環境の保護の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定
環境の保護の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定
 日本国政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、
 環境の保護が重要な意義を有していることに留意するとともに、国際的な協力を通じこの分野において現実的な成果が達成されることを希望し、
 将来の世代の利益を考慮して経済的及び社会的な発展を実現していくため、環境の保護及び改善が重要であることを理解し、
 両政府間の協力がそれぞれの国における環境の保護に関する共通の問題に対処する上で相互の利益となることを信じ、
 そのような協力により地球上の環境の保護及び改善のための国際的な努力が一層促進されることを希望し、
 千九百七十三年十月十日に署名された科学技術協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定において科学技術分野における両政府間の協力の枠組みが設定されていることに留意して、
 次のとおり協定した。
第一条
 両政府は、各国の関係法令及び利用可能な資金の範囲内で、平等、相互主義及び相互利益の原則に基づき環境の保護の分野における協力を発展させる。
第二条
 協力は、環境に対する有害な影響及びその予防に関する調査及び研究を行うことを目的として、次の分野において行うことができる。
(a) 大気汚染の防止
(b) 水質汚濁の防止
(c) 有害廃棄物の処理
(d) 都市環境の改善
(e) 生態系及び生物学的多様性の保護
(f) 地球の温暖化の防止
(g) 人間の活動及び自然の作用が気候にもたらす影響の研究
(h) オゾン層の保護
(i) 環境悪化の健康上、生物学上及び遺伝上の影響に関する研究
(j) 環境の保護及び改善に関連するその他の分野であって今後合意されるもの
第三条
 協力は、次の形態により行うことができる。
(a) 公の研究機関の専門家の交換
(b) 公の研究機関の専門家による会議及びシンポジウムの開催
(c) 公の研究機関の研究結果その他の情報の交換
(d) 公の研究機関の間の共同研究の実施
(e) その他の形態であって今後合意されるもの
第四条
1 両政府は、この協定の実施状況についての検討及び、必要な場合には、両政府に対する適当な提案の作成のため、日ソ環境保護合同委員会(以下「合同委員会」という。)を設置する。
2 両政府は、この協定の署名の日の後三箇月以内に合同委員会の共同議長各一名を指名し、外交上の経路を通じて相互に通報する。
3 合同委員会は、原則として年一回東京及びモスクワで交互に会合する。
4 合同委員会は、必要な場合には、協力の個別の分野を検討するための作業部会を設置することができる。
5 合同委員会の会合が開催されていない期間中の合同委員会の任務に関する連絡は、外交上の経路を通じて行われる。
第五条
 両政府は、両国の各種団体及び機関並びに個人の間の環境の保護及び改善の分野における協力をできる限り促進する。
第六条
 この協定のいかなる規定も、両政府間の協力に関する他の取極でこの協定の署名の日に存在するもの又はその後締結されるものに影響を及ぼすものと解してはならない。
第七条
 両政府は、必要に応じ、この協定から生ずることのある種々の事項について及びこの協定に基づく協力の効果的な実施のため、外交上の経路を通じて協議する。
第八条
 この協定は、署名の日に効力を生じ、二年間効力を有するものとし、その後においても、いずれか一方の政府がこの協定を終了させる意思を他方の政府に通告した日から六箇月の期間が満了するまで引き統き効力を有する。
 千九百九十一年四月十八日に東京で、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
中山太郎
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために
ア・ア・ベススメルトヌィフ