債務救済措置に関する日本国政府とギニア共和国政府との間の交換公文
債務救済措置に関する日本国政府とギニア共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百九十五年一月二十五日にパリで開催されたギニア共和国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議において到達した結論に基づき日本国政府の代表者とギニア共和国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、当該交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) この取極は、一方においてギニア共和国政府及びギニア共和国の政府機関と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で千九百八十六年一月一日より前に契約され、日本国政府が保険を引き受けた弁済期間が一年を超える商業上の債務の元本、繰延利子及び遅延利子であって、次に掲げるもの(以下「繰延商業債務」という。)の総額に適用される。
(a) 千九百八十七年十一月五日に日本国政府とギニア共和国政府との間で交換された書簡(以下「従前の書簡」という。)により行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、千九百九十四年十二月三十一日以前に弁済期限の到来した未払のもの。
(b) 従前の書簡により行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、千九百九十五年六月三十日に弁済期限の到来した未払のもの。
(c) (a)にいう債務の遅延利子であって、千九百九十四年十二月三十一日以前に生じたもの。
(2) 繰延商業債務は、日本円によって契約されたもの及び合衆国ドルによって契約されたものから成る。
(a) (1)(a)にいう債務の額は、日本円によって契約されたものについては、一億三千二百五十六万四千六百十一円(一三二、五六四、六一一円)、合衆国ドルによって契約されたものについては、八百六十万三千二百九十三合衆国ドル四十三セント(八、六〇三、二九三・四三合衆国ドル)と見積もられる。
(c) (1)(b)にいう債務の額は、日本円によって契約されたものについては、三千五十五万三千二百三十三円(三〇、五五三、二三三円)、合衆国ドルによって契約されたものについては、百九十八万三千九百五十四合衆国ドル二十一セント(一、九八三、九五四・二一合衆国ドル)と見積もられる。
(c) (1)(c)にいう遅延利子の額は、この書簡の附属書一に掲げる算定方法に従って算出される。
(3) (2)にいう額は、日本国政府及びギニア共和国政府の関係当局が行う最終的照合の後に両政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
2(1) ギニア共和国政府は、ギニア共和国中央銀行を通じて、繰延商業債務を決済するため(4)に掲げる支払計画(以下「支払計画」という。)に従って行われる支払の額及び日付について日本国政府に通告する。
(2) ギニア共和国政府は、繰延商業債務の総額を支払計画に従いギニア共和国中央銀行を通じ関係契約によって指定された通貨により債権者に支払う。
(3) 日本国政府は、商業上の関係債務が支払計画に従って行われる支払により決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(4) 繰延商業債務の各々は、この書簡の附属書二に掲げる支払計画に従って千九百九十六年七月一日に始まる四十五回の半年賦払によって支払われる。
3(1) ギニア共和国政府は、繰延商業債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(2)に定めるところにより算定される利子を次の計画に従って債権者に支払う。
(a) 最初の利子の支払は、千九百九十六年七月一日に行われる。
(b) 最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払は、毎年一月一日及び七月一日に行われる。
(2)(a) 繰延商業債務に対して千九百九十五年一月一日からこの書簡の交換の日の前日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、日本円によって契約された債務については、年八・〇パーセントとし、合衆国ドルによって契約された債務については、年七・五パーセントとする。
(b)  繰延商業債務に対してこの書簡の交換の日から適用される利子率は、日本円によって契約された債務については、年一・七二五二パーセントとし、合衆国ドルによって契約された債務については、年一・四二二八パーセントとする。
(c) 支払われる利子の額は、未決済の債務の額に当該債務が決済されないままに経過した日数及び一日当たりの利子率を乗じて算定される。一日当たりの利子率は、(a)及び(b)にいう利子率を三百六十五で除して算定される。前記の算定方法を算式で表したものが、この書簡の附属書三に掲げられる。
(3) ギニア共和国政府は、支払計画((1)に掲げる利子の支払計画を含む。)上の支払が遅延した場合には、未払額から生ずる遅延利子を、日本円によって契約された債務については、年九パーセントの利子率によって、また、合衆国ドルによって契約された債務については、年八・五パーセントの利子率によって支払う。
(4) 支払われる利子については、ギニア共和国のすべての租税及び課徴金が免除される。
4 ギニア共和国政府は、商業上の関係債務の決済に伴って生ずる銀行手数料を支払う。
5 関係契約の条件のうちこの書簡において特に言及されていないものは、関係契約の当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き適用されることが確認される。
