技術協力に関する日本国政府とニカラグァ共和国政府との間の協定
技術協力に関する日本国政府とニカラグァ共和国政府との間の協定
日本国政府及びニカラグァ共和国政府は、
技術協力の促進により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、
また、両国の経済的及び社会的発展の促進によりもたらされる相互の利益を考慮して、
次のとおり協定した。
第一条
両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第二条
両政府は、この協定に基づき、両政府間で合意する個別の技術協力計画を実施するため、相互の協力を促進するとともに相互支援を行い、また、このために外交上の経路を通じて別途の取極を文書により行う。
第三条
日本国政府は、日本国の現行法令に従い、かつ、前条にいう取極に基づき、自己の負担で次の形態による技術協力を行う。
(a) 日本国における技術訓練のためにニカラグァ国民を受け入れること。
(b) 日本人専門家(以下「専門家」という。)をニカラグァ共和国に派遣すること。
(c) 経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本国の調査団(以下「調査団」という。)をニカラグァ共和国に派遣すること。
(d) 設備、機械及び資材をニカラグァ共和国政府に供与すること。
(e) 両政府間で相互に合意するその他の形態の技術協力をニカラグァ共和国政府に対して行うこと。
第四条
ニカラグァ共和国政府は、前条に規定する日本国の技術協力の結果としてニカラグァ国民が取得した技術及び知識並びに供与された設備、機械及び資材がニカラグァ共和国の経済的及び社会的発展に寄与し、かつ、軍事目的に使用されないことを確保する。
第五条
日本国政府が専門家及び調査団を派遣する場合には、ニカラグァ共和国政府は、自己の負担で次の措置をとる。
(a) 専門家及び調査団の任務遂行に必要な事務所その他の施設(電話及びファクシミリの役務を含む。)を提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。
(b) 専門家及び調査団の相手方となるニカラグァ人要員並びに専門家及び調査団の任務遂行に必要な支援要員(必要な場合には、適当な通訳を含む。)を提供すること。
(c) 専門家に係る次の諸経費を負担すること。
(i) 通勤費
(ii) 国内の公用出張旅費及び諸手当
(iii) 公用通信費
(d) 専門家及びその家族に対して適当な住宅の確保につき便宜を提供し、また、無料の住宅を提供すること。
(e) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対して無料の医療上の便宜を提供すること。
第六条
1(1) ニカラグァ共和国政府は、次の措置をとる。
(a) 専門家及び調査団の構成員に対し、海外から送金される給与及び手当に対して又はこれらに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。
(b) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、次のものの輸入に関し、輸入許可証の取得要件及び領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金を免除すること。
(i) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員の携帯荷物
(ii) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員が用いるためにニカラグァ共和国に持ち込まれる身回品、家財及び消費財
(iii) ニカラグァ共和国に派遣される専門家一名につき自動車一台
(c) ニカラグァ共和国に自動車を輸入しない専門家に対し、当該専門家が自動車を現地購入する場合には、専門家一名につき自動車一台に対して課される付加価値税を免除すること。
(d) (b)(iii)及び(c)にいう自動車の登録料を免除すること。
(2) (1)にいう自動車がその後ニカラグァ共和国内において関税及び租税の免除又は同様の特権を有しない個人又は団体に売却又は譲渡される場合には、当該自動車に係る関税及び租税は支払われなければならない。
2 ニカラグァ共和国政府は、また、次の措置をとる。
(a) 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、ニカラグァ共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、かつ、外国人登録義務及び領事手数料を免除すること。
(b) 専門家及び調査団の任務遂行に際し、関係当局が必要な便宜を供与することを確保するために、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対して身分証明書を交付すること。
(c) 専門家に対し、自動車運転免許証の取得のための便宜を与えること。
(d) 専門家及び調査団に対し、その任務遂行上必要なその他の措置をとること。
3 ニカラグァ共和国政府は、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、ニカラグァ共和国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与える。
第七条
ニカラグァ共和国政府は、専門家及び調査団の構成員に対する請求が、それらの者のニカラグァ共和国における任務の遂行に起因して生じ、その遂行の過程で生じ、又はその遂行に関連して生じた場合には、その請求に関する責任を負う。ただし、その請求が専門家又は調査団の構成員の重大な過失又は故意から生じたことについて両政府が合意する場合には、この限りでない。
第八条
