司法共助に関する交換公文
司法共助に関する交換公文
 日本国特命全権大使からブラジル外務大臣にあてた書簡
 第四一号
 書簡をもつて啓上いたします。本使は、日本国政府が、日本国とブラジルとの間において民事事件に関する司法共助の保証を行うため、ブラジル合衆共和国政府と次の取極を締結する権限を本使に賦与したことを閣下に通報する光栄を有します。
 「日本国政府及びブラジル合衆共和国政府は、両国の裁判所の間において、民事事件における書類の送達及び嘱託書に基く証拠調に関し相互主義に基き、且つ、それぞれの国内法の規定の範囲内で司法共助を行うことにつき合意する。
 前記の司法共助は、千九百四十年十一月一日から実施する。
 書類の送達及び証拠調に要する費用は、嘱託裁判所の所属国の政府が支出する。送達依頼書、嘱託書及び関係書類は、外交機関を経由して送付し、且つ、受託裁判所の所属国の公用語による翻訳文をこれに添附するものとする。
 いずれの一方の締約国も、六月前の通告をもつてこの取極を廃棄することができる。
 本使は、本国政府の提案を提出するに当り、貴国政府において前記の提案を受諾することができるかどうかについて本使に通報されることを希望いたします。
 本使は、以上を申し進めますに際し、ここに重ねて閣下に向つて敬意を表します。
 千九百四十年九月二十三日
桑島主計
 ブラジル外務大臣 オスワルド・アラーニャ閣下
 ブラジル外務大臣から日本国特命全権大使にあてた書簡
 NP/44/000.(42)(56)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、貴国政府が、ブラジルと日本国との間において民事事件に関する司法共助の保証を行うため、ブラジル合衆共和国政府と次の取極を締結する権限を閣下に賦与したことを通報された本日付の貴簡第四一号を受領したことを確認する光栄を有します。
 「日本国政府及びブラジル合衆共和国政府は、両国の裁判所の間において、民事事件における書類の送達及び嘱託書に基く証拠調に関し相互主義に基き、且つ、それぞれの国内法の規定の範囲内で司法共助を行うことにつき合意する。
 前記の司法共助は、千九百四十年十一月一日から実施する。
 書類の送達及び証拠調に要する費用は、嘱託裁判所の所属国の政府が支出する。送達依頼書、嘱託書及び関係書類は、外交機関を経由して送付し、且つ、受託裁判所の所属国の共用語による翻訳文をこれに添附するものとする。
 いずれの一方の締約国も、六月前の通告をもつてこの取極を廃棄することができる。」
 本大臣は、ブラジル政府が閣下により伝達された提案を受諾し、及び前記の条件で取極が成立したものと認めることを閣下に通報する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めますに際し、ここに重ねて閣下に向つて敬意を表します。
 千九百四十年九月二十三日
 オスワルド・アラーニャ
 大日本帝国
特命全権大使 桑島主計閣下