債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の三の交換公文
債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の三の交換公文
(海外経済協力基金関係の債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百九十二年二月二十七日にパリで開催されたモロッコ王国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とモロッコ王国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 債務繰延方式による債務救済措置が、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国において施行されている関係法令に従ってとられることになる。
2(1) 繰延べの対象となる債務(以下「繰延債務」という。)の総額は、二十五億千八百九十六万五千四百八十一円(二、五一八、九六五、四八一円)になる。繰延債務は、モロッコ王国政府が基金に対して負う次の債務であってこの書簡の付表に掲げるものから成る。
(a) 過去に繰り延べられなかった債務であって、
(i) 千九百九十二年一月三十一日以前に弁済期限の到来した未払のもの
(ii) 千九百九十二年二月一日から千九百九十二年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(b) 千九百八十六年十月二十五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡により行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、
(i) 千九百九十二年一月三十一日以前に弁済期限の到来した未払のもの
(ii) 千九百九十二年二月一日から千九百九十二年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(2) (1)にいう総額及びこの書簡の付表は、モロッコ王国政府の関係当局及び基金が行う最終的照合の後に日本国政府及びモロッコ王国政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
3 債務繰延べの条件は、モロッコ王国政府と基金との間で締結される債務繰延契約であって、なかんずく次の原則を含むものにおいて規定される。
(1) 2(1)にいう債務の各々は、二千三年一月十五日に始まる二十回の均等半年賦払によって支払われる。
(2) 繰延債務に対しこの書簡の付表に掲げる弁済期日から適用される利子率は、年四・五五パーセントとする。
本使は、貴官が、前記の了解をモロッコ王国政府に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴官に向かって敬意を表します。
千九百九十三年一月十三日にラバトで
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一
モロッコ王国大蔵省 国庫局長 モハメド・ダイリ殿
(モロッコ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本官は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をモロッコ王国政府に代わって確認する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十三年一月十三日にラバトで
モロッコ王国大蔵省 国庫局長 モハメド・ダイリ
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一閣下
(日本輸出入銀行関係の債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百九十二年二月二十七日にパリで開催されたモロッコ王国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とモロッコ王国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 債務繰延方式による債務救済措置が、日本輸出入銀行(以下「銀行」という。)により、日本国において施行されている関係法令に従ってとられることになる。
2(1) 繰延べの対象となる債務(以下「繰延債務」という。)の総額は、六十二億六千十三万二千百三十五円(六、二六〇、一三二、一三五円)になる。繰延債務は、モロッコ王国政府及びモロッコ王立燐鉱石公社が銀行に対して負う次の債務であってこの書簡の付表に掲げるものから成る。
(a) 過去に繰り延べられなかった債務であって、
(i) 千九百九十二年一月三十一日以前に弁済期限の到来した未払のもの
(ii) 千九百九十二年二月一日から千九百九十二年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(b) 千九百八十六年十月二十五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡により行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、
(i) 千九百九十二年一月三十一日以前に弁済期限の到来した未払のもの
(ii) 千九百九十二年二月一日から千九百九十二年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(2) (1)にいう総額及びこの書簡の付表は、モロッコ王国政府の関係当局、モロッコ王立燐鉱石公社及び銀行が行う最終的照合の後に日本国政府及びモロッコ王国政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
3 関係債務の支払義務の引受け及び債務繰延べの条件は、モロッコ王国政府と銀行との間で締結される債務繰延契約であって、なかんずく次の原則を含むものにおいて規定される。
(1) 2(1)にいう債務の各々は、二千一年一月十五日に始まる十四回の均等半年賦払によって支払われる。
(2) 繰延債務に対しこの書簡の付表に掲げる弁済期日からこの書簡の交換の日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、関係契約に定められた利子率とし、この書簡の交換の日の翌日以降は、年七パーセントとする。
本使は、貴官が、前記の了解をモロッコ王国政府に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴官に向かって敬意を表します。
千九百九十三年一月十三日にラバトで
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一
モロッコ王国大蔵省 国庫局長 モハメド・ダイリ殿
(モロッコ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本官は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をモロッコ王国政府に代わって確認する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十三年一月十三日にラバトで
モロッコ王国大蔵省 国庫局長 モハメド・ダイリ
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一閣下
(商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百九十二年二月二十七日にパリで開催されたモロッコ王国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とモロッコ王国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) この取極は、一方においてモロッコ王国の居住者である関係債務者(以下「債務者」という。)と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で千九百八十三年五月一日より前に契約され、弁済期間が一年を超える商業上の債務のうち日本国政府が保険を引き受けたものの元本及び利子であって、次に掲げるもの(以下「繰延商業債務」という。)の総額に適用される。
