債務救済措置に関する日本国政府とギニア共和国政府との間の交換公文
債務救済措置に関する日本国政府とギニア共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 
 書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百九十七年二月二十五日及び二十六日にパリで開催されたギニア共和国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議において到達した結論に基づき日本国政府の代表者とギニア共和国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。
 本使は、更に、当該交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) この取極は、一方においてギニア共和国政府及びギニア共和国の政府機関と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で千九百八十六年一月一日より前に契約され、日本国政府が保険を引き受けた弁済期間が一年を超える商業上の債務の元本、繰延利子及び遅延利子であって、次に掲げるもの(以下「繰延商業債務」という。)の総額に適用される。
  千九百九十年十月二十四日に日本国政府とギニア共和国政府との間で交換された書簡により行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、
(a) 千九百九十六年十二月三十一日以前に弁済期限の到来した未払の元本及び繰延利子。
(b) (a)にいう債務の遅延利子であって、千九百九十六年十二月三十一日以前に生じたもの。
(c) 千九百九十七年一月一日から千九百九十七年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限の到来した未払の元本及び繰延利子。
(d) 千九百九十八年一月一日から千九百九十八年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限の到来したか又は到来する元本及び繰延利子。ただし、国際通貨基金(以下「IMF」という。)の理事会が千九百九十八年三月三十一日(以下「承認の期限I」という。)までに拡大構造調整措置(以下「ESAF」という。)に基づくギニア共和国政府とIMFとの間の第二年次取極を承認し、かつ、関係債権諸国が千九百九十七年二月二十六日にパリでギニア共和国政府の代表者及び関係債権諸国政府の代表者によって署名された合意議事録(以下「合意議事録」という。)に定める条件をギニア共和国政府が遵守したと認める場合に限る。
(e) 千九百九十九年一月一日から千九百九十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限の到来する元本及び繰延利子。ただし、IMFの理事会が千九百九十九年三月三十一日(以下「承認の期限Ⅱ」という。)までにESAFに基づくギニア共和国政府とIMFとの間の第三年次取極を承認し、かつ、関係債権諸国が合意議事録に定める条件をギニア共和国政府が遵守したと認める場合に限る。
(2) 承認の期限Ⅰ及びⅡは、関係債権諸国政府の代表者が行う決定に従い日本国政府及びギニア共和国政府の関係当局の同意を得て修正することができる。
(3) 繰延商業債務は、日本円によって契約されたもの及び合衆国ドルによって契約されたものから成る。
(a) (1)(a)にいう債務の額は、日本円によって契約されたものについては、七百三十九万五千七十五円(七、三九五、〇七五円)、合衆国ドルによって契約されたものについては、五十六万六千四十合衆国ドル九十六セント(五六六、〇四〇・九六合衆国ドル)と見積もられる。
(b) (1)(b)にいう遅延利子の額は、この書簡の附属書一に掲げる算定方法に従って算出される。
(c) (1)(c)にいう債務の額は、日本円によって契約されたものについては、千三百六十二万四千七百六十九円(一三、六二四、七六九円)、合衆国ドルによって契約されたものについては、九十八万八千二十一合衆国ドル二十セント(九八八、〇二一・二〇合衆国ドル)と見積もられる。
(d) (1)(d)にいう債務の額は、日本円によって契約されたものについては、千五百三十七万五千四百七十五円(一五、三七五、四七五円)、合衆国ドルによって契約されたものについては、百九万八千八百十六合衆国ドル八十セント(一、〇九八、八一六・八〇合衆国ドル)と見積もられる。
(e) (1)(e)にいう債務の額は、日本円によって契約されたものについては、千四百八十五万五千八百六十七円(一四、八五五、八六七円)、合衆国ドルによって契約されたものについては、百五万三千四百七合衆国ドル四十セント(一、〇五三、四〇七・四〇合衆国ドル)と見積もられる。
(4) (3)にいう額は、日本国政府及びギニア共和国政府の関係当局が行う最終的照合の後に両政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
