所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書
日本国政府及びフランス共和国政府は、 千九百九十五年三月三日にパリで署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約(以下「条約」という。)及び条約の不可分の一部を成す千九百九十五年三月三日にパリで署名された議定書(以下「千九百九十五年議定書」という。)を改正することを希望して、 次のとおり協定した。
第一条
条約第二条1(a)を次のように改める。 (a) フランスについては、 (i) 所得税 (ii) 法人税 (iii) 法人概算税 (iv) 給与税 (v) 一般社会保障税及び社会保障債務返済税 (これらの租税に係る源泉徴収される租税又は前払税を含む。) (以下「フランスの租税」という。)
第二条
1 条約第三条1(a)及び(b)を次のように改める。 (a) 「フランス」とは、フランス共和国のうちのヨーロッパ県及び海外県(これらの県に係る領海を含む。)並びにこれらの県の外側に位置する区域であって、フランス共和国が国際法に基づき主権的権利を有し、かつ、管轄権を行使する区域を含む。 (b) 「日本国」とは、地理的意味で用いる場合には、日本国の租税に関する法令が施行されているすべての領域(領海を含む。)及びその領域の外側に位置する区域であって、日本国が国際法に基づき主権的権利を有し、かつ、日本国の租税に関する法令が施行されているすべての区域(海底及びその下を含む。)をいう。
2 条約第三条1(i)及び(j)を次のように改め、並びにそれらの次に次の(k)及び(l)を加える。 (i) 「国際運輸」とは、一方の締約国の企業が運用する船舶又は航空機による運送(他方の締約国内の地点の間においてのみ運用される船舶又は航空機による運送を除く。)をいう。 (j) 「権限のある当局」とは、次の者をいう。 (i) フランスについては、予算大臣又は権限を与えられたその代理者 (ii) 日本国については、財務大臣又は権限を与えられたその代理者 (k) 「企業」は、あらゆる事業の遂行について用いる。 (l) 「事業」には、自由職業その他の独立の性格を有する活動を含む。
3 条約第三条2を次のように改める。 2 一方の締約国によるこの条約の適用に際しては、この条約において定義されていない用語は、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、この条約の適用を受ける租税に関する当該一方の締約国の法令において当該用語がその適用の時点で有する意義を有するものとする。当該一方の締約国において適用される租税に関する法令における当該用語の意義は、当該一方の締約国の他の法令における当該用語の意義に優先するものとする。
第三条
条約第四条3の次に次の4から6までを加える。
4 この条約の規定に従い一方の締約国が他方の締約国の居住者の所得に対する租税の率を軽減し、又はその租税を免除する場合において、当該他方の締約国において施行されている法令により、当該居住者が、その所得のうち当該他方の締約国に送金され、又は当該他方の締約国内で受領された部分についてのみ当該他方の締約国において租税を課されることとされているときは、その軽減又は免除は、その所得のうち当該他方の締約国に送金され、又は当該他方の締約国内で受領された部分についてのみ適用する。
5 「一方の締約国の居住者」とは、当該一方の締約国がフランスである場合には、フランスに実質的な事業の管理の場所を有する組合、社団その他これらに類する団体であって、租税を課されるものであり、かつ、当該組合、社団その他これらに類する団体の株主、社員その他の構成員がフランスの租税に関する法令に従い当該組合、社団その他これらに類する団体の利得のうち当該株主、社員その他の構成員の持分に係るものに対しフランスにおいて課税されるものを含む。
6 この条約の適用上、 (a) 一方の締約国において取得される所得であって、 (i) 他方の締約国において組織された団体を通じて取得され、かつ、 (ii) 当該他方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の受益者、構成員又は参加者の所得として取り扱われるもの に対しては、当該一方の締約国の租税に関する法令に基づき当該受益者、構成員又は参加者の所得として取り扱われるか否かにかかわらず、当該他方の締約国の居住者である当該受益者、構成員又は参加者(この条約に別に定める要件を満たすものに限る。)の所得として取り扱われる部分についてのみ、この条約の特典(当該受益者、構成員又は参加者が直接に取得したものとした場合に認められる特典に限る。)が与えられる。 (b) 一方の締約国において取得される所得であって、 (i) 他方の締約国において組織された団体を通じて取得され、かつ、 (ii) 当該他方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の所得として取り扱われるもの に対しては、当該一方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の所得として取り扱われるか否かにかかわらず、当該団体が当該他方の締約国の居住者であり、かつ、この条約に別に定める要件を満たす場合にのみ、この条約の特典(当該他方の締約国の居住者が取得したものとした場合に認められる特典に限る。)が与えられる。 (c) 一方の締約国において取得される所得であって、 (i) 当該一方の締約国において組織された団体を通じて取得され、 (ii) 当該一方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の受益者、構成員又は参加者の所得として取り扱われ、かつ、 (iii) 他方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の所得として取り扱われるもの に対しては、この条約の特典は与えられない。
第四条
条約第六条4及び5を次のように改める。
4 1及び3の規定は、企業の不動産から生ずる所得についても、適用する。
5 一方の締約国に存在する不動産を利用する権利を株主その他の構成員に付与することを目的とする法人の株式その他の持分をある者が所有する場合には、当該者が自己の権利の賃貸その他のすべての形式による使用(当該者自身による占有を除く。)により取得する所得については、次条の規定にかかわらず、当該一方の締約国において租税を課することができる。
第五条
条約第十条2から10までを次のように改める。
