千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書
千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書
日本国政府及びフランス共和国政府は、
原子力の分野における日本国とフランスとの間の協力の進展に留意し、
原子力の平和的利用に関する協力を、予見可能であり、かつ、長期にわたる確固たる基礎の上に促進することを希望し、
協定に基づいて移転された情報、資材、核物質、設備、施設及び機微な技術が平和的非爆発目的にのみ使用されることが両国政府の意図するところであることを確認し、
資材、核物質、設備、施設及び機微な技術の輸出に関する両国政府の政策に留意し、
日本国及びフランスが国際原子力機関(以下「機関」という。)の加盟国であり、日本国政府は機関との間において千九百七十七年三月四日にウィーンで核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する協定に署名し、フランス共和国政府は欧州原子力共同体及び機関との間において千九百七十八年七月二十日にブラッセルで及び千九百七十八年七月二十七日にウィーンでフランスにおける保障措置の適用に関する協定に署名したことを考慮し、
千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定(以下「協定」という。)を改正することを希望して、
次のとおり協定した。
第一条 1協定第一条1中(a)から(d)までの部分以外の部分を次のように改める。
両締約国政府は、この協定に従い、両国における原子力の平和的非爆発目的利用を促進し及び開発するため、次の方法で協力する。
2協定第一条1(c)を次のように改める。
(c)各締約国政府又はその管轄の下にある認められた者は、原子力の平和的非爆発目的利用に必要な資材、核物質、設備、施設及び機微な技術を、他方の締約国政府若しくはその管轄の下にある認められた者に供給し又はこれらから受領することができる。その供給又は受領に関する条件は、関係する締約国政府又は者の間の合意により事例ごとに定める。
3協定第一条2を次のように改める。
2両締約国政府は、また、原子力の平和的非爆発目的利用を促進し及び開発するため、1の方法以外の方法による協力、特に原料物質の探鉱、採掘及び利用に関する協力を行うことができる。
第二条 協定第一条の次に次の一条を加える。
第一条のA 前条に定める両締約国政府の間の協力は、この協定の規定並びにそれぞれの国において効力を有する関係する国際約束及び法令に従うものとし、かつ、前条1(c)に定める協力の場合については、次の要件に従う。
(a)日本国政府又はその認められた者が関係する場合には、日本国政府の管轄の下で又は場所のいかんを問わずその管理の下で行われるすべての原子力活動に係るすべての核物質について、国際原子力機関(以下「機関」という。)の保障措置が適用されること。
(b)フランス共和国政府又はその認められた者が関係する場合には、フランス共和国政府の管轄の下で又は場所のいかんを問わずその管理の下で行われるすべての非軍事的原子力活動において使用される核物質のうちフランス共和国政府により指定されるすべてのものについて、機関の保障措置が適用されること。
第三条 協定第二条を次のように改める。
第二条 この協定に基づいて移転された資材、核物質、設備、施設及び機微な技術、この協定に基づいて移転された機微な技術に基づく設備及び施設並びに回収され又は副産物として生産された核物質は、平和的非爆発目的にのみ使用される。
第四条 協定第二条の次に次の一条を加える。
第二条のA 1前条の規定に基づく義務の履行を確保するため、この協定に基づいて移転された核物質及び回収され又は副産物として生産された核物質は、(a)日本国政府の管轄の下では、核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関し日本国政府と機関との間に締結された協定に基づいて機関及び日本国政府の適用する保障措置の対象とされ、
(b)フランス共和国政府の管轄の下では、フランスにおける保障措置の適用に関しフランス共和国政府、欧州原子力共同体及び機関の間に締結された協定に基づいて機関の適用する保障措置の対象とされる。
2機関がいずれか一方の締約国政府の管轄の下にある当該核物質について1の規定によつて必要とされる保障措置を適用しないこととなつた場合には、両締約国政府は、機関の保障措置の原則及び手続に合致する保障措置制度であつて、1に規定する保障措置と同等の効果及び適用範囲を有するものを適用するために、直ちに取極を結ぶ。
第五条 協定第三条を次のように改める。