1 日本国政府がニカラグァ共和国政府に供与する設備、機械及び資材は、陸揚港においてc・i・f建てでニカラグァ共和国の関係当局に引き渡された時にニカラグァ共和国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き、供与された目的のために使用される。
2 ニカラグァ共和国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関し、輸入許可証の取得要件及び領事手数 料、関税、租税その他類似の課徴金を免除する。
3 1にいう設備、機械及び資材のニカラグァ共和国内における輸送のための費用並びにそれらの維持及び修理のための費用は、ニカラグァ共和国政府が負担する。
4(1) 専門家及び調査団の構成員がその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き、日本国政府の財産である。
(2) 専門家及び調査団の構成員は、設備、機械及び資材の輸入に関し、これらの設備、機械及び資材に対してニカラグァ共和国において課される領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金及び輸入許可証の取得要件を免除される。
(3) 専門家及び調査団の構成員は、1及び4(1)にいう設備、機械及び資材の現地購入に関し、付加価値税その他の課徴金を免除される。
第九条
専門家及び調査団の構成員は、ニカラグァ共和国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第十条
1 ニカラグァ共和国政府は、日本国政府の要請に基づき、日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(以下「JICA」という。)が、ニカラグァ共和国においてJICAの海外事務所(以下「事務所」という。)を開設することを認め、また、日本国から派遣されこの協定に基づく技術協力計画に関連してJICAにより与えられる任務をニカラグァ共和国において遂行する駐在員及び職員(以下「駐在員等」という。)を受け入れる。
2 ニカラグァ共和国政府は、駐在員等及びその家族並びに事務所に対し、以下の特権、免除及び便宜を与える。
(1) 駐在員等及びその家族に対し、
(a) 駐在員等の身回品、家財、自動車及び日常生活に必要な消費財の輸入及び輸出に関して、領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金及び輸入許可証の取得要件の免除
(b) 海外から送金される給与及び手当に対して又はこれらに関連して課される所得税その他の課徴金の免除
(c) 駐在員等が自動車を現地購入する場合に、自動車に課される付加価値税の免除
(d) 駐在員等に対し、ニカラグァ共和国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することに対する許可、外国人登録手続のための便宜の供与並びに領事手数料の免除
(e) 身分証明書並びに専門家及び調査団の構成員を送迎するために空港及び海港に出国手続地点を越えて入るための特別通行証の発行
(2) 事務所に対し、
(a) 事務所の活動に必要な設備、機械、自動車その他の物品の輸入に対して又はこれに関連してニカラグァ共和国において課される領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金及び輸入許可証の取得要件の免除
(b) 事務所の活動に必要な設備、機械、自動車その他の物品をニカラグァ共和国内で現地購入する場合に課される付加価値税その他の課徴金の免除
(c) 事務所の活動のための経費であって海外から送金されるものに対して又はこれに関連して課される所得税その他の課徴金の免除
(3) 駐在員等及びその家族並びに事務所は、ニカラグァ共和国において同様の任務を遂行している第三国又は国際機関による技術協力の実施機関の駐在員等及びその家族並びに事務所に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与えられる。
第十一条
日本国政府及びニカラグァ共和国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
第十二条
1 この協定の規定は、この協定が効力を生ずる前から両政府間で実施されている個別の技術協力計画にも適用され、また、当該計画を実施するためにニカラグァ共和国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員、駐在員等及びその家族並びに当該計画を実施するためにニカラグァ共和国に持ち込まれた設備、機械及び資材にも適用される。
2 この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の個別の技術協力計画が完了する日までの間当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにニカラグァ共和国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員並びに駐在員等及びその家族に対して与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。
第十三条
この協定は、署名の日に効力を生じ、かつ、一年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも六箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に一年ずつ更新される。
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。
二千一年五月三十日にマナグァで、ひとしく正文である日本語及びスペイン語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 清水訓夫
ニカラグァ共和国政府のために フランシスコ・ハビエル・アギーレ・サカサ