青年海外協力隊の派遣に関する日本国政府とチリ共和国政府との間の交換公文
青年海外協力隊の派遣に関する日本国政府とチリ共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本官は、両政府間で千九百七十八年七月二十八日に締結された技術協力協定の枠組みの中で実施されている両政府間の技術協力について良好な関係が築かれている結果にかんがみ、日本国とチリ共和国との技術協力を促進するため青年海外協力隊計画(以下「計画」という。)に基づき協力隊員をチリ共和国に派遣することに関し、日本国政府の代表者とチリ共和国政府の代表者との間で最近行われた討議に言及するとともに、これらの代表者の間で到達した次の了解を日本国政府に代わって確認する光栄を有します。
1 日本国政府は、チリ共和国政府の要請に基づき、日本国の現行法令に従い、チリ共和国の社会的及び経済的開発に寄与するため、両政府の関係当局間で別個に合意される計画に従い協力隊員をチリ共和国に派遣するために必要な措置をとる。協力隊員は、チリ共和国政府が関心を有する分野の専門性を考慮して選考される。
2 日本国政府は、予算措置がとられることを条件として、協力隊員の日本国とチリ共和国との間の渡航費及びチリ共和国における生活手当を負担し、また、協力隊員の任務の遂行に必要な装備、機械、材料及び医薬品を供与するために必要な措置をとる。
3 チリ共和国政府は、その関係法令に従い、技術協力の専門家に対して与えられるものと類似の次の特権、免除及び便宜を協力隊員に対して与える。
(1) 2にいう装備、機械、材料及び医薬品の輸入に対し又はそれに関連して課される関税、内国税その他の課徴金の免除
(2) 協力隊員の身回品及び家庭用品の輸入に対し又はそれに関連して課される関税、内国税その他の課徴金(保管、運搬及び類似の役務に関するものを除く。)の免除
(3) 2にいう協力隊員に対して海外から送金される生活手当に対し又はそれに関連して課される所得税その他の課徴金の免除
(4) チリ共和国政府より協力隊員に対して与えられる任務を遂行する場所における現地の条件及び協力隊員の財政事情を考慮し、チリ共和国における協力隊員の配属先である同国国内機関を通じて、同国における医療及び住居の費用の負担に供するため、協力隊員に対し、月ごとの手当の支給
(5) チリ共和国の関係法令に従って、協力隊員の任務の遂行に必要な無線通信機の設置及び使用の許可
(6) 協力隊員の任務の遂行に際し関係当局が必要な便宜を供与することを確保するための身分証明書の当該協力隊員に対する交付
4(1) チリ共和国政府は、チリ共和国における計画の活動に関連して日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(JICA)が与える任務を遂行する駐在員一名及び調整員を受け入れる。チリ共和国政府は、本取極に関連する事項の実施及び調整機関として国際協力庁(AGCI)を指定する。
(2) チリ共和国政府は、駐在員及び調整員に対し、次の特権、免除及び便宜を与える。
(i) 駐在員及び調整員の任務の遂行に必要な装備、機械、材料及び医薬品の輸入に対し又はそれに関連して課される関税、内国税その他の課徴金の免除
(ii) 駐在員及び調整員の身回品及び家財の輸入に対し又はそれに関連して課される関税、内国税その他の課徴金(保管、運搬及び類似の役務に関するものを除く。)の免除
(iii) 駐在員及び調整員に対して海外から送付される報酬若しくは手当に対し又はそれらに関連して課される所得税その他の課徴金の免除
(iv) 駐在員及び調整員各一名につき一台の自動車の無税輸入又はチリ共和国における保税倉庫からの購入許可
(v) チリの関係国内法令に従う、駐在員及び調整員の任務の遂行に必要な無線通信機の設置及び使用の許可
5 チリ共和国政府は、本取極に関連する任務の遂行のための協力隊員の活動に起因するいかなる請求に関しても責任を負う。チリ共和国政府の責任は、協力隊員に帰属する故意または重大な過失に起因する請求を含まないことが了解される。
6 両政府は、チリ共和国における計画の実施を成功させるため随時協議する。
7 本取極は、両政府間の書簡の交換によって修正することができ、かつ、いずれかの政府が他方の政府に対し本取極を終了させる意思を六箇月前に書面によって通告することにより終了させることができる。
本官は、更に、この書簡及び前記の了解をチリ共和国政府に代わって確認される閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十六年七月九日にサンティアゴで
日本国外務政務次官 小川元
チリ共和国外務大臣代理 マリアノ・フェルナンデス閣下
(チリ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの貴官の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、前記の了解をチリ共和国政府に代わって確認するとともに、貴官の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずることに同意する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴官に向かって敬意を表します。
千九百九十六年七月九日にサンティアゴで
チリ共和国外務大臣代理 マリアノ・フェルナンデス
日本国外務政務次官 小川元殿