2(1) ギニア共和国政府は、ギニア共和国中央銀行を通じて、繰延商業債務を決済するため(4)に掲げる支払計画(以下「支払計画」という。)に従って行われる支払の額及び日付について日本国政府に通告する。
(2) ギニア共和国政府は、繰延商業債務の総額を支払計画に従いギニア共和国中央銀行を通じ関係契約によって指定された通貨により債権者に支払う。
(3) 日本国政府は、商業上の関係債務が支払計画に従って行われる支払により決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(4) 繰延商業債務の各々は、この書簡の附属書二に掲げる支払計画に従って千九百九十九年六月三十日に始まる四十五回の半年賦払によって支払われる。
3(1) ギニア共和国政府は、繰延商業債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(3)に定めるところにより算定される利子を次の計画に従って債権者に支払う。
(a) 繰延商業債務に対する最初の利子の支払は、千九百九十九年六月三十日に行われる。
(b) 最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払は、毎年六月三十日及び十二月三十一日に行われる。
(2)(a) 1(1)(a)及び(b)にいう債務に対して、千九百九十七年一月一日からこの書簡の交換の日の前日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、日本円によって契約された債務については、年四・五パーセントとし、合衆国ドルによって契約された債務については、年五・六パーセントとする。
(b) 1(1)(a)及び(b)にいう債務に対して、この書簡の交換の日から適用される利子率は、日本円によって契約された債務については、年四・七六二四パーセントとし、合衆国ドルによって契約された債務については、年六・一五九二パーセントとする。
(c) 1(1)(c)、(d)及び(e)にいう債務に対して、各々の当初の弁済期日からこの書簡の交換の日の前日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、日本円によって契約された債務については、年四・五パーセントとし、合衆国ドルによって契約された債務については、年五・六パーセントとする。
(d) 1(1)(c)、(d)及び(e)にいう債務に対して、各々の当初の弁済期日又はこの書簡の交換の日のいずれか遅い時点から適用される利子率は、日本円によって契約された債務については、年四・七六二四パーセントとし、合衆国ドルによって契約された債務については、年六・一五九二パーセントとする。
(3) 繰延商業債務に対して支払われる利子の額は、未決済の債務の額に当該債務が決済されないままに経過した日数及び一日当たりの利子率を乗じて算定される。一日当たりの利子率は、(2)にいう利子率を三百六十五で除して算定される。前記の算定方法を算式で表したものが、この書簡の附属書三に掲げられる。
(4) ギニア共和国政府は、支払計画((1)に掲げる利子の支払計画を含む。)上の支払が遅延した場合には、未払額から生ずる遅延利子を、日本円によって契約された債務については、年八・九パーセントの利子率によって、また、合衆国ドルによって契約された債務については、年十・六パーセントの利子率によって支払う。
(5) 支払われる利子については、ギニア共和国のすべての租税及び課徴金が免除される。
4 ギニア共和国政府は、商業上の関係債務の決済に伴って生ずる銀行手数料を支払う。
5 関係契約の条件のうちこの書簡において特に言及されていないものは、関係契約の当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き適用されることが確認される。
6 ギニア共和国政府は、いずれかの第三国の居住者である債権を有する者に対し債務救済措置について2(4)にいう条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国の居住者である債権を有する者に与えられる条件より不利でない条件を、債権者に直ちに与える。
7 ギニアの債務(この取極が対象とするものを含む。)の再編に関してギニア共和国政府の代表者及び関係債権諸国政府の代表者が新たな結論に到達した場合には、日本国政府とギニア共和国政府との間でこの取極の継続又は修正について討議するための協議が行われる。
 本使は、閣下が前記の了解をギニア共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十八年十二月二十一日にコナクリで
 ギニア共和国駐在
    日本国特命全権大使 恒川賢友
 ギニア共和国経済・財政大臣
    イブライマ・カソリィ・フォファナ閣下
附属書一
 遅延利子の額の算定方法の算式
 I = A X D X R × 1/365  
 I:遅延利子の額
 A:未決済の債務の額
 D:債務が決済されないままに経過した日数
 R:年間の利子率
(注)
