千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第十二条に基く、千九百十一年八月十九日にパリで署名された日本国とフランスとの間の通商航海条約の一部規定の暫定適用に関する日本国とフランスとの間の交換公文
千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第十二条に基く、千九百十一年八月十九日にパリで署名された日本国とフランスとの間の通商航海条約の一部規定の暫定適用に関する日本国とフランスとの間の交換公文
 フランス全権公使から日本国臨時代理大使にあてた書簡
 書簡をもつて啓上いたします。フランス政府は、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコで暑名された平和条約の第十二条の規定に従つて、日本国政府と新たな居住航海条約について交渉する用意を有します。
 もつとも、フランス政府は、新たな居住航海条約が締結されるまでの間、経過措置として、且つ、相互主義の条件で、千九百十一年八月十九日にパリで署名された日本国とフランスとの間の通商航海条約中の若干の規定を復活することが利益であると認めます。
 よつて、本官は、次の了解の下に、本日から両国の間で前記の通商航海条約の第一条、第二条、第三第、第四条、第十一条から第十五条まで及び第十八条の規定を復活することを提案する光栄を有します。
(1) 第一条第一項において、「国法」とは、外国人の入国及び在留並びに職業又は生業に従事することに関する法令を含むものとする。
(2) 前記により復活する規定は、アルジェリー及び海外行政区画に対してのみ適用があるものとする。それらの規定は、交換公文により、今後フランス連合のそのたの地域に適用することができる。
(3) 締約国の一方が他の一方に対しこの取極を廃棄する意思を通告した場合には、この取極は、その廃棄通告の日から一年の期間が満了するまでの間、その効力を存続する。
 本官は、貴臨時代理大使に敬意を表します。
 千九百五十二年六月十一日パリにおいて
 セール
 パリ
日本国臨時代理大使、全権公使 萩原徹殿
 日本国臨時代理大使からフランス全権公使にあてた書簡
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、次の内容を有する本日付の貴簡を受領したことを確認する光栄を有します。
 フランス政府は、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコで署名された平和条約の第十二条の規定に従つて、日本国政府と新たな居住航海条約について交渉する用意を有します。
 もつとも、フランス政府は、新たな居住航海条約が締結されるまでの間、経過措置として、且つ、相互主義の条件で、千九百十一年八月十九日にパリで署名された日本国とフランスとの間の通商航海条約中の若干の規定を復活することが利益であると認めます。
 よつて、本官は、次の了解の下に、本日から両国の間で前記の通商航海条約の第一条、第二条、第三条、第四条、第十一条から第十五条まで及び第十八条の規定を復活することを提案する光栄を有します。
(1) 第一条第一項において「国法」とは、外国人の入国及び在留並びに職業又は生業に従事することに関する法令を含むものとする。
(2) 前記により復活する規定は、アルジェリー及び海外行政区画に対してのみ適用があるものとする。それらの規定は、交換公文により、今後フランス連合のその他の地域に適用することができる。
(3) 締約国の一方が他の一方に対しこの取極を廃棄する意志を通告した場合には、その取極は、その廃棄通告の日から一年の期間が満了するまでの間、その効力を存続する。
 本国政府の訓令により、本使は、貴官に対し、日本国政府が貴簡に掲げられる提案に同意する旨並びに日本国政府が、フランスによりフランス領域で日本国民及び日本船舶に与えられる待遇と同一の待遇を本日から日本国領域でフランス国民及びフランス船舶に与えることをサン・フランシスコの平和条約の第十二条の規定に従つて約束する旨を通知する光栄を有します。
 本使は、貴官に敬意を表します。
 千九百五十二年六月十一日パリにおいて
 日本国臨時代理大使 萩原徹
 パリ
外務省政務社会局長、全権公使 セール殿
 日本国臨時代理大使からフランス全権公使にあてた書簡
 書簡をもつて啓上いたします。日本国は、千九百五十一年九月八日のサン・フランシスコ条約により、その旧領域の一部を放棄しました。
 日本国政府は、それらの地域が帰属した国の政府と、それらの地城を出身地として日本国に居住する者の地位に関し交渉中であつて、それらの者が出身地たる国の国籍を取得して日本国に引き続き居住することを許すことになるかもしれません。
 また、それらの者は、日本国民にのみ留保されているある種の権利及び特権を日本国の国籍を有していた時期に取得したこと並びに千九百四十五年八月十五日前に日本国に住所を定めたことを条件として、それらの権利及び特権を引き続き有することを許されることになるかもしれません。それらの権利及び特権は、日本国民でない者への譲渡又は日本国民でない者の相続の対象とすることができないものと了解されます。
 よつて、本使は、千九百五十二年六月十一日付の貴簡及び同日付の本使書簡に関し、日本国政府が日本国から分離した地域を出身地とする者に対して前記の条件による特殊の待遇を与えるようになつた場合には、その殊遇は、千九百十一年八月十九日にパリで署名された日本国とフランスとの間の通商航海条約で定める最恵国待遇によつてはフランス国民に与えることができないものである旨を表明する光栄を有します。
 本使は、貴官に敬意を表します。
 千九百五十二年六月十一日パリにおいて
 日本国臨時代理大使 萩原徹
 パリ
外務省政務社会局長、全権公使 セール殿
 フランス全権公使から日本国臨時代理大使にあてた書簡
 書簡をもつて啓上いたします。本官は、貴臨時代理大使が次のとおり通知された千九百五十二年六月十一日付の貴簡を受領したことを確認する光栄を有します。
 書簡をもつて啓上いたします。日本国は、千九百五十一年九月八日のサン・フランシスコ条約により、その旧領域の一部を放棄しました。
 日本国政府は、それらの地域が帰属した国の政府と、それらの地域を出身地として日本国に居住する者の地位に関し交渉中であつて、それらの者が出身地たる国の国籍を取得して日本国に引き続き居住することを許すことになるかもしれません。
 また、それらの者は、日本国民にのみ留保されているある種の権利及び特権を日本国の国籍を有していた時期に取得したこと並びに千九百四十五年八月十五日前に日本国に住所を定めたことを条件として、それらの権利及び特権を引き続き有することを許されることになるかもしれません。それらの権利及び特権は、日本国民でない者への譲渡又は日本国民でない者の相続の対象とすることができないものと了解されます。
 よつて、本使は、千九百五十二年六月十一日付の貴簡及び同日付の本使書簡に関し、日本国政府が日本国から分離した地域を出身地とする者に対して前記の条件による特殊の待遇を与えるようになつた場合には、その殊遇は、千九百十一年八月十九日にパリで署名された日本国とフランスとの間の通商航海条約で定める最恵国待遇によつてはフランス国民に与えることができないものである旨を表明する光栄を有します。
 本官は、貴臨時代理大使に対し、フランス政府が前記の場合における最恵国待遇はいずれの第三国の国民にも与えられるものではないという了解の下に前記の書簡に掲げられる措置に同意する旨を通知する光栄を有します。
 本官は、貴臨時代理大使に敬意を表します。
 千九百五十二年六月十一日パリにおいて
 セール
 パリ
日本国臨時代理大使、全権公使 萩原徹殿