entry, are allowed to stay consecutively for 15 days, the tourists for 60 days, and others for 90 days or less in accordance with the circumstances.
(b) この措置はドイツ国民の本邦入出国及び在留について、出入国管理令及び外国人登録法の適用を排除するものではない。
b) It should be noted, however, that the above-mentioned measures do not exclude the application of the Immigration Control Order and the Alien Registration Law of Japan to the nationals of the Federal Republic of Germany in their entrance into or exit from Japan.
(c) この措置により査証なくして入国したドイツ国民の在留期間の更新は原則として認めない。
c) The nationals of the Federal Republic of Germany entering Japan free of visa under the measures are not allowed, as a matter of principle, to apply for the renewal of the specified term of stay.
Tokyo, June 18, 1955.