6 ギニア共和国政府は、いずれかの第三国の居住者である債権を有する者に対し債務救済措置について2(4)にいう条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国の居住者である債権者に与えられる条件より不利でない条件を、債権者に直ちに与える。
7 ギニアの債務(この取極が対象とするものを含む。)の再編に関してギニア共和国政府の代表者及び関係債権諸国政府の代表者が新たな結論に到達した場合には、日本国政府とギニア共和国政府との間でこの取極の継続又は修正について討議するための協議が行われる。
 本使は、閣下が前記の了解をギニア共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十六年一月二十二日にコナクリで
 ギニア共和国駐在
        日本国特命全権大使 恒川賢友
 ギニア共和国大蔵大臣 エル・ハジ・カマラ閣下
附属書一
 遅延利子の額の算定方法の算式
 I=A×D×R×1/356
 I:利子の額
 A:未決済の債務の額
 D:債務が決済されていないままに経過した日数
 R:年間の利子率
(注)
(1)Dは、従前の書簡に定める弁済期間から千九百九十四年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2)Rは、日本円によって契約された債務については年九・〇パーセント、合衆国ドルによって契約された債務については年八・五パーセントとする。
附属書二
 千九百九十六年七月一日       一・七四パーセント
 千九百九十七年一月一日       〇・九四パーセント
 千九百九十七年七月一日       〇・九八パーセント
 千九百九十八年一月一日       一・〇二パーセント
 千九百九十八年七月一日       一・〇七パーセント
 千九百九十九年一月一日       一・一山パーセント
 千九百九十九年七月一日       一・一六パーセント
 二千年一月二日           一・二一パーセント
 二千年七月一日           一・二六パーセント
 二千一年一月一日          一・三一パーセント
 二千一年七月一日          一・三六パーセント
 二千二年一月一日          一・四一パーセント
 二千二年七月一日          一・四七パーセント
 二千三年一月一日          一・五二パーセント
 二千三年七月一日          一・五八パーセント
 二千四年一月一日          一・六四パーセント
 二千四年七月一日          一・七〇パーセント
 二千五年一月一日          一・七六パーセント
 二千五年七月一日          一・八二パーセント
 二千六年一月一日          一・八八パーセント
 二千六年七月一日          一・九五パーセント
 二千七年一月一日          二・〇一パーセント
 二千七年七月一日          二・〇八パーセント
 二千八年一月一日          二・一五パーセント
 二千八年七月一日          二・二二パーセント
 二千九年一月一日          二・二九パーセント
 二千九年七月一日          二・三六パーセント
 二千十年一月一日          二・四四パーセント
 二千十年七月一日          二・五一パーセント
 二千十一年一月一日         二・五九パーセント
 二千十一年七月一日         二・六七パーセント
 二千十二年一月一日         二・七五パーセント
 二千十二年七月一日         二・八四パーセント
 二千十三年一月一日         二・九二パーセント
 二千十三年七月一日         三・〇〇パーセント
 二千十四年一月一日         三・一〇パーセント
 二千十四年七月一日         三・一九パーセント
 二千十五年一月一日         三・二八パーセント
 二千十五年七月一日         三・三七パーセント
 二千十六年一月一日         三・四七パーセント
 二千十六年七月一日         三・五七パーセント
 二千十七年一月一日         三・六七パーセント
 二千十七年七月一日         三・七七パーセント
 二千十八年一月一日         三・八七パーセント
 二千十八年七月一日         三・九九パーセント
附属書三
 遅延商業債務の利子の額の算定方法の算式
 I=A×D×R×1/356
 I:利子の額
 A:未決済の債務の額
 D:債務が決済されないままに経過した日数
 R:年間の利子率
(注)
(1)3(1)(a)基づく千九百九十六年七月一日における最初の利子の支払に関し、
(a)1(1)(a)にいう債務については、Dは、千九百九十五年一月一日から千九百九十六年六月三十日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(b)1(1)(ab)にいう債務については、Dは、千九百九十五年六月三十日から千九百九十六年六月三十日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2)最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払については、Dは、当該支払に先立つ支払の日から当該支払の前日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(ギニア側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をギニア共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十六年一月二十二日にコナクリで
 ギニア共和国大蔵大臣 エル・ハジ・カマラ
 ギニア共和国駐在
       日本国特命全権大使 恒川賢友閣下