円借款の供与に関する日本国政府とエル・サルヴァドル共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府とエル・サルヴァドル共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、日本国とエル・サルヴァドル共和国との間の友好関係及び経済協力を強化することを目的として供与される日本国の借款に関して日本国政府の代表者とエル・サルヴァドル共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 百億二千七百万円(一〇、〇二七、〇〇〇、〇〇〇円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、この書簡に附属する表(以下「付表」という。)に掲げる計画を実施するため、各計画につき付表に定める配分に応じ、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従って、エル・サルヴァドル共和国政府に供与されることになる。
2(1) 借款は、エル・サルヴァドル共和国政府と基金との間で締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び使用に関する手続は、なかんずく次の原則を含むことになる前記の借款契約によって規制される。
(a) 償還期間は、十年の据置期間の後二十年とする。
(b) 利子率は、年三・〇パーセントとする。
(c) 支出期間は、関係借款契約の発効の日から七年とする。
(2) (1)にいう借款契約の各々は、基金が当該借款契約に係る計画の実行可能性(環境に対する配慮を含む。)を確認した後に締結される。
(3) (1)(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3(1) 借款は、エル・サルヴァドルの実施機関が調達適格国の供給者、請負業者又はコンサルタントに対して行う支払で、付表に掲げる計画の実施に必要な生産物又は役務の購入のために両者の間で締結されることのある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物又はそれらの国から供給される役務について行われる。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
(3) 借款の一部は、付表に掲げる計画の実施のための適格な現地通貨の需要に充てるために使用することができる。
4 エル・サルヴァドル共和国政府は、3(1)にいう生産物又は役務が基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか従うべき国際入札の手続をなかんずく定める。)に従って調達されることを確保する。
5 エル・サルヴァドル共和国政府は、基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらに関連してエル・サルヴァドル共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税を免除する。
6 エル・サルヴァドル共和国政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輸送及び海上保険に関し、海運会社及び海上保険会社の公正かつ自由な競争を妨げることのあるいかなる制限も課さない。
7 付表に掲げる計画の実施に必要な3(1)にいう契約に基づく生産物又は役務の供給に関連してエル・サルヴァドル共和国においてその役務が必要とされる日本国民は、作業の遂行のためエル・サルヴァドル共和国への入国及び同国における滞在に必要な便宣を与えられる。
8 エル・サルヴァドル共和国政府は、次のことを確保するために必要な措置をとる。
(a) 借款が適正にかつ専ら付表に掲げる計画のために使用されること。
(b) 借款に基づいて建設される施設がこの了解に定める目的のために適正にかつ効果的に維持され及び使用されること。
9 エル・サルヴァドル共和国政府は、要請に応じ、日本国政府に対し、付表に掲げる計画の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
10 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
 本大臣は、閣下が前記の了解をエル・サルヴァドル共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下向かって敬意を表します。
 千九百九十三年三月十九日に東京で
 日本国外務大臣 渡辺美智雄
 エル・サルヴァドル共和国
外務大臣 ホセ・マヌエル・パカス・カストロ閣下
付 表
                       (供与限度額)
1 電力部門緊急整備計画        八十八億千七百万円
2 中小都市上下水道整備計画         十二億千万円
(エル・サルヴァドル側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、閣下の書簡に述べられた了解をエル・サルヴァドル共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十三年三月十九日に東京で
 エル・サルヴァドル共和国
外務大臣 ホセ・マヌエル・パカス・カストロ
 日本国外務大臣 渡辺美智雄閣下