日中民間緑化協力委員会の設置に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の交換公文
日中民間緑化協力委員会の設置に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
   書簡をもって啓上いたします。本使は、日本国政府及び中華人民共和国政府(以下「両政府」という。)が、中華人民共和国において進められている各種の植林緑化事業に対する日本国の国民、なかんずく青少年による協力を促進すること並びに両国の国民の間の友好的な交流及び両国関係の発展の一層の強化に寄与することを期待し、千九百九十八年十一月に発表された「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言」及び「日中両国の二十一世紀に向けた協力強化に関する共同プレス発表」の趣旨に則ってそれぞれの政府の代表者の間で友好的に行われた協議において、日中民間緑化協力委員会の設置につき次の了解に到達したことを日本国政府に代わって確認する光栄を有します。
  1 日本国と中華人民共和国との間の民間植林緑化協力を推進するため、両政府は、日中民間緑化協力委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
  2 委員会は、両政府がそれぞれ指定する代表者により構成する。いずれの一方の政府も、委員会の構成員を変更した場合には、遅滞なく、その旨を外交上の経路を通じて他方の政府に対し通報する。
  3 委員会は、この了解に従い、次のことを行う。
    (a) この了解の規定に基づき助成する民間植林緑化協力事業(以下「植林緑化事業」という。)の選定に資するため、情報及び意見を交換し、並びに、植林緑化協力に関する計画の方向性、重点等を検討すること。
    (b) 植林緑化事業を行う民間団体等への政策的及び技術的助言を行うこと。
    (c) 必要に応じ、植林緑化事業を行う民間団体等と両政府との間、及び植林緑化事業を行う民間団体間の連絡及び調整を行うこと。
    (d) 植林緑化事業が効果的に実施されているかどうかにつき評価すること。
    (e) 両国の民間植林緑化事業に対する支援を目的とする日本国政府からの資金の拠出並びに非政府機関及び個人からの寄付を受けること。
    (f) (e)の規定に従って資金の拠出及び寄付を受けること並びに5(2)にいう必要な支払を行うことを目的とする委員会名義の口座を日本国政府によって指定される日本国の銀行に開設すること。
    (g) この了解の規定に照らして委員会が適当と認めるその他の活動を行うこと。
  4  委員会は、少なくとも年一回、原則として日本国と中華人民共和国において交互に会合を開催する。
  5(1) 日本国に委員会の事務局である日中緑化交流基金(以下「基金」という。)を設置する。基金の職員は、日本国政府の推薦に基づき委員会により任命されかつ委員会の監督に服する事務局長をその長とする。基金の職員は、事務局長が雇用する。委員会は、必要に応じ、社団法人国土緑化推進機構に対し可能な限りの支援を要請する。
    (2) 基金は、6にいう日本国政府の拠出金及び委員会が3(e)の規定に従って受けることのある寄付並びにこれらから生ずる利子(以下「委員会資金」という。)の管理(3(f)にいう口座の管理を含む。)、必要な支払並びに委員会資金の使途に関する委員会への年次報告の提出を行う。
    (3)  基金は、日本国の民間団体等が行う植林緑化事業の申請を受け付ける。基金は、3(a)にいう委員会の検討結果を考慮して、申請された当該事業の審査及び助成の対象とする植林緑化事業の決定を行い、これに対し必要な助成及び適切な指導を行う。植林緑化事業を決定するための基準、助成率等についての詳細に関しては基金が委員会の承認を経て別途定める。
    (4) 委員会資金は、植林緑化事業(産業目的の植林事業を含まないものとする。)の実施のために必要と認められる物品及び役務の購入並びに委員会及び基金の運営のために使用される。ただし、委員会が両国間の植林緑化協力に密接に関連を有すると判断するその他の目的にも使用することができる。
    (5) 基金は、この了解に基づく基金の活動に必要な組織上の事項の詳細に関する規則を定めることができる。
  6 日本国政府は、日本国の関係法令及び利用可能な資金の範囲内で、委員会に拠出する資金の額を決定し、その額を委員会に拠出する。
  7 中華人民共和国政府は、可能な範囲で、かつ、中華人民共和国の関係法令に従い、委員会及び植林緑化事業を行う民間団体等の活動に協力する。
  8(1) いずれの一方の政府も、他方の政府に対し、外交上の経路を通じて三箇月前に文書による予告を与えることにより、この了解を終了させることができる。
    (2) この了解の終了は、5(2)にいう支払が完了し、かつ、その終了の時点で行われている植林緑化事業の実施に影響を及ぼすものではない。
   本使は、この書簡及び両政府が前記の了解に到達したことを中華人民共和国政府に代わって確認される閣下の返簡が両政府間の合意を構成し、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。
   本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十九年十一月十九日に北京で 
中華人民共和国駐在
日本国特命全権大使 谷野作太郎
中華人民共和国
外交部部長助理 王毅閣下
(中国側書簡)
(訳文)
   書簡をもって啓上いたします。本官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
   本官は、中華人民共和国政府及び日本国政府が閣下の書簡に述べられた了解に到達したことを中華人民共和国政府に代わって確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成し、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることに同意する光栄を有します。
   本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十九年十一月十九日に北京で 
中華人民共和国
外交部部長助理 王毅
中華人民共和国駐在
日本国特命全権大使 谷野作太郎閣下