円借款の供与に関する日本国政府とチリ共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府とチリ共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 
 
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、日本国とチリ共和国との間の友好関係及び経済協力を強化することを目的として資金還流措置の下で供与される日本国の借款に関して日本国政府の代表者とチリ共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 二百四十三億七千万円(二四、三七◯、◯◯◯、◯◯◯円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、この書簡に附属する表(以下「付表」という。)に掲げる計画を実施するため、各計画につき付表に定める配分に応じ、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従って、チリ共和国政府、バルパライソ衛生事業公社及びチリ国有鉄道(以下「チリ側の借入人」という。)に供与されることになる。
2(1) 借款は、チリ側の借入人と基金との間で締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び使用に関する手続は、なかんずく次の原則を含むことになる前記の借款契約によって規制される。
(a) 償還期間は、七年の据置期間の後十八年とする。
(b) 利子率は、年三・◯パーセントとする。
(c) 支出期間は、付表の1及び2に掲げる計画については、関係借款契約の発効の日から七年とし、付表の3に掲げる計画については、関係借款契約の発効の日から五年とする。
(2) (1)にいう借款契約の各々は、基金が当該借款契約に係る計画の実行可能性(環境に対する配慮を含む。)を確認した後に締結される。
(3) (1)(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3 付表の2及び3に掲げる計画に対する借款の元本の償還及び利子の支払は、チリ共和国政府によって保証される。
4(1) 借款は、チリの実施機関が調達適格国の供給者、請負業者又はコンサルタントに対して行う支払で、付表に掲げる計画の実施に必要な生産物又は役務の購入のために両者の間で締結されることのある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物又はそれらの国から供給される役務について行われる。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
(3) 借款の一部は、付表に掲げる計画の実施のための適格な現地通貨の需要に充てるために使用することができる。
5 チリ共和国政府は、4(1)にいう生産物又は役務が基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか従うべき国際入札の手続をなかんずく定める。)に従って調達されることを確保する。
6 チリ共和国政府は、基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらに関連してチリ共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税を免除する。
7 チリ共和国政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輸送及び海上保険に関し、海運会社及び海上保険会社の公正かつ自由な競争を妨げることのあるいかなる制限も課さない。
8 付表に掲げる計画の実施に必要な4(1)にいう契約に基づく生産物又は役務の供給に関連してチリ共和国においてその役務が必要とされる日本国民は、作業の遂行のためチリ共和国への入国及び同国における滞在に必要な便宣を与えられる。
9 チリ共和国政府は、次のことを確保するために必要な措置をとる。
(a) 借款が適正にかつ専ら付表に掲げる計画のために使用されること。
(b) 借款に基づいて建設される施設が、この了解に定められた目的のために適正にかつ効果的に維持され及び使用されること。
10 チリ共和国政府は、要請に応じ、日本国政府に対し、付表に掲げる計画の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
11 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
 本大臣は、閣下が前記の了解をチリ共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十二年十一月十八日に東京で
 日本国外務大臣 渡辺美智雄
 チリ共和国
 外務大臣 エンリケ・シルバ・シマ閣下
付表
(供与限度額)
1 ラハ・ディキジン潅漑計画   百二十四億七千七百万円
2 バルパライソ上下水道整備計画   五十四億八千百万円
3 鉄道修復計画           六十四億千二百万円
(チリ側書簡)
 
 
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、閣下の書簡に述べられた了解をチリ共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十二年十一月十八日に東京で
 チリ共和国
 外務大臣 エンリケ・シルバ・シマ
 日本国外務大臣 渡辺美智雄閣下