第三条 この協定に基づいて移転された核物質及び回収され又は副産物として生産された核物質に関し、適切な防護の措置が、最小限この協定の附属書Aに定める水準において、維持される。
第六条 協定第四条を次のように改める。
第四条 1この協定に基づいて移転された資材、核物質、設備及び施設並びに回収され又は副産物として生産された核物質は、受領締約国政府の管轄の下で、当該締約国政府によつて認められた者にのみ移転される。
2この協定に基づいて移転された資材、核物質及び設備、この協定に基づいて移転された核物質から得られた核物質並びにこの協定に基づいて移転された設備又は施設を用いて行う一又は二以上の処理によつて得られた核物質は、次の保証を適切な方法で受領締約国政府が得る場合又はこのような保証が得られない場合において供給締約国政府の事前の同意があるときを除くほか、受領締約国政府の管轄の外に移転され又は再移転されない。
(a)その移転先において平和的非爆発目的にのみ使用されること。
(b)核物質について、その移転先において機関による保障措置が適用されること。
(c)核物質について、その移転先においてこの協定の附属書Aに定める水準の防護の措置がとられること。
3次に掲げるものは、2の規定に従うものとし、かつ、供給締約国政府の事前の文書による同意がある場合を除くほか、受領締約国政府の管轄の外(供給締約国政府の管轄を除く。)に移転され又は再移転されない。
(a)濃縮、再処理又は重水生産の設備及び施設であつてこの協定に基づいて移転されたもの
(b)この協定に基づいて移転された同位元素ウラン二三三若しくは二三五の二十パーセント以上の濃縮ウラン、プルトニウム又は重水
(c)この協定に基づいて移転された機微な技術並びにこの協定に基づいて移転された機微な技術に基づく設備及び施設
第七条 協定第四条の次に次の一条を加える。
第四条のA 1直接であると第三国を経由してであるとを問わず、千九百九十年四月九日にパリで署名されたこの協定を改正する議定書の效力発生後日本国とフランスとの間で移転される資材、核物質、設備及び施設については、供給締約国政府がその移転に先立ち文書により受領締約国政府に通告した場合に限り、かつ、これらが受領締約国政府の管轄に入る時から、この協定の適用を受ける。
2この協定の適用を受ける資材、核物質、設備及び施設は、次の場合には、この協定の適用を受けないこととなるものとする。
(a)当該品目がこの協定の関係規定に従い受領締約国政府の管轄の外に移転された場合
(b)当該品目について、両締約国政府が合意する場合
(c)核物質について、機関が、第二条のAに規定する日本国政府と機関との間の協定又はフランス共和国政府、欧州原子力共同体及び機関の間の協定中保障措置の終了に係る規定に従い、当該核物質が消耗したこと、機関の保障措置の適用が相当とされるいかなる原子力活動にも使用することができないような態様で希釈されたこと又は実際上回収不可能となつたことを決定した場合
3この協定に基づいて移転される機微な技術は、それが受領締約国政府の管轄に入る時から、両締約国政府が合意により定める時までこの協定の適用を受ける。
4この協定の適用上、この協定の附属書Bに掲げる機微な技術は、この協定に基づいて移転されたものとみなす。
第八条 協定第七条の次に次の一条を加える。
第七条のA この協定の解釈又は適用から生ずる紛争で交渉又は両締約国政府の合意する他の方法により解決されないものは、いずれか一方の締約国政府の要請により、次のように構成される仲裁裁判所に付託する。すなわち、両締約国政府は、それぞれ、一人の仲裁裁判官を指名し、指名された二人の仲裁裁判官は、裁判長となる第三の仲裁裁判官を選任する。仲裁裁判の要請が行われた後三十日以内にいずれか一方の締約国政府が仲裁裁判官を指名しなかつた場合には、いずれか一方の締約国政府は、国際連合事務総長に対し、一人の仲裁裁判官を任命するよう要請することができる。第二の仲裁裁判官の指名又は任命が行われた後三十日以内に第三の仲裁裁判官が選任されなかつた場合には、同様の手続が適用される。仲裁裁判には、仲裁裁判所の構成員の過半数が出席していなければならず、すべての決定は、過半数による議決で行う。仲裁裁判の手続は、仲裁裁判所が定める。仲裁裁判所の決定は、両締約国政府を拘束する。
第九条 1協定第八条(a)を次のように改める。
(a)「設備」とは、原子力計画における使用のために特に設計され又は製造された主要な機械、装置若しくは器具又はその主要な構成部分であつて、この協定の附属書CのA部に掲げるものをいう。
2協定第八条(d)を次のように改める。
(d)「公開の情報」とは、秘密指定を受けていない情報をいう。
3協定第八条(g)及び(h)を次のように改める。