2 1の配当に対しては、これを支払う法人が居住者とされる一方の締約国においても、当該一方の締約国の法令に従って租税を課することができる。その租税の額は、当該配当の受益者が他方の締約国の居住者である場合には、次の額を超えないものとする。 (a) 当該配当の受益者が、当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする六箇月の期間を通じ、次の(i)又は(ii)に掲げる株式を直接又は間接に所有する法人である場合には、当該配当の額の五パーセント (i) 当該配当を支払う法人がフランスの居住者である場合には、当該配当を支払う法人の発行済株式の十パーセント以上に相当する株式 (ii) 当該配当を支払う法人が日本国の居住者である場合には、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の十パーセント以上に相当する株式 (b) その他のすべての場合には、当該配当の額の十パーセント この2の規定は、当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない。
3 2の規定にかかわらず、1の配当に対しては、当該配当の受益者が1の他方の締約国の居住者であり、かつ、次の(a)又は(b)に掲げる法人である場合には、当該配当を支払う法人が居住者とされる一方の締約国においては、租税を課することができない。 (a) 当該配当を支払う法人がフランスの居住者である場合には、当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする六箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の発行済株式の十五パーセント以上に相当する株式を直接又は間接に所有する法人 (b) 当該配当を支払う法人が日本国の居住者である場合には、当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする六箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の十五パーセント以上に相当する株式を所有する法人又は当該配当を支払う法人の議決権のある株式の二十五パーセント以上に相当する株式を直接又は間接に所有する法人
4 2(a)及び3(a)の規定は、日本国における課税所得の計算上受益者に対して支払う配当を控除することができる法人によって支払われる配当については、適用しない。
5 この条において、「配当」とは、株式、受益株式、鉱業株式、発起人株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及び当該分配を行う者が居住者とされる締約国の租税に関する法令上株式から生ずる所得と同様に取り扱われるその他の権利から生ずる所得をいう。
6 1から3までの規定は、一方の締約国の居住者である配当の受益者が、当該配当を支払う法人が居住者とされる他方の締約国内において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該恒久的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条の規定を適用する。
7 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国から利得又は所得を取得する場合には、当該他方の締約国は、当該法人の支払う配当及び当該法人の留保所得については、これらの配当及び留保所得の全部又は一部が当該他方の締約国内において生じた利得又は所得から成るときにおいても、当該配当(当該他方の締約国の居住者に支払われる配当及び配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該他方の締約国内にある恒久的施設と実質的な関連を有するものである場合の配当を除く。)に対していかなる租税も課することができず、また、当該留保所得に対して租税を課することができない。
8 一方の締約国の居住者が優先株式その他これに類する持分(以下この8において「優先株式等」という。)に関して他方の締約国の居住者から配当の支払を受ける場合において、次の(a)及び(b)に規定する事項に該当する者が当該配当の支払の基因となる優先株式等と同等の当該一方の締約国の居住者の優先株式等を有していないとしたならば、当該一方の締約国の居住者が当該配当の支払の基因となる優先株式等の発行を受け、又はこれを所有することはなかったであろうと認められるときは、当該一方の締約国の居住者は、当該配当の受益者とはされない。 (a) 当該他方の締約国の居住者が支払う配当に関し、当該一方の締約国の居住者に対してこの条約により認められる特典と同等の又はそのような特典よりも有利な特典を受ける権利を有しないこと。 (b) いずれの締約国の居住者でもないこと。
9 配当の支払の基因となる株式その他の権利の設定又は移転に関与した者がこの条の特典を受けることを当該権利の設定又は移転の主たる目的の全部又は一部とする場合には、当該配当については、この条の規定(8の規定を除く。)を適用しない。
第六条
条約第十一条2から9までを次のように改める。
2 1の利子に対しては、当該利子が生じた一方の締約国においても、当該一方の締約国の法令に従って租税を課することができる。その租税の額は、当該利子の受益者が他方の締約国の居住者である場合には、当該利子の額の十パーセントを超えないものとする。
3 2の規定にかかわらず、一方の締約国内において生ずる利子であって、次のいずれかの場合に該当するものについては、他方の締約国においてのみ租税を課することができる。 (a) 当該利子の受益者が、当該他方の締約国の政府、地方公共団体、中央銀行又は政府が全面的に所有する機関である場合 (b) 当該利子の受益者が当該他方の締約国の居住者であって、当該利子が当該他方の締約国の政府、地方公共団体、中央銀行又は政府が全面的に所有する機関によって保証された債権、これらによって保険の引受けが行われた債権又はこれらによる間接融資に係る債権に関して支払われる場合 (c) 当該利子の受益者が、次のいずれかに該当する当該他方の締約国の居住者である場合 (i) 銀行 (ii) 保険会社 (iii) 証券会社 (iv) (i)から(iii)までに掲げる者以外の企業であって、当該利子の支払が行われる課税年度の直前の三課税年度において、その負債の五十パーセントを超える部分が金融市場において発行された債券又は有利子預金から成り、かつ、その資産の五十パーセントを超える部分が当該企業と第九条1(a)又は(b)の規定にいう関係を有しない者に対する信用に係る債権から成るもの (d) 当該利子の受益者が当該他方の締約国の居住者であって、当該利子が当該他方の締約国の居住者により行われる信用供与による設備又は物品の販売の一環として生ずる債権に関して支払われる場合
