ワーキング・ホリデー査証に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定
ワーキング・ホリデー査証に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定
日本国政府及びフランス共和国政府(以下それぞれ「締約国政府」という。)は、
「二十一世紀に向けての日仏協力二十の措置」を考慮し、
両国の間の一層緊密な協力関係を促進することを重視し、
滞在する間の就労を含む諸活動を通じ、自国の青少年に対し、他方の国における文化及び生活様式を評価するための一層広範な機会を提供することによって一層の相互理解を促進することを希望して、
次のとおり協定した。
第一条
1 両締約国政府は、両国の間のワーキング・ホリデー制度の創設に合意する。この制度は、一方の国の青少年が、その所持する資金を補うために就労する可能性を伴い他方の国において休暇を過ごすことを目的として、当該他方の国に滞在することを可能とするものである。
2 いずれの締約国政府も、他方の国の国民に対し、公の秩序に支障があると認める場合を除くほか、当該他方の国の国民が次の要件を満たすときは、一年間有効なワーキング・ホリデー査証を無償で発給する。
(a) 就労する可能性を伴い休暇を過ごすことを目的として入国する意図を有すること。
(b) 査証申請日の年齢が十八歳以上三十歳以下であること。
(c) 子を同伴しないこと。
(d) 有効な旅券及び帰国のための切符若しくは入国が保証されている第三国への切符又はそのような切符を購入するための十分な資金を所持すること。
(e) 滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること。
(f) 以前にこの制度を利用したことがないこと。
(g) 良好な健康状態を証明する医療診断書を提示すること。
3 日本国政府により発給されるワーキング・ホリデー査証は、日本国の領域について有効であり、フランス共和国政府により発給されるワーキング・ホリデー査証は、フランス共和国のヨーロッパ県について有効である。
第二条
ワーキング・ホリデー査証の取得を希望するいずれの国の国民も、当該国民が属する国の領域にある他方の国の大使館又は領事館においてワーキング・ホリデー査証を申請する。
第三条
いずれの締約国政府も、相手国の青少年に対して発給するワーキング・ホリデー査証の数を毎年定める。
いずれの締約国政府も、他方の締約国政府に対し、この数を外交上の経路を通じて通報する。
第四条
1 いずれの締約国政府も、有効なワーキング・ホリデー査証を所持する他方の国の国民に対し、入国の日から最長一年の期間第一条3で言及される領域において滞在することを許可し、また、その所持する資金を補うために就労することを認める。
2 有効なワーキング・ホリデー査証を所持し他方の国に滞在するいずれの国の国民も、許可された期間を超えて滞在を延長すること及びその滞在期間中に滞在資格を変更することはできない。
3 フランス共和国政府の当局が発給するワーキング・ホリデー査証を所持する日本国の国民がフランス共和国において雇用を見つけた場合には、フランス共和国政府の当局は、当該日本国の国民に対し、直ちに、かつ、雇用の状況を理由として反対することなく、雇用の予定される期間について暫定的な就労を許可するものとする。この許可は、許可された滞在期間を限度として、同様の条件で更新される。
4 日本国政府の当局が発給するワーキング・ホリデー査証を所持するフランス共和国の国民は、この協定の規定に従い、日本国への入国の時から就労することが認められる。
第五条
ワーキング・ホリデー査証を所持し他方の国に滞在するいずれの国の国民も、受入国において効力を有する法令、特に報酬を受ける活動を行うことに関するものに従わなければならない。
第六条
いずれの締約国政府も、それぞれの領域において設立されている関係団体がワーキング・ホリデー査証を所持する他方の国の国民に対し適切な相談の便宜を与えるよう奨励する。
第七条
いずれの締約国政府も、ワーキング・ホリデー査証を所持する他方の国の国民に対し医療保険に加入することを勧奨することができる。
第八条
この協定の規定は、それぞれの国において施行されている法令に従って実施される。
第九条
両締約国政府は、この協定の実施状況に関する年次評価を行うために会合する。
第十条
1 いずれの締約国政府も、他方の締約国政府に対し、この協定の効力発生のために必要な国内手続の完了を外交上の経路を通じて通報する。
2 この協定は、両締約国政府による1にいう通報のうちいずれか遅い方の通報が受領された日付の日の後三十日目の日に効力を生ずる。
3 いずれの締約国政府も、この協定の全部又は一部の実施を一時的に停止することができる。このような停止は、他方の締約国政府に対し、外交上の経路を通じて直ちに通告される。
4 いずれの締約国政府も、他方の締約国政府に対し外交上の経路を通じて三箇月前までに通告をすることにより、この協定を終了させることができる。
以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
千九百九十九年一月八日にパリで、ひとしく正文である日本語及びフランス語により本書二通を作成した。
日本国政府のために 松浦晃一郎
フランス共和国政府のために ロイック・エヌキン