(a) 千九百八十六年十月二十五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡(以下「従前の書簡I」という。)により行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、千九百九十二年一月三十一日以前に弁済期限の到来した未払のもの
(b) 従前の書簡Iにより行われた取極に従って繰り延べられた債務であって、千九百九十二年二月一日から千九百九十二年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(2) 繰延商業債務の総額は、十四億八千三百三十九万千九百四十円(一、四八三、三九一、九四〇円)と見積もられる。その内容は、次のとおりである。
(a) (1)(a)にいう債務については、六億九千六百九十六万九千百九円(六九六、九六九、一〇九円)
(b) (1)(b)にいう債務については、七億八千六百四十二万二千八百三十一円(七八六、四二二、八三一円)
(3) (2)にいう総額は、日本国政府及びモロッコ王国政府の関係当局が行う最終的照合の後に両国政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
2(1) モロッコ王国政府は、繰延商業債務の決済のため(4)に定める支払計画(以下「支払計画」という。)に従って行われる支払の額及び支払日を日本国政府に通告する。
(2) モロッコ王国政府は、繰延商業債務を支払計画に従い関係契約によって指定された通貨により債権者に支払い、また、債務者が支払うことを確保する。
(3) 日本国政府は、商業上の関係債務が支払計画に従って行われる支払により決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(4) 繰延商業債務の総額は、二千一年一月十五日に始まる十四回の均等半年賦払によって支払われる。
3(1) モロッコ王国政府は、繰延商業債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(2)に定めるところにより算定される利子を毎年一月十五日及び七月十五日に債権者に支払う。最初の利子の支払は、千九百九十三年三月十五日に行われる。
(2)(a)(i) 従前の書簡Iに定める支払日からこの書簡の交換の日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、年八・六パーセントとする。
(ii) 従前の書簡Iに定める支払日又はこの書簡の交換の日の翌日のいずれか遅い時点から適用される利子率は、年七・九パーセントとする。
(b) 支払われる利子の額は、未決済の債務の額に当該債務が決済されないままに経過した日数及び一日当たりの利子率を乗じて算出される。一日当たりの利子率は、(a)にいう利子率を三百六十五で除して算出される。前記の算定方法を算式で表したものが、この書簡の付表に掲げられる。
(3) モロッコ王国政府は、支払計画((1)に掲げる利子の支払計画を含む。)上の支払が遅延した場合には、未払額から生ずる遅延利子を(2)(a)にいう利子率に年〇・五パーセントを加えた利子率によって支払う。
(4) 支払われる利子については、モロッコ王国のすべての租税及び課徴金が免除される。
4(1) 千九百八十五年七月五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡(以下「従前の書簡II」という。)により行われた取極に従って繰り延べられた債務に関し、千九百九十二年一月三十一日以前に弁済期限が到来した未払の元本及び利子の総額(以下「支払猶予商業債務」という。)は、二回の均等払により支払われることが確認される。最初の支払は、千九百九十三年三月十五日に行われ、二回目の支払は、千九百九十三年五月三十一日に行われる。
(2) モロッコ王国政府は、支払猶予商業債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(3)に定めるところにより算定される利子を千九百九十三年三月十五日及び千九百九十三年五月三十一日に債権者に支払う。
(3)(a)(i) 支払猶予商業債務に対して従前の書簡IIに定める支払日からこの書簡の交換の日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、年八・六パーセントとする。
(ii) 支払猶予商業債務に対してこの書簡の交換の日の翌日から千九百九十三年五月三十日までの間(両期日を含む。)に適用される利子率は、年七・六パーセントとする。
(b) 支払われる利子の額は、未決済の債務の額に当該債務が決済されないままに経過した日数及び一日当たりの利子率を乗じて算出される。一日当たりの利子率は、(a)にいう利子率を三百六十五で除して算出される。前記の算定方法を算式で表したものが、この書簡の付表に掲げられる。
(4) モロッコ王国政府は、(1)及び(2)にいう支払計画上の支払が遅延した場合には、未払額から生ずる遅延利子を、(3)(a)にいう利子率に年〇・五パーセントを加えた利子率によって支払う。
5 モロッコ王国政府は、商業上の関係債務の決済に伴って生ずる銀行手数料を支払う。
6 債務者が支払計画に従って商業上の関係債務を決済するためモロッコ王国において必要とされる措置をとらなかった場合には、モロッコ王国政府は、当該債務が債務者と債権者との間で当初の関係契約に従って決済されることを、モロッコ王国において施行されている関係法令の範囲内で容易にする。モロッコ王国政府は、また、当該債務の決済のため、関係契約によって指定された通貨による送金の自由を保証する。
7 関係契約の条件のうちこの取極において特に規定していないものは、関係契約の当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き適用されることが確認される。
8 モロッコ王国政府は、いずれかの第三国の居住者である債権者に対し債務救済措置について2(4)及び4(1)にいう条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国の居住者である債権者に与えられる条件より不利でない条件を、債権者に直ちに与える。
本使は、貴官が、前記の了解をモロッコ王国政府に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて貴官に向かって敬意を表します。
千九百九十三年一月十三日にラバトで
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一
モロッコ王国大蔵省 国庫局長 モハメド・ダイリ殿
付 表
利子の額の算定方法の算式
I = A × D × R × 1/365
I: 利子の額
A: 未決済の債務の額
D: 債務が決済されないままに経過した日数
R: 年間の利子率
(注)
(1) 一九九三年三月十五日における最初の利子の支払については、Dは従前の書簡Iに定める弁済期日から一九九三年三月十四日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2) 一九九三年三月十五日における最初の利子の支払については、Dは従前の書簡IIに定める弁済期日から一九九三年三月十四日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(3) 最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払については、Dは当該支払に先立つ支払の日から当該支払の前日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(モロッコ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本官は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をモロッコ王国政府に代わって確認する光栄を有します。
本官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十三年一月十三日にラバトで
モロッコ王国大蔵省 国庫局長 モハメド・ダイリ
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一閣下