債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の三の交換公文
債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の三の交換公文
(海外経済協力基金関係の債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百八十八年十月二十六日にパリで開催されたモロッコ王国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とモロッコ王国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 債務繰延方式による債務救済措置が、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国において施行されている関係法令に従ってとられることになる。
2(1) 繰延べの対象となる債務(以下「繰延債務」という。)の総額は、十六億二千二百九十九万九千四百四円(一、六二二、九九九、四◯四円)になる。繰延債務は、モロッコ王国政府が基金に対して負う次の債務から成り、その内訳は、この書簡の付表に掲げられる。
(a) 過去に繰り延べられなかった債務で、千九百八十八年七月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの。その額は、十四億二千八百二万四千二百七十円(一、四二八、◯二四、二七◯円)になる。
(b) 千九百八十五年七月五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡により行われた債務救済措置に関する取極の適用の対象となり過去に繰り延べられた債務で、千九百八十八年七月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの。その額は、一億九千四百九十七万五千百三十四円(一九四、九七五、一三四円)になる。
(2) (1)にいう総額及びこの書簡の付表は、モロッコ王国政府の関係当局及び基金が行う最終的照合の後に日本国政府及びモロッコ王国政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
3 債務繰延べの条件は、モロッコ王国政府と基金との間で締結される債務繰延契約(以下「債務繰延契約」という。)であって、なかんずく次の原則を含むものにおいて規定される。
(1) 2(1)にいう債務の各々は、千九百九十四年九月三十日に始まる十回の均等半年賦払によって支払われる。
(2) 繰延債務に対しこの書簡の付表に掲げる弁済期日から適用される利子率は、年四・五パーセントとする。
本使は、閣下が、前記の了解をモロッコ王国政府に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十年九月四日にラバトで
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一
モロッコ王国 大蔵大臣 モハメド・ベラダ閣下
(モロッコ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をモロッコ王国政府に代わって確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十年九月四日にラバトで
モロッコ王国 大蔵大臣 モハメド・ベラダ
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一閣下
(日本輸出入銀行関係の債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百八十八年十月二十六日にパリで開催されたモロッコ王国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とモロッコ王国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 債務繰延方式による債務救済措置が、日本輸出入銀行(以下「銀行」という。)により、日本国において施行されている関係法令に従ってとられることになる。
2(1) 繰延べの対象となる債務(以下「繰延債務」という。)の総額は、四十四億九千九百六十九万六千四百六十四円(四、四九九、六九六、四六四円)になる。繰延債務は、モロッコ王国政府及びモロッコ王立燐鉱石公社が銀行に対して負う次の債務から成り、その内訳は、この書簡の付表に掲げられる。
(a) 過去に繰り延べられなかった債務で、千九百八十八年七月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの。その額は、四十二億二千七百四十五万三千三十四円(四、二二七、四五三、〇三四円)になる。
(b) 千九百八十五年七月五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡により行われた債務救済措置に関する取極の適用の対象となり過去に繰り延べられた債務で、千九百八十八年七月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの。その額は、二億七千二百二十四万三千四百三十円(二七二、二四三、四三〇円)になる。
(2) (1)にいう総額及びこの書簡の付表は、モロック王国政府関係当局、モロッコ王立燐鉱石公社及び銀行が行う最終的照合の後に日本国政府及びモロッコ王国政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
3 債務繰延べの条件は、モロッコ王国政府及びモロッコ王立燐鉱石公社と銀行との間で締結される債務繰延契約(以下「債務繰延契約」という。)であって、なかんずく次の原則を含むものにおいて規定される。
(1) 2(1)にいう債務の各々は、千九百九十四年九月三十日に始まる十回の均等半年賦払によって支払われる。
(2) 繰延債務に対しこの書簡の付表に掲げる弁済期日から適用される利子率は、年七・九パーセントとする。
本使は、閣下が、前記の了解をモロッコ王国政府に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十年九月四日にラバトで
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一
モロッコ王国 大蔵大臣 モハメド・ベラダ閣下
(モロッコ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をモロッコ王国政府に代わって確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十年九月四日にラバトで
モロッコ王国 大蔵大臣 モハメド・ベラダ