(g)「核物質」とは、原料物質又は特殊核分裂性物質をいう。
(h)「回収され又は副産物として生産された核物質」とは、この協定に基づいて移転された核物質から得られた核物質又はこの協定に基づいて移転された設備若しくは施設若しくはこの協定に基づいて移転された機微な技術に基づく設備若しくは施設を用いて行う一若しくは二以上の処理によつて得られた核物質をいう。
(i)「資材」とは、原子炉用の資材であつてこの協定の附属書CのB部に掲げるものをいい、核物質を含まない。
(j)「機微な技術」とは、濃縮、再処理又は重水生産の設備又は施設の設計、建設、運転又は保守にとつて重要なものとして両締約国政府が合意により指定する有形の資料をいい、公衆が入手することのできる資料を含まない。
(k)「この協定に基づいて移転された機微な技術に基づく設備及び施設」とは、その製造又は建設に利用された技術の主要な部分がこの協定に基づいて移転された機微な技術であるとして両締約国政府が合意により指定する設備及び施設をいう。
第十条 1協定第九条1中「十」を「四十五」に改める。
2協定第九条2を次のように改める。
2各締約国政府は、他方の締約国政府が第二条、第二条のA、第三条若しくは第四条の規定に基づく義務又は第七条のAに規定する仲裁裁判所の決定を履行しない場合には、当該他方の締約国政府に対し是正措置をとるよう要求する権利を有する。その是正措置が適当な期間内にとられなかつたときは、その是正措置を要求した締約国政府は、書面による通告によつてこの協定を廃棄する権利を有する。この協定が廃棄された場合には、いずれの締約国政府も、この協定に基づいて締結された契約の廃棄及びこの協定に基づいて移転された特殊核分裂性物質でその時に他方の締約国政府の管轄の下にあるものの返還を要求することができる。ただし、その返還につき時価による支払を行うことを条件とする。
3この協定が廃棄され又は終了した場合においても、第二条、第二条のA、第三条、第四条、第四条のA2から4まで、第七条、前条及び2の規定は、必要である限り引き続き効力を有する。
第十一条 協定第九条の次に次の一条を加える。
第九条のA この協定の附属書は、この協定の不可分の一部を成す。この協定の附属書は、両締約国政府の合意により、この協定を改正することなく修正することができる。
第十二条 1この議定書は、両国のそれぞれの憲法に従つて承認されなければならない。この議定書は、それぞれの国において憲法上の要件が満たされたことを確認する通告の交換の日に効力を生ずる。
2この議定書は、改正後の協定第九条3の規定に従うことを条件として、改正後の協定が効力を失う時に効力を失う。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。
千九百九十年四月九日にパリで、ひとしく正文である日本語及びフランス語により本書二通を作成した。
日本国政府のために
木内昭胤
フランス共和国政府のために
フランソワ・シェール
原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の附属書A
防護の水準 第三群 使用及び貯蔵に当たつては、出入が規制されている区域内において行うこと。
輸送に当たつては、特別の予防措置(荷送人、荷受人及び運送人の間の事前の取決め並びに国際輸送にあつては、供給国及び受領国それぞれの管轄権及び規制に服する者の間の事前の合意で輸送に係る責任の移転する日時、場所及び手続を明記したものを含む。)の下に行うこと。
第二群 使用及び貯蔵に当たつては、出入が規制されている防護区域内、すなわち、警備員若しくは電子装置による常時監視の下にあり、かつ、適切な管理の下にある限られた数の入口を有する物理的障壁によつて囲まれた区域内又は防護の水準がこのような区域と同等である区域内において行うこと。
輸送に当たつては、特別の予防措置(荷送人、荷受人及び運送人の間の事前の取決め並びに国際輸送にあつては、供給国及び受領国それぞれの管轄権及び規制に服する者の間の事前の合意で輸送に係る責任の移転する日時、場所及び手続を明記したものを含む。)の下に行うこと。
第一群 この群に属する核物質は、許可なしに使用されることのないように高度の信頼性を有する方式により、次のとおり防護される。
使用及び貯蔵に当たつては、高度に防護された区域内、すなわち、第二群について定められた防護区域であつて、更に、信頼性の確認された者に出入が限られ、かつ、適当な関係当局と緊密な連絡体制にある警備員の監視の下にある区域内において行うこと。(このこととの関連においてとられる具体的な措置は、攻撃又は許可なしに出入が行われること若しくは許可なしに関係核物質が持ち出されることを発見し及び防止することを目的とする。)
