円借款の供与に関する日本国政府とペルー共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府とペルー共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本使は、ペルー共和国の経済の安定及び開発努力を促進することを目的として供与される日本国の借款に関して日本国政府の代表者とペルー共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) 四百二十六億千七百万円(四二、六一七、〇〇〇、〇〇〇円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、この書簡に附属する表(以下「付表」という。)に掲げる事業計画の実施のため、各事業計画につき付表に定める配分に応じ、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従って、ペルー共和国政府に供与されることになる。
(2) 借款は、千九百九十三年六月二十五日に日本国政府により公表された開発途上国への資金協力計画の2(2)に沿って供与されることになる。
2(1) 借款は、ペルー共和国政府と基金との間で締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び使用に関する手続は、なかんずく次の原則を含むことになる前記の借款契約によって規制される。
(a) 償還期間は、七年の据置期間の後十八年とする。
(b) 利子率は、付表の1及び2に掲げる事業計画並びに3に掲げる事業計画の環境部分を除いた部分については、年二・七パーセントとし、付表の4及び5に掲げる事業計画並びに3に掲げる事業計画の環境部分については、年二・五パーセントとする。ただし、借款の一部がコンサルタントに対して行う支払のために使用される場合には、当該部分に対する利子率は、付表の1及び2に掲げる事業計画並びに3に掲げる事業計画の環境部分を除いた部分については、年二・三パーセントとし、付表の4及び5に掲げる事業計画並びに3に掲げる事業計画の環境部分については年二・一パーセントとする。
(c) 支出期間は、付表の1及び3に掲げる事業計画については、関係借款契約の発効の日から四年とし、付表の4及び5に掲げる事業計画については、関係借款契約の発効の日から六年とし、付表の2に掲げる事業計画については、関係借款契約の発効の日から五年とする。
(2) (1)にいう借款契約の各々は、基金が当該借款契約に係る事業計画の実行可能性(環境に対する配慮を含む。)を確認した後に締結される。
(3) (1)(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3(1) 借款は、ペルーの実施機関が調達適格国の供給者、請負業者又はコンサルタントに対して行う支払で、付表に掲げる事業計画の実施に必要な生産物又は役務の購入のために両者の間で締結されることのある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物又はそれらの国から供給される役務について行われる。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
(3) 借款の一部は、付表に掲げる事業計画の実施のための適格な現地通貨の需要に充てるために使用することができる。
4 ペルー共和国政府は、3(1)にいう生産物又は役務が基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか従うべき国際入札の手続をなかんずく定める。)に従って調達されることを確保する。
5 ペルー共和国政府は、次の措置をとる。
(a) 基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらに関連してペルー共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税の免除
(b) 請負業者又はコンサルタントとして活動する日本国の会社について、付表に掲げる事業計画の実施に必要な自己の資材及び設備の輸入及び再輸出に関してペルー共和国において課されるすべての関税及び関連の財政課徴金の一時輸入制度に関する法令に基づく免除
(c) 付表に掲げる事業計画の実施に従事する日本国民である被用者について、供給者、請負業者又はコンサルタントとして活動する日本国の会社から取得する個人所得に対してペルー共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税のペルー共和国の現行法に基づく免除
6 ペルー共和国政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輸送及び海上保険に関し、海運会社及び海上保険会社の間の公正かつ自由な競争を妨げることのあるいかなる制限も課さない。
7 3(1)にいう生産物又は役務の供給に関連してペルー共和国においてその役務が必要とされる日本国民は、作業の遂行のためペルー共和国への入国及び同国における滞在に必要な便宜を与えられる。
8 ペルー共和国政府は、次のことを確保するために必要な措置をとる。
(a) 借款が適正にかつ専ら付表に掲げる事業計画のために使用されること。
(b) 借款に基づいて建設される施設がこの了解に定める目的のために適正にかつ効果的に維持され及び使用されること。
9 ペルー共和国政府は、要請に応じ、日本国政府に対し付表に掲げる事業計画の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
10 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
 本使は、閣下が前記の了解をペルー共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十七年九月十八日にリマで
 ペルー共和国駐在
        日本国特命全権大使 小西芳三
 ペルー共和国
        経済財政大臣 ホルヘ・カメット・ディックマン閣下
付表
                         (限度額)
1 地方幹線道路整備計画(Ⅱ)        九十一億八千四百万円
2 電力フロンティア拡大計画           百一億四千万円
3 アマゾン地域社会インフラ整備計画    五十九億七千六百万円
4 山岳地域貧困緩和環境保全計画      五十六億七千七百万円
5 首都圏上水供給強化計画(マルカⅡ)      百十六億四千万円
(ペルー側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、閣下の書簡に述べられた了解をペルー共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十七年九月十八日にリマで
 ペルー共和国
        経済財政大臣 ホルヘ・カメット・ディックマン
 ペルー共和国駐在
        日本国特命全権大使 小西芳三閣下