日露青年交流委員会の設置に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定
日露青年交流委員会の設置に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定
   日本国政府及びロシア連邦政府(以下「両政府」という。)は、両国の間の青年の交流を抜本的に拡充することにより両国の国民の相互理解を一層深めることを希望し、 両国の青年の間の交流の活性化が、両国の間の関係の重要性に関する彼らの正確かつ客観的な理解及びそのような関係の更なる発展に対する責任感の形成を促進することを考慮し、千九百九十八年十一月十三日に両国の首脳により署名された「日本国とロシア連邦との間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言」の趣旨に則って、次のとおり協定した。
第一条
   日本国及びロシア連邦の間の青年の交流のための具体的な共同計画の実現を支援することを通じ両国の間の交流を促進するための活動を行うことを目的として、日露青年交流委員会(以下「委員会」という。)と称する委員会を設置する。
第二条 
   委員会は、両政府がそれぞれ三人ずつ指名する六人の者により構成する。
日本国側の構成員は、日本国外務大臣が選定する者とし、ロシア連邦側の構成員は、ロシア連邦外務省、ロシア連邦青年問題国家委員会及びロシア連邦教育省がそれぞれ一人ずつ選定する者とする。いずれの一方の政府も、委員会の構成員を変更した場合には、遅滞なく、当該構成員の氏名を外交上の経路を通じて他方の政府に対し通報する。
第三条
   委員会の構成員は、報酬なしで任務を行う。ただし、委員会は、委員会の構成員の委員会の会合への出席及び委員会が準備する他の公務の遂行に係る経費を支払うことができる。
第四条
1 委員会は、この協定の目的に従い、次のことを行う。
    (a) 青年の交流計画の決定に資するため、情報及び意見を交換し、並びに、必要に応じ、委員会のすべての構成員の合意により適当な勧告を行うこと。
    (b) 青年の交流計画が効果的に実施されているかどうかにつき評価すること。
    (c) 日本国政府からの資金の拠出並びに非政府機関及び個人からの寄附を受けること。
    (d) (c)の規定に従って資金の拠出及び寄附を受けること並びに第五条3にいう必要な支払を行うことを目的とする委員会名義の勘定を日本国政府によって指定される日本国の銀行に開設すること。
    (e) 日本国政府から第六条2にいう通報を受けたときに、第五条1にいう委員会の事務局に対し必要な支払を指示すること。
    (f) この協定の規定に照らして委員会が適当と認めるその他の活動を行うこと。
2 委員会は年一回、両政府が合意する時に、日本国とロシア連邦において交互に会合を開催する。
第五条
1 組織上及び技術上の業務を行うことを目的として、日本国に委員会の事務局である日露青年交流センター(以下「センター」という。)を設置する。ロシア連邦においてはロシア連邦側がロシア連邦青年問題国家委員会附属調整部(以下「調整部」という。)を設置する。
2 センターの職員は、日本国政府の推薦に基づき委員会により任命されかつ委員会の監督に服する事務局長をその長とする。センターの職員は、事務局長が雇用する。
 3 第六条1にいう日本国政府の拠出金及び委員会が第四条1(c)の規定に従って受けることのある寄附並びにこれらから生ずる利子(以下「委員会資金」という。)の管理(第四条1(d)にいう勘定の管理を含む。)は、センターが行う。センターは、委員会の指示に従って必要な支払を行う。センターは、委員会資金の使用に関し、日本国政府に通報する。
4 委員会は、ロシア連邦青年問題国家委員会の推薦に基づき調整部の長を承認する。調整部の人員構成、機能及び財政規則については、ロシア連邦政府が決定する。
第六条
1 日本国政府は、日本国の関係法令及び利用可能な資金の範囲内で、委員会に拠出する資金の額を決定する。
2 日本国政府は、委員会による第四条1(a)にいう情報及び意見の交換並びに委員会の勧告がある場合には当該勧告を考慮に入れて、委員会が実施する青年の交流計画及び当該計画の実施等に必要な資金の使途につき決定し、委員会に通報する。
第七条
   ロシア連邦政府は、可能な範囲で、かつ、国内の法令に従い、委員会の活動に協力する。
第八条
   委員会資金は、次に掲げる使途に使用される。
  (a) 青年の交流計画の実施のための旅費、宿泊費その他の経費の支払
  (b) 青年の交流計画の実施のために必要な物品及び役務の購入
  (c) 委員会及びセンターの運営に係る経費(第三条にいう経費を含む。)の支払
第九条
1 この協定は、署名の日に効力を生ずる。
2 いずれの一方の政府も、他方の政府に対し、外交上の経路を通じて三箇月前に文書による予告を与えることにより、いつでもこの協定を終了させることができる。
第十条
   この協定の終了は、第五条3にいう支払が完了し、かつ、その終了の時点でこの協定に基づいて行われている青年の交流計画の実施に影響を及ぼすものではない。
   以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
  千九百九十九年三月十五日に東京で、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
    日本国政府のために
        高村正彦
    ロシア連邦政府のために
        V・デニキン