4 3の規定の適用上、「中央銀行」及び「政府が全面的に所有する機関」とは、次のものをいう。 (a) フランスについては、 (i) フランス銀行 (ii) フランス政府が資本の全部を所有するその他の機関であって両締約国の政府が外交上の公文の交換により随時合意するもの (b) 日本国については、 (i) 日本銀行 (ii) 国際協力銀行 (iii) 独立行政法人日本貿易保険 (iv) 日本国政府が資本の全部を所有するその他の機関であって両締約国の政府が外交上の公文の交換により随時合意するもの
5 この条において、「利子」とは、すべての種類の信用に係る債権(担保の有無及び債務者の利得の分配を受ける権利の有無を問わない。)から生じた所得、特に、公債、債券又は社債から生じた所得(公債、債券又は社債の割増金及び賞金を含む。)をいう。
6 1から3までの規定は、一方の締約国の居住者である利子の受益者が当該利子の生じた他方の締約国内において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該利子の支払の基因となった債権が当該恒久的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条の規定を適用する。
7 利子は、その支払者が一方の締約国、一方の締約国の地方公共団体又は一方の締約国の居住者である場合には、当該一方の締約国内において生じたものとされる。ただし、利子の支払者(いずれかの締約国の居住者であるか否かを問わない。)が、一方の締約国内に恒久的施設を有する場合において、当該利子の支払の基因となった債務が当該恒久的施設について生じ、かつ、当該利子が当該恒久的施設によって負担されるものであるときは、当該利子は、当該恒久的施設が存在する当該一方の締約国内において生じたものとされる。
8 利子の支払の基因となった債権について考慮した場合において、利子の支払者と受益者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、当該利子の額が、その関係がないとしたならば支払者及び受益者が合意したとみられる額を超えるときは、この条の規定は、その合意したとみられる額についてのみ適用する。この場合には、支払われた額のうちその超過する部分に対しては、この条約の他の規定に妥当な考慮を払った上で、各締約国の法令に従って租税を課することができる。
9 一方の締約国の居住者がある債権に関して他方の締約国の居住者から利子の支払を受ける場合において、次の(a)及び(b)に規定する事項に該当する者が当該債権と同等の債権を当該一方の締約国の居住者に対して有していないとしたならば、当該一方の締約国の居住者が当該利子の支払の基因となる債権を取得することはなかったであろうと認められるときは、当該一方の締約国の居住者は、当該利子の受益者とはされない。 (a) 当該他方の締約国内において生ずる利子に関し、当該一方の締約国の居住者に対してこの条約により認められる特典と同等の又はそのような特典よりも有利な特典を受ける権利を有しないこと。 (b) いずれの締約国の居住者でもないこと。
10 利子の支払の基因となる債権の設定又は移転に関与した者がこの条の特典を受けることを当該債権の設定又は移転の主たる目的の全部又は一部とする場合には、当該利子については、この条の規定(9の規定を除く。)を適用しない。
第七条
条約第十二条を次のように改める。
第十二条
1 一方の締約国内において生じ、他方の締約国の居住者が受益者である使用料に対しては、当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 この条において、「使用料」とは、文学上、芸術上若しくは学術上の著作物(ソフトウェア、映画フィルム及びラジオ放送用又はテレビジョン放送用のフィルム又はテープを含む。)の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式若しくは秘密工程の使用若しくは使用の権利の対価として、又は産業上、商業上若しくは学術上の経験に関する情報の対価として受領されるすべての種類の支払金をいう。
3 1の規定は、一方の締約国の居住者である使用料の受益者が当該使用料の生じた他方の締約国内において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該使用料の支払の基因となった権利又は財産が当該恒久的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条の規定を適用する。
4 使用料の支払の基因となった使用、権利又は情報について考慮した場合において、使用料の支払者と受益者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、当該使用料の額が、その関係がないとしたならば支払者及び受益者が合意したとみられる額を超えるときは、この条の規定は、その合意したとみられる額についてのみ適用する。この場合には、支払われた額のうちその超過する部分に対しては、この条約の他の規定に妥当な考慮を払った上で、各締約国の法令に従って租税を課することができる。
5 一方の締約国の居住者がある無体財産権の使用に関して他方の締約国の居住者から使用料の支払を受ける場合において、次の(a)及び(b)に規定する事項に該当する者が当該無体財産権と同一の無体財産権の使用に関して当該一方の締約国の居住者から使用料の支払を受けないとしたならば、当該一方の締約国の居住者が当該無体財産権の使用に関して当該他方の締約国の居住者から使用料の支払を受けることはなかったであろうと認められるときは、当該一方の締約国の居住者は、当該使用料の受益者とはされない。 (a) 当該他方の締約国内において生ずる使用料に関し、当該一方の締約国の居住者に対してこの条約により認められる特典と同等の又はそのような特典よりも有利な特典を受ける権利を有しないこと。 (b) いずれの締約国の居住者でもないこと。
6 使用料の支払の基因となる権利又は財産の設定又は移転に関与した者がこの条の特典を受けることを当該権利又は財産の設定又は移転の主たる目的の全部又は一部とする場合には、当該使用料については、この条の規定(5の規定を除く。)を適用しない。
第八条
1 条約第十三条1を次のように改める。
1 一方の締約国の居住者が第六条に規定する不動産であって他方の締約国内に存在するものの譲渡によって取得する収益に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 条約第十三条3及び4を次のように改める。
3 2の規定にかかわらず、一方の締約国の居住者が法人、信託財産その他の機関又は団体の株式その他の権利の譲渡によって取得する収益に対しては、当該法人、信託財産その他の機関又は団体の資産又は財産の価値の五十パーセント以上が、第六条に規定する不動産であって他方の締約国内に存在するもの又は当該不動産に関連する権利により、直接又は一若しくは二以上の他の法人、信託財産、機関若しくは団体を介して間接に構成される場合に限り、当該他方の締約国において租税を課することができる。