輸送に当たつては、第二群及び第三群の核物質の輸送について定められた前記の特別の予防措置をとるほか、更に、護送者による常時監視の下及び適当な関係当局との緊密な連絡体制が確保される条件の下に行うこと。
原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の附属書B
原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定第四条のA4の規定により協定に基づいて移転されたとみなされる機微な技術とは、次のものをいう。
両締約国政府によつて認められた者の間の千九百八十七年四月三十日の契約に基づき、原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の効力発生前にフランスから日本国に移転された六ヶ所村の商業規模再処理施設の設計、建設及び運転に係る有形の資料であつて、両締約国政府が合意により指定するもの
原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の附属書C
A部 1原子炉 制御された自己維持的核分裂連鎖反応を維持する運転能力を有する原子炉(ゼロ出力炉を除く。ゼロ出力炉とは、設計上の最大プルトニウム生成量が年間一◯◯グラムを超えない炉をいう。)
2原子炉圧力容器 1に定義された原子炉の炉心を収納するために特に設計され若しくは製作され、かつ、一次冷却材の運転圧力に耐えることのできる金属容器の完成品又はその主要な工作部品
3原子炉燃料交換機 1に定義された原子炉に燃料を挿入し又はこれから燃料を取り出すために特に設計され又は製作された操作用の設備であつて、原子炉の運転時に操作の可能なもの又は原子炉の停止時に複雑な操作(例えば、通常、燃料を直接見ること又は燃料へ近づくことができない場合の操作)を可能にする高度の位置決め若しくは芯出しの技術を使用するもの
4原子炉制御棒 1に定義された原子炉における反応度の制御のために特に設計され又は製作された棒
5原子炉圧力管 1に定義された原子炉の内部に燃料要素及び一次冷却材を五◯気圧を超える運転圧力で収納するために特に設計され又は製作された管
6ジルコニウム管 年間供給量が五◯◯キログラムを超える量のジルコニウム金属若しくはジルコニウム合金の管又はこれらの管の集合体であつて、1に定義された原子炉の内部において使用するために特に設計され又は製作され、かつ、ハフニウムとジルコニウムとの重量比が一対五◯◯未満のもの
7一次冷却材ポンプ 1に定義された原子炉の一次冷却材として液体金属を循環させるために特に設計され又は製作されたポンプ
8照射済燃料要素の再処理プラント及び当該プラントのために特に設計され又は製作された設備
9燃料要素の加工プラント
10分析機器以外の設備で、ウラン同位元素の分離のために特に設計され又は製作されたもの
11重水、重水素及び重水素化合物の生産プラント並びに当該プラントのために特に設計され又は製作された設備
B部 1重水素及び重水 A部の1に定義された原子炉において使用される重水素及び重水素と水素との比が一対五、◯◯◯を超える重水素化合物
2原子炉級黒鉛 硼素当量百万分の五の純度を超える純度を有し、一立方センチメートル当たり一・五◯グラムを超える密度を有する黒鉛
合意された議事録
下名は、本日パリで署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定(以下「協定」という。)を改正する議定書(以下「議定書」という。)を締結するための交渉において到達した次の了解を記録する。
1改正後の協定第一条のAに関し、次のことが確認される。
(a)改正後の協定第二条のA1(a)に規定する日本国政府と国際原子力機関(以下「機関」という。)との間の協定が実施されるときは、改正後の協定第一条のA(a)に定める要件が満たされる。
(b)改正後の協定第二条のA1(b)に規定するフランス共和国政府、欧州原子力共同体及び機関の間の協定が実施されるときは、改正後の協定第一条のA(b)に定める要件が満たされる。
2改正後の協定第二条のA1に関し、次のことが確認される。
(a)改正前の協定若しくは改正後の協定に基づいて移転された核物質又は回収され若しくは副産物として生産された核物質(以下「協定の対象となる核物質」という。)は、フランス共和国政府の管轄の下で、改正後の協定第二条のA1(b)に規定するフランス共和国政府、欧州原子力共同体及び機関の間の協定第一条(a)に基づいてフランス共和国政府により、機関の保障措置の対象となるものとして指定される。
(b)協定の対象となる核物質が、機関の保障措置の適用上選択されている施設以外の施設に置かれる場合には、フランス共和国政府は、機関の保障措置の適用上選択されている施設の中にある同量の核物質であつて核分裂性同位元素の含有量が同等以上のものと代替する。