(1) Dは、1(1)にいう書簡に掲げる債務の各々の当初の弁済期日から千九百九十六年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2) Rは、日本円によって契約された債務については年四・五パーセント、合衆国ドルによって契約された債務については年五・六パーセントとする。
附属書二
 千九百九十九年六月三十日     一・七四パーセント
 千九百九十九年十二月三十一日   〇・九四パーセント
 二千年六月三十日         〇・九八パーセント
 二千年十二月三十一日       一・〇二パーセント
 二千一年六月三十日        一・〇七パーセント
 二千一年十二月三十一日      一・一一パーセント
 二千二年六月三十日        一・一六パーセント
 二千二年十二月三十一日      一・二一パーセント
 二千三年六月三十日        一・二六パーセント
 二千三年十二月三十一日      一・三一パーセント
 二千四年六月三十日        一・三六パーセント
 二千四年十二月三十一日      一・四一パーセント
 二千五年六月三十日        一・四七パーセント
 二千五年十二月三十一日      一・五二パーセント
 二千六年六月三十日        一・五八パーセント
 二千六年十二月三十一日      一・六四パーセント
 二千七年六月三十日        一・七〇パーセント
 二千七年十二月三十一日      一・七六パーセント
 二千八年六月三十日        一・八二パーセント
 二千八年十二月三十一日      一・八八パーセント
 二千九年六月三十日        一・九五パーセント
 二千九年十二月三十一日      二・〇一パーセント
 二千十年六月三十日        二・〇八パーセント
 二千十年十二月三十一日      二・一五パーセント
 二千十一年六月三十日       二・二二パーセント
 二千十一年十二月三十一日     二・二九パーセント
 二千十二年六月三十日       二・三六パーセント
 二千十二年十二月三十一日     二・四四パーセント
 二千十三年六月三十日       二・五一パーセント
 二千十三年十二月三十一日     二・五九パーセント
 二千十四年六月三十日       二・六七パーセント
 二千十四年十二月三十一日     二・七五パーセント
 二千十五年六月三十日       二・八四パーセント
 二千十五年十二月三十一日     二・九二パーセント
 二千十六年六月三十日       三・〇〇パーセント
 二千十六年十二月三十一日     三・一〇パーセント
 二千十七年六月三十日       三・一九パーセント
 二千十七年十二月三十一日     三・二八パーセント
 二千十八年六月三十日       三・三七パーセント
 二千十八年十二月三十一日     三・四七パーセント
 二千十九年六月三十日       三・五七パーセント
 二千十九年十二月三十一日     三・六七パーセント
 二千二十年六月三十日       三・七七パーセント
 二千二十年十二月三十一日     三・八七パーセント
 二千二十一年六月三十日      三・九九パーセント
附属書三
 繰延商業債務の利子の額の算定方法の算式
 I = A X D X R X 1/365
 I:利子の額
 A:未決済の債務の額
 D:債務が決済されないままに経過した日数
 R:年間の利子率
(注)
(1) 3(1)(a)に基づく千九百九十九年六月三十日における最初の利子の支払に関し、Dは、1(1)(a)及び(b)にいう債務については、千九百九十七年一月一日から千九百九十九年六月二十九日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2) 3(1)(a)に基づく千九百九十九年六月三十日における最初の利子の支払に関し、Dは、1(1)(c)、(d)及び(e)にいう債務については、1(1)にいう書簡に掲げる各々の当初の弁済期日から千九百九十九年六月二十九日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(3) 最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払については、Dは、当該支払に先立つ支払の日又は1(1)にいう書簡に定める各々の当初の弁済期日のいずれか遅い時点から当該支払の前日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(ギニア側書簡)
 
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をギニア共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十八年十二月二十一日にコナクリで
 ギニア共和国経済・財政大臣
    イブライマ・カソリィ・フォファナ
 ギニア共和国駐在
    日本国特命全権大使 恒川賢友閣下