4 2及び3の規定にかかわらず、一方の締約国の企業が他方の締約国内に有する恒久的施設の事業用資産を構成する財産(不動産を除く。)の譲渡から生ずる収益(当該恒久的施設の譲渡又は企業全体の譲渡の一部としての当該恒久的施設の譲渡から生ずる収益を含む。)に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
3 条約第十三条7を削る。
第九条
条約第十四条を次のように改める。 第十四条 削除 第十条
1 条約第十五条2(a)を次のように改める。 (a) 当該課税年度において開始し、又は終了するいずれの十二箇月の期間においても、報酬の受領者が当該他方の締約国内に滞在する期間が合計百八十三日を超えないこと。
2 条約第十五条2(c)を次のように改める。 (c) 報酬が雇用者の当該他方の締約国内に有する恒久的施設によって負担されるものでないこと。
第十一条
1 条約第十七条1(a)を次のように改める。 (a) 第七条及び第十五条の規定にかかわらず、一方の締約国の居住者である個人が演劇、映画、ラジオ若しくはテレビジョンの俳優、音楽家その他の芸能人又は運動家として他方の締約国内で行う個人的活動によって取得する所得に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 条約第十七条2(a)を次のように改める。 (a) 一方の締約国内で行う芸能人又は運動家としての個人的活動に関する所得が当該芸能人又は運動家以外の者に帰属する場合には、当該所得に対しては、第七条及び第十五条の規定にかかわらず、当該芸能人又は運動家の活動が行われる当該一方の締約国において租税を課することができる。
第十二条
条約第十八条を次のように改める。
第十八条 1 次条2の規定が適用される場合を除くほか、過去の勤務につき一方の締約国の居住者に支払われる退職年金その他これに類する報酬に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2(a) 一方の締約国において設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対し、他方の締約国内において役務を提供する当該他方の締約国の居住者である個人又は当該個人に代わる者が支払う強制保険料(当該個人が役務の提供を開始する日から継続して六十箇月を超えない期間に支払われるものに限る。)については、次の(i)から(iii)までに掲げる要件を満たす場合に限り、当該他方の締約国における当該個人の租税の額の決定に際して、当該一方の締約国において課税上の救済の対象とされない範囲内で、当該他方の締約国において課税上認められた社会保障制度に対して支払われる強制保険料と同様の方法並びに類似の条件及び制限に従って取り扱う。 (i) 当該個人が、当該他方の締約国において役務の提供を開始する直前において、当該他方の締約国の居住者でなく、かつ、当該一方の締約国において設けられた社会保障制度に参加していたこと。 (ii) 当該一方の締約国において設けられた社会保障制度が、当該他方の締約国において課税上認められた社会保障制度に一般的に相当するものとして当該他方の締約国の権限のある当局によって承認されていること。 (iii) 給料、賃金その他これらに類する報酬(当該一方の締約国において設けられた社会保障制度に対する強制保険料が賦課されるものに限る。)が、当該他方の締約国において租税を課されること。 (b) (a)の規定の適用上、 (i) 「社会保障制度」とは、個人が(a)の規定にいう役務について社会保障給付を受けるために参加する制度をいう。 (ii) 社会保障制度に対して支払う強制保険料が一方の締約国において課税上の救済の対象とされるときは、当該社会保障制度は、当該一方の締約国において「課税上認められた」こととなる。
第十三条
条約第二十条の次に次の一条を加える。
第二十条のA この条約の他の規定にかかわらず、匿名組合契約その他これに類する契約に関連して匿名組合員が取得する所得又は収益に対しては、当該所得又は収益が生ずる締約国において当該締約国の法令に従って租税を課することができる。
第十四条
条約第二十二条を次のように改める。
第二十二条
1 一方の締約国の居住者が受益者である所得(源泉地を問わない。)であって前各条に規定がないもの(以下この条において「その他の所得」という。)に対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 1の規定は、一方の締約国の居住者である所得(第六条2に規定する不動産から生ずる所得を除く。)の受益者が他方の締約国内において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該所得の支払の基因となった権利又は財産が当該恒久的施設と実質的な関連を有するものであるときは、当該所得については、適用しない。この場合には、第七条の規定を適用する。
3 1に規定する一方の締約国の居住者とその他の者との間又はその双方と第三者との間の特別の関係により、その他の所得の額が、その関係がないとしたならば当該一方の締約国の居住者及び当該その他の者が合意したとみられる額を超えるときは、この条の規定は、その合意したとみられる額についてのみ適用する。この場合には、当該その他の所得の額のうちその超過する部分に対しては、この条約の他の規定に妥当な考慮を払った上で、各締約国の法令に従って租税を課することができる。
4 一方の締約国の居住者がある権利又は財産に関して他方の締約国の居住者からその他の所得の支払を受ける場合において、次の(a)及び(b)に規定する事項に該当する者が当該権利又は財産と同一の権利又は財産に関して当該一方の締約国の居住者からその他の所得の支払を受けないとしたならば、当該一方の締約国の居住者が当該権利又は財産に関して当該他方の締約国の居住者からその他の所得の支払を受けることはなかったであろうと認められるときは、当該一方の締約国の居住者は、当該その他の所得の受益者とはされない。 (a) 当該他方の締約国内において生ずるその他の所得に関し、当該一方の締約国の居住者に対してこの条約により認められる特典と同等の又はそのような特典よりも有利な特典を受ける権利を有しないこと。 (b) いずれの締約国の居住者でもないこと。
5 その他の所得の支払の基因となる権利又は財産の設定又は移転に関与した者がこの条の特典を受けることを当該権利又は財産の設定又は移転の主たる目的の全部又は一部とする場合には、当該その他の所得については、この条の規定(4の規定を除く。)を適用しない。
第十五条
条約第二十二条の次に次の一条を加える。
第二十二条のA