(c)フランス共和国政府が改正後の協定第二条のA1(b)に規定するフランス共和国政府、欧州原子力共同体及び機関の間の協定第一条(b)に基づいて作成された施設の一覧表を変更する場合には、フランス共和国政府は、日本国政府に対し、その一覧表を提供する。
(d)フランス共和国政府は、協定の対象となる核物質の施設ごとの計量管理を行い、その在庫の状況及び機関の保障措置の適用上選択されている施設の中にある(b)に規定する核物質の在庫の状況を、日本国政府に対し、施設ごとに一年単位で提供する。これらの情報は、改正後の協定第二条のA1(b)に規定するフランス共和国政府、欧州原子力共同体及び機関の間の協定に従つて、フランス共和国政府により機関に対して通報されている。
(e)日本国政府は、日本国政府の管轄の下にある協定の対象となる核物質の施設ごとの計量管理を行う。
(f)両締約国政府は、両国における機関の保障措置の適用に関し、その適用が円滑に行われるよう、共同して随時機関と協議する。
3改正後の協定第四条2に関し、受領締約国政府は、同条2(a)、(b)及び(c)に定める保証を得ることができない場合に限り、例外として、供給締約国政府の事前の同意を求めることが確認される。
4改正後の協定第四条のA1に関し、議定書の効力発生前に改正前の協定に基づいて日本国とフランスとの間で移転された資材、核物質、設備及び施設は、いかなる通告も必要とすることなく、改正後の協定の適用を受けることが確認される。
5改正後の協定第四条のA3に関し、改正後の協定に基づいて移転された機微な技術が供給締約国政府の管轄へ再移転される場合には、当該供給締約国政府の管轄に入る時から、改正後の協定の適用を受けないこととなることが確認される。
6改正後の協定第八条(k)の規定の適用上、次のことが確認される。
(a)設備又は施設の製造又は建設に利用された技術には、次の要素を含む。
(i)工程設計基礎
(ii)設計技術
(iii)製造技術
(iv)建設技術
(v)運転又は保守の技術
(b)改正後の協定に基づいて移転された機微な技術が当該設備又は施設の製造又は建設に利用された技術の主要な部分であるかないかを判断するに当たり、(a)に掲げる要素ごとに、次のことが考慮される。
(i)当該設備又は施設において行われる濃縮、再処理又は重水生産の工程と当該技術との間の関係の特有性の程度
(ii)当該技術がその受領締約国からその供給締約国に既に移転された機微な技術の貢献の基礎の上に開発された場合において、その貢献の大きさ
千九百九十年四月九日にパリで
日本国政府のために
木内昭胤
フランス共和国政府のために
フランソワ・シェール
(同作業委員会に関する交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日パリで署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書に言及するとともに、次の了解を日本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
両締約国政府は、改正後の協定の円滑な実施を確保するため、外交上の経路を通じて随時協議するものとし、また、必要に応じ、その専門家から成る合同作業委員会を設置することができる。この合同作業委員会の任務は、次のとおりとする。
(1)改正後の協定の実施及びこれと関連する商業取引が不当に遅滞することを避けることを目的として、改正後の協定に定められている原子力活動に関する情報の交換を行うこと。
(2)改正後の協定の効果的な実施を促進することを目的として、改正後の協定第八条(j)に規定する機微な技術に係る指定並びに改正後の協定第八条(k)に規定する移転された機微な技術に基づく設備及び施設に係る指定に関して協議すること。
本使は、貴官がこの書簡に盛られた了解をフランス共和国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴官に向かつて敬意を表します。
千九百九十年四月九日にパリで
フランス駐在日本国
特命全権大使 木内昭胤
外務省次官
フランソワ・シェール殿
(フランス側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本官は、更に、閣下の書簡に盛られた了解をフランス共和国政府に代わつて確認する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百九十年四月九日にパリで
外務省次官
フランソワ・シェール
フランス駐在日本国
特命全権大使 木内昭胤閣下