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一閣下
(商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とモロッコ王国政府との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百八十八年十月二十六日にバリで開催されたモロッコ王国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づいて日本国政府の代表者とモロッコ王国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) この取極は、一方においてモロッコ王国の居住者である関係債務者(以下「債務者」という。)と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で行われた契約に起因し、日本国政府が保険を引き受けた次の商業上の債務の元本及び利子(以下「繰延商業債務」という。)の総額に適用される。
(a) 過去に繰り延べられなかった商業上の債務で、債務者と債権者との間で千九百八十三年五月一日より前に行われた契約に起因し、千九百八十八年七月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来した債務で、かつ弁済期間が一年を超えるものの元本及び利子
(b) 千九百八十五年七月五日に日本国政府とモロッコ王国政府との間で交換された書簡(以下「従前の書簡」という。)により行われた商業上の債務についての債務救済措置に関する取極の適用の対象となり過去に繰り延べられた債務で、千九百八十八年七月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したものの元本
(2) 繰延商業債務の総額は、十九億六千六百六十二万三千二百六十八円(一、九六六、六二三、二六八円)と見積もられる。その内容は、次のとおりである。
(a) (1)(a)にいう商業上の債務については、十四億二千四百六十七万六千三十七円(一、四二四、六七六、〇三七円)
(b) (1)(b)にいう商業上の債務については、五億四千百九十四万七千二百三十一円(五四一、九四七、二三一円)
(3) (2)にいう総額は、日本国政府及びモロッコ王国政府の関係当局が行う最終的照合の後に両政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
2(1) モロッコ王国政府は、(4)に掲げる支払計画であって債務者が債権者に対し繰延商業債務の弁済期間をそれに従って延長するよう要請すべきもの(以下「支払計画」という。)を日本国政府に通告する。
(2) モロッコ王国政府は、繰延商業債務を支払計画に従い関係契約によって指定された通貨により債権者に支払い、また、債務者が支払うことを確保する。
(3) 日本国政府は、商業上の関係債務が支払計画に従って行われる支払により決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(4) 繰延商業債務の総額は、千九百九十四年九月三十日に始まる十回の均等半年賦払によって支払われる。
3(1) モロッコ王国政府は、繰延商業債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(2)に定めるところにより算定される利子を毎年三月三十一日及び九月三十日に債権者に支払う。最初の利子の支払は、千九百九十年九月三十日に行われる。
(2)(a) 繰延商業債務に対して当初の弁済期日又は従前の書簡にいう弁済期日から適用される支払計画上の利子率は、適用可能な日本円長期最優遇貸出金利(年利)に年〇・三パーセントを加えたものとする。
(i) 日本円長期最優遇貸出金利(以下「最優遇金利」という。)とは、この書簡の中で用いるときはいつでも、日本国の銀行により毎年三月三十一日及び九月三十日(以下「基準日」と総称する。)に最優遇金利として適用されるものを意味する。
(ii) 各最優遇金利は、関係債務が決済されていない限り、当該最優遇金利の基準日に始まり次の基準日の前日に終わる期間(以下「金利特定期間」という。)においてのみ適用可能である。
(b) 金利特定期間の一について支払われる利子の額は、未決済の関係債務の額に当該金利特定期間において当該債務が支払われないままに経過した日数及び一日当たりの適用可能な利子率を乗じて算出される。一日当たりの適用可能な利子率は、適用可能な最優遇金利(年利)に〇・三パーントを加えたものを三百六十五で除して算出される。
(c) 関係債務が一の金利特定期間を超えて未決済である場合には、支払われる利子の額は、関係する金利特定期間の各々について算定された利子の額を合計したものとなる。
(d) モロッコ王国政府は、支払計画上の支払が遅延した場合には、未払額から生ずる利子を、適用可能な最優遇金利(年利)に年〇・八パーセントを加えた利子率によって支払う。
4 モロッコ王国政府は、商業上の関係債務の決済に伴って生ずる銀行手数料を支払う。
5 債務者が支払計画に従って商業上の関係債務を決済するためモロッコ王国において必要とされる措置をとらなかった場合には、モロッコ王国政府は、当該債務が債務者と債権者との間で当初の関係契約に従って決済されることを、モロッコ王国において施行されている関係法令の範囲内で容易にする。モロッコ王国政府は、また、当該債務の決済のため、関係契約によって指定された通貨による送金の自由を保証する。
6 関係契約の条件のうちこの取極において特に規定していないものは、関係契約の当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き適用されることが確認される。
7 モロッコ王国政府は、いずれかの第三国の居住者である債権者に対し債務救済措置について2(4)にいう条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国の居住者である債権者に与えられる条件より不利でない条件を、債権者に直ちに与える。
本使は、閣下が、前記の了解をモロッコ王国政府に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十年九月四日にラバトで
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一
モロッコ王国 大蔵大臣 モハメド・ベラダ閣下
(モロッコ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をモロッコ王国政府に代わって確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百九十年九月四日にラバトで
モロッコ王国 大蔵大臣 モハメド・ベラダ
モロッコ王国駐在 日本国特命全権大使 大村喬一閣下