1 一方の締約国の居住者であって他方の締約国において第七条、第十条3、第十一条3、第十二条、第十三条又は前条に定める所得を取得するものは、2に規定する適格者に該当し、かつ、これらの規定により認められる特典を受けるためにこれらの規定に規定する要件を満たす場合に限り、各課税年度において、これらの規定により認められる特典を受ける権利を有する。ただし、これらの規定により認められる特典を受けることに関し、この条に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 一方の締約国の居住者が次の(a)から(d)までに掲げる者のいずれかに該当する場合には、当該一方の締約国の居住者は、各課税年度において適格者とする。 (a) 個人 (b) 適格政府機関 (c) 法人(その主たる種類の株式が、7(c)(i)又は(ii)に規定する公認の有価証券市場に上場され又は登録され、かつ、一又は二以上の公認の有価証券市場において通常取引されるものに限る。) (d) 個人以外の者((a)から(c)までに掲げる適格者であるいずれかの締約国の居住者が、発行済株式その他の受益に関する持分の五十パーセント以上に相当する株式その他の受益に関する持分又は議決権の五十パーセント以上に相当する株式その他の受益に関する持分を直接又は間接に所有する場合に限る。)
3 一方の締約国の居住者である法人は、適格者に該当しない場合においても、他方の締約国において取得する第七条、第十条3、第十一条3、第十二条、第十三条又は前条に定める所得に関し、七以下の同等受益者が当該法人の発行済株式又は議決権の七十五パーセント以上に相当する株式を直接又は間接に所有し、かつ、当該法人がこれらの規定により認められる特典を受けるためにこれらの規定に規定する要件を満たすときは、これらの規定により認められる特典を受ける権利を有する。
4 2(d)又は3の規定の適用については、次に定めるところによる。 (a) 源泉徴収による課税については、一方の締約国の居住者は、その所得の支払が行われる日(配当については、当該配当の支払を受ける者が特定される日)に先立つ十二箇月の期間を通じて2(d)又は3に規定する要件を満たしているときに、当該支払が行われる課税年度について当該要件を満たすものとする。 (b) その他のすべての場合については、一方の締約国の居住者は、その所得の支払が行われる課税年度の総日数の半数以上の日において2(d)又は3に規定する要件を満たしているときに、当該支払が行われる課税年度について当該要件を満たすものとする。
5(a) 一方の締約国の居住者は、適格者に該当しない場合においても、他方の締約国において取得する第七条、第十条3、第十一条3、第十二条、第十三条又は前条に定める所得に関し、当該居住者が当該一方の締約国内において事業を行っており、当該所得が当該事業に関連し又は付随して取得されるものであり、かつ、当該居住者がこれらの規定により認められる特典を受けるためにこれらの規定に規定する要件を満たすときは、これらの規定により認められる特典を受ける権利を有する。ただし、当該事業が、当該居住者が自己の勘定のために投資を行い、又は管理するもの(銀行、保険会社又は証券会社が行う銀行業、保険業又は証券業を除く。)である場合は、この限りでない。 (b) 一方の締約国の居住者が、他方の締約国内において行う事業から所得を取得する場合又は当該居住者と第九条1(a)若しくは(b)の規定にいう関係を有する者から他方の締約国内において生ずる所得を取得する場合には、当該居住者が当該一方の締約国内において行う事業が、当該居住者又は当該関係を有する者が当該他方の締約国内において行う事業との関係において実質的なものでなければ、当該所得について(a)に規定する条件を満たすこととはならない。この(b)の規定の適用上、事業が実質的なものであるか否かは、すべての事実及び状況に基づいて判断される。 (c) (a)の規定に基づきある者が一方の締約国内において事業を行っているか否かを決定するに当たって、その者が組合員である組合が行う事業及びその者に関連する者が行う事業は、その者が行うものとみなす。一方の者が他方の者の受益に関する持分の五十パーセント以上(法人の場合には、当該法人の発行済株式又は議決権の五十パーセント以上に相当する株式)を所有する場合又は第三者がそれぞれの者の受益に関する持分の五十パーセント以上(法人の場合には、当該法人の発行済株式又は議決権の五十パーセント以上に相当する株式)を直接又は間接に所有する場合には、当該一方の者及び当該他方の者は、関連するものとする。また、すべての事実及び状況に基づいて、一方の者が他方の者を支配している場合又は両者が一若しくは二以上の同一の者によって支配されている場合には、当該一方の者及び当該他方の者は、関連するものとする。
6 一方の締約国の居住者は、適格者に該当せず、かつ、3及び5の規定に基づき第七条、第十条3、第十一条3、第十二条、第十三条又は前条に定める所得についてこれらの規定により認められる特典を受ける権利を有する場合に該当しないときにおいても、他方の締約国の権限のある当局が、当該他方の締約国の法令又は行政上の慣行により、当該居住者の設立、取得又は維持及びその業務の遂行がこれらの規定により認められる特典を受けることをその主たる目的の一つとするものでないと認定するときは、これらの規定により認められる特典を受けることができる。
7 この条の規定の適用上、 (a) 「適格政府機関」とは、一方の締約国の政府若しくは地方公共団体、日本銀行、フランス銀行又は一方の締約国の政府若しくは地方公共団体が直接若しくは間接に全面的に所有する者をいう。 (b) 「主たる種類の株式」とは、法人の発行済株式又は議決権の過半数を占める普通株式をいう。ただし、普通株式が単独で法人の発行済株式又は議決権の過半数を占めていない場合には、合計して当該法人の発行済株式又は議決権の過半数を占める二以上の種類の株式をいう。 (c) 「公認の有価証券市場」とは、次のものをいう。 (i) フランスにおける金融市場庁により規制される有価証券市場 (ii) 日本国の金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)に基づき設立された金融商品取引所又は認可金融商品取引業協会により設立された有価証券市場 (iii) 欧州連合における有価証券市場、ニューヨーク証券取引所及びナスダック市場 (iv) この条の規定の適用上、両締約国の権限のある当局が公認の有価証券市場として合意するもの (d) 「同等受益者」とは、次の(i)又は(ii)のいずれかの者をいう。 (i) この条約の特典を請求される締約国との間に租税に関する二重課税の回避のための条約(以下「租税条約」という。)を有している国の居住者であって、次の(aa)から(cc)までに掲げる要件を満たすもの (aa) 租税条約が実効的な情報交換に関する規定を有すること。 (bb) 当該居住者が、租税条約のいわゆる特典条項に基づき適格者に該当すること又は租税条約にそのような規定がない場合には、租税条約に2の規定に相当する規定が含まれているとしたならば、当該居住者がその規定により適格者に該当するであろうとみられること。 (cc) 第七条、第十条3、第十一条3、第十二条、第十三条又は前条に定める所得に関し、当該居住者が、この条約に基づき特典を請求しているこれらの規定に定める種類の所得について租税条約の適用を受けたとしたならば、この条約に規定する税率以下の税率の適用を受けるであろうとみられること(租税条約に規定する要件がこの条約に規定する要件よりも制限的でない場合に限る。)。 (ii) 2(a)から(c)までに掲げる適格者
