海運業から生ずる所得に対する課税の相互免除に関する日本国政府とドイツ政府との間の交換公文
海運業から生ずる所得に対する課税の相互免除に関する日本国政府とドイツ政府との間の交換公文
 ドイツ特命全権大使から外務大臣にあてた書簡
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、本国政府の訓令に基づき、船舶の運航から生ずる所得に対する二重課税の回避に関し、次の宣言を閣下に通報する光栄を有します。
1 ドイツ政府は、相互主義を条件として、ドイツ国内に住所を有することなく日本国に住所を有する日本国民及び日本国に本店を有する会社の、日本国に船籍港を有する船舶をもつて営む海運業から生ずるすべての所得及び収益について所得税及び法人税を免除するために、ライヒ租税令第十五款に基づく必要な措置を執ることを宣言する。この免除は、千九百三十年一月一日から徴収すべき課税額に適用する。
2 日本国及びドイツ国とは、それぞれ両国の一方の統治の下にあるすべての領域をさすものと解する。
3 「海運業」とは、船舶所有者が海運業として営む海運事業をさす。この「所有者」とは、「用船者」を含む。
4 1に定める課税免除が、法令の改正のために実施することができなくなつたときは、直ちに効力を失うものとする。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて重ねて敬意を表します。
 千九百三十四年七月二十五日に東京において
 ドイツ特命全権大使
ヘルベルト・フォン・ディルクセン
 外務大臣 広田弘毅閣下
 外務大臣からドイツ特命全権大使にあてた書簡
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、船舶の運航から生ずる所得の二重課税の回避に関する本日付の書簡を受領したことを確認し、次の宣言を閣下に通報する光栄を有します。
1 日本国政府は、相互主義を条件として、日本国内に住所を有することなくドイツ国に住所を有するドイツ国民及びドイツ国内に本店を有する会社のドイツに船籍港を有する船舶をもつて営む海運業から生ずるすべての所得及び収益について所得税及び営業収益税を免除するために、千九百二十八年法律第六号によつて改正された千九百二十四年法律第六号及び関係命令に従つて、必要な措置を執ることを宣言する。この免除は、千九百三十年一月一日から徴収すべき課税額に適用する。
2 日本国及びドイツ国とは、それぞれ両国の一方の統治の下にあるすべての領域をさすものと解する。
3 「海運業」とは、船舶所有者が海運業として営む海運事業をさす。この「所有者」とは、すべての「用船者」を含む。
4 1に定める課税免除が、法令の改正のために実施することができなくなつたときは、直ちに効力を失うものとする。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて重ねて敬意を表します。
 千九百三十四年七月二十五日に東京において
 外務大臣 広田弘毅(署名)
 ドイツ特命全権大使
ヘルベルト・フォン・ディルクセン閣下