第十六条
1 条約第二十三条1(a)(ii)を次のように改める。 (ii) 第十条、第十一条、第十三条1から3まで、第十五条3、第十六条及び第十七条に規定する所得については、この条約の規定に従って日本国において納付された租税の額(当該控除の額は、当該所得に帰せられるフランスの租税の額を超えないものとする。)
2 条約第二十三条1(b)の次に次の(c)を加える。 (c) (a)の規定にかかわらず、第二十条のAに規定する所得又は収益については、租税からの控除は認められない。
第十七条
条約第二十四条3を次のように改める。
3 第九条1、第十条8若しくは9、第十一条8から10まで、第十二条4から6まで又は第二十二条3から5までの規定が適用される場合を除くほか、一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者に支払った利子、使用料その他の支払金については、当該一方の締約国の居住者の課税対象利得の決定に当たって、当該一方の締約国の居住者に支払われたとした場合における条件と同様の条件で控除するものとする。
第十八条
条約第二十六条を次のように改める。
第二十六条 1 両締約国の権限のある当局は、この条約の規定の実施又は両締約国若しくは地方公共団体が課するすべての種類の租税に関する両締約国の法令(当該法令に基づく課税がこの条約の規定に反しない場合に限る。)の規定の運用若しくは執行に関連する情報を交換する。これらの情報の交換は、第一条及び第二条の規定による制限を受けない。
2 1の規定に基づき一方の締約国が受領した情報は、当該一方の締約国がその法令に基づいて入手した情報と同様に秘密として取り扱うものとし、1に規定する租税の賦課若しくは徴収、これらの租税に関する執行若しくは訴追、これらの租税に関する不服申立てについての決定又はこれらの監督に関与する者又は当局(裁判所及び行政機関を含む。)に対してのみ、開示される。これらの者又は当局は、当該情報をそのような目的のためにのみ使用する。これらの者又は当局は、当該情報を公開の法廷における審理又は司法上の決定において開示することができる。
3 1及び2の規定は、いかなる場合にも、一方の締約国に対し、次のことを行う義務を課するものと解してはならない。 (a) 当該一方の締約国又は他方の締約国の法令及び行政上の慣行に抵触する行政上の措置をとること。 (b) 当該一方の締約国又は他方の締約国の法令の下において又は行政の通常の運営において入手することができない情報を提供すること。 (c) 営業上、事業上、産業上、商業上若しくは職業上の秘密若しくは取引の過程を明らかにするような情報又は公開することが公の秩序に反することになる情報を提供すること。
4 一方の締約国は、他方の締約国がこの条の規定に従って当該一方の締約国に対し情報の提供を要請する場合には、自己の課税目的のために必要でないときであっても、当該情報を入手するために必要な手段を講ずる。一方の締約国がこのような手段を講ずるに当たっては、3の規定に定める制限に従うが、その制限は、いかなる場合にも、当該情報が自己の課税目的のために必要でないことのみを理由としてその提供を拒否することを認めるものと解してはならない。
5 3の規定は、提供を要請された情報が銀行その他の金融機関、名義人若しくは代理人若しくは受託者が有する情報又はある者の所有に関する情報であることのみを理由として、一方の締約国が情報の提供を拒否することを認めるものと解してはならない。
第十九条 条約第二十七条を次のように改める。
第二十七条
1 各締約国は、この条約に基づいて他方の締約国の認める租税の免除又は税率の軽減が、このような特典を受ける権利を有しない者によって享受されることのないようにするため、当該他方の締約国が課する租税を徴収するよう努める。その徴収を行う締約国は、このようにして徴収された金額につき当該他方の締約国に対して責任を負う。
2 1の規定は、いかなる場合にも、租税を徴収するよう努めるいずれの締約国に対しても、当該締約国の法令及び行政上の慣行に抵触し、又は当該締約国の公の秩序に反することになる行政上の措置をとる義務を課するものと解してはならない。
第二十条
1 千九百九十五年議定書1から3までを次のように改める。 1から3まで 削除
2 千九百九十五年議定書5を次のように改める。 5 削除
3 千九百九十五年議定書5の次に次の5Aを加える。 5A 条約第十条5に関し、「配当」には、分配を行う法人が居住者である締約国の租税に関する法令上、利益の分配として取り扱われる所得を含むことが了解される。
4 千九百九十五年議定書6を次のように改める。 6 削除
5 千九百九十五年議定書6の次に次の6Aを加える。 6A 条約第十条及び第十一条に関し、次に規定する事項が了解される。 (a) 条約のその他の規定にかかわらず、年金基金(その直前の課税年度の終了の日において、その受益者、構成員又は参加者のうち五十パーセントを超える者がいずれかの締約国の居住者である個人であるものに限る。)は、第十条及び第十一条の特典を受ける権利を有する。もっとも、第十一条3の特典については、当該年金基金が直接又は間接に事業を遂行することにより取得されたものでない場合に限り、認められる。 (b) 「年金基金」とは、次の(i)から(iii)までに掲げる要件を満たす者をいう。 (i) 一方の締約国の法令に基づいて設立されること。 (ii) 主として退職年金、退職手当その他これらに類する報酬を管理し、若しくは給付すること又は他の年金基金の利益のために所得を取得することを目的として運営されること。 (iii) (ii)の規定にいう活動に関して取得する所得又は収益につき当該一方の締約国において租税を免除されること。
6 千九百九十五年議定書7を次のように改める。
7 条約第十一条3に関し、同条3の規定にかかわらず、「保険の引受けが行われた債権」には、千九百九十四年五月十四日のフランス共和国政令第九十四-三百七十六号の規定に基づきフランス共和国政府に代わってフランス貿易保険会社によって保険の引受けが行われた債権を含むことが了解される。
7 千九百九十五年議定書8を次のように改める。
8 削除
8 千九百九十五年議定書9の次に次の9Aから9Cまでを加える。
9A 条約第十五条及び第十八条2に関し、フランスの居住者(日本国内において勤務を開始する直前にフランスの社会保障制度に参加していたものに限る。)が日本国内における勤務につき取得する給料、賃金その他これらに類する報酬(当該居住者が日本国内において勤務を開始する日から継続して六十箇月を超えない期間に取得するものに限る。)に対しては、各課税年度において次の(a)又は(b)に規定する額のいずれか低い額を限度として、日本国においては、租税を課さない。 (a) 当該居住者又は当該居住者に代わる者がいずれかの締約国において設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対して支払う強制保険料(当該給料、賃金その他これらに類する報酬に対して賦課されるもので、かつ、フランスにおいて課税上の救済の対象とされないものに限る。)の総額 (b) 日本国において設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対して支払われ得る総保険料の上限額 9B 条約第十八条2及び9Aに関し、「継続して六十箇月」との期間の限定は、二千五年二月二十五日にパリで署名された社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定第九条が適用される場合には、適用しないことが了解される。 9C 条約第十八条2(a)(ii)及び9Aに関し、これらの規定に定める「社会保障制度」とは、二千五年二月二十五日にパリで署名された社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の適用対象となる制度をいうことが了解される。
9 千九百九十五年議定書10の次に次の10A及び10Bを加える。 10A 条約第二十条のAに関し、「その他これに類する契約」に関連していずれかの締約国の居住者である組合員が取得する所得又は収益は、日本国の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第百六十一条第十二号又は法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第百三十八条第十一号に規定する匿名組合契約に関連して匿名組合員が取得する所得又は収益と課税上同様に取り扱われるものであることが了解される。 10B 条約第二十二条のA7(d)に関し、条約第十条3の規定の適用上、同条3の特典を請求する法人の株式を直接又は間接に所有する者が同等受益者であるか否かを決定するに当たっては、その者は、当該特典を請求する法人が所有する同条に規定する配当を支払う法人の発行済株式又は当該法人の発行する議決権のある株式と同数の株式を所有するものとみなされることが了解される。
10 千九百九十五年議定書13の次に次の13A及び13Bを加える。 13A 条約第二十五条3に関し、 (a) 第三国において組織された団体を通じていずれかの締約国から取得される所得であって、 (b) 一方の締約国の租税に関する法令に基づき当該第三国において組織された団体の所得として取り扱われ、かつ、 (c) 他方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の受益者、構成員又は参加者の所得として取り扱われるもの について、両締約国における課税上の取扱いが異なる結果として二重課税が生ずる場合には、その事案は、相互協議手続の対象とされることが了解される。 13B 条約第二十六条5の規定は、弁護士その他の法律事務代理人がその職務に関してその依頼者との間で行う通信に関する情報であって一方の締約国の法令に基づいて保護されるものについて、当該一方の締約国がその提供を拒否することを認めるものであることが了解される。
11 千九百九十五年議定書15(a)(ii)を次のように改める。 (ii) 当該一方の締約国が日本国である場合には、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第三項及び第二十八項に定義する投資信託及び外国投資信託、貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項に定義する貸付信託、所得税法第二条第一項第十一号に定義する合同運用信託並びに資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項に定義する特定目的信託を含む。ただし、これらの規定が、署名の日に有効であり、かつ、当該署名の日以後改正されていないか又はその改正がその基本的性格に影響を及ぼさない程度の軽微な点についてのみのものである場合に限る。
12 千九百九十五年議定書19を次のように改める。 19 条約の適用上、一方の締約国の権限のある当局は、他方の締約国の権限のある当局と協議した後、条約に規定する特典の適用を申請している者に対し、その者が当該他方の締約国の居住者であることを証明する当該他方の権限のある当局又は適当な当局の発行する証明書を要求することができることが了解される。
第二十一条
1 各締約国は、この議定書の効力発生のために自国において必要とされる憲法上の手続が完了したことを、他方の締約国に対して通告するものとする。この議定書は、遅い方の通告が受領された月の後二箇月目の月の初日に効力を生ずる。
2 この議定書は、次のものについて適用する。 (a) フランスにおいては、 (i) 源泉徴収される所得に対する租税に関しては、この議定書が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に租税を課される額 (ii) 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、この議定書が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に開始する各暦年又は各事業年度に関する所得 (iii) その他の租税に関しては、この議定書が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に生ずる課税事象に係る課税 (b) 日本国においては、 (i) 源泉徴収される租税に関しては、この議定書が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に租税を課される額 (ii) 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、この議定書が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の所得 (iii) その他の租税に関しては、この議定書が効力を生ずる年の翌年の一月一日以後に開始する各課税年度の租税
3 この議定書は、条約が有効である限り効力を有する。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。 二千七年一月十一日にパリで、ひとしく正文である日本語及びフランス語により本書二通を作成した。 日本国政府のために 飯村豊 フランス共和国政府のために J・F・コペ
(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書に関する交換公文)
(日本側書簡) 書簡をもって啓上いたします。本使は、本日署名された議定書(以下「二千七年議定書」という。)によって改正される千九百九十五年三月三日にパリで署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約(以下「条約」という。)及び二千七年議定書によって改正される千九百九十五年三月三日にパリで署名された議定書(以下「議定書」という。)に言及するとともに、次の提案を日本国政府に代わって行う光栄を有します。
1 条約第十八条2及び議定書9Aから9Cまでの規定に関し、次の(a)から(d)までに規定する内容が了解される。 (a) フランスにおいて設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対し、日本国内において役務を提供する個人又は当該個人に代わる者(日本国の居住者に限る。)が支払う強制保険料については、日 本国における当該個人の租税の額の決定に際しては、各課税年度において、日本国の法令に基づき日本国において設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対し支払われ得る総保険料の上限額に相当する保険料の額を限度として、日本国において控除するものとして取り扱う(条約第十八条2並びに議定書9B及び9Cに定める要件を満たす場合に限る。)。当該「上限額」は、厚生年金保険及び政府管掌健康保険につき日本国の法令に基づき控除することができる上限とされる保険料の額を合算したものとする。厚生年金保険及び政府管掌健康保険に係る保険料に関し、当該日本国の法令に基づき控除することができる上限とされる保険料の額の計算については、その他の方法は適用しない。 (b) 日本国において設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対し、フランス国内において役務を提供する個人又は当該個人に代わる者(フランスの居住者に限る。)が支払う強制保険料については、フランスにおける当該個人の租税の額の決定に際しては、フランスにおける一般租税法典第八十三条1-0-2の規定に従い、フランスにおいて全額控除するものとして取り扱う(条約第十八条2並びに議定書9B及び9Cに定める要件を満たす場合に限る。)。 (c) 一方の締約国において設けられ、かつ、課税上認められた社会保障制度に対し、他方の締約国内において役務を提供する個人に関し企業が支払う強制保険料(雇用者分担金)は、当該他方の締約国における当該個人の課税所得の一部とはされない。 (d) 議定書9Aに規定する「上限額」は、(a)と同じ方法で計算する。
2 条約第二十二条のA7(c)(iv)に関し、スイス証券取引所及びシンガポール証券取引所は、公認の有価証券市場であることが了解される。
3 議定書6Aに関し、日本国については、「年金基金」には、(a)に規定するもの及び二千七年議定書の署名の日の後に導入された法令に基づいて設立される同一の又は実質的に類似するものを含むことが了解される。 (a) 年金制度又は退職手当に関する共済制度であって日本国の次に掲げる法令の規定に従って実施されるものにより設立される年金基金 (i) 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号) (ii) 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号) (iii) 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号) (iv) 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号) (v) 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号) (vi) 石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号) (vii) 確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号) (viii) 確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号) (ix) 独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号) (x) 法人税法(昭和四十年法律第三十四号) (xi) 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号) (xii) 小規模企業共済法(昭和四十年法律第百二号) (xiii) 所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号) (b) さらに、「年金基金」には、日本国については、投資基金又は投資信託であってその持分の全部が年金基金に所有されるものを含むことが了解される。
本使は、フランス共和国政府が前記の了解を受諾することができる場合には、この書簡及びその旨の閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意が二千七年議定書の効力発生の時に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。 二千七年一月十一日にパリで
フランス共和国駐在 日本国特命全権大使 飯村豊
フランス共和国 予算・国家改革担当大臣 ジャン=フランソワ・コペ閣下
(フランス側書簡)
(訳文) 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、訳文が次のとおりである本日付けの閣下の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、フランス共和国政府が前記の了解を受諾することができるものであることから、閣下の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成し、その合意が二千七年議定書の効力発生の時に効力を生ずるものとすることを確認する光栄を有します。 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
二千七年一月十一日にパリで フランス共和国 予算・国家改革担当大臣 ジャン=フランソワ・コペ フランス共和国駐在 日本国特命全権大使 飯村豊閣下