円借款の供与に関する日本国政府と象牙海岸共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府と象牙海岸共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、日本国と象牙海岸共和国との間の友好関係及び経済協力を強化することを目的として資金還流措置の下で象牙海岸共和国に対して供与される日本国の借款に関して日本国政府の代表者と象牙海岸共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 七十二億円(七、二〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、農業セクター調整計画(以下「計画」という。)を支援するため、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従って、象牙海岸共和国政府に供与されることになる。
2(1) 借款は、象牙海岸共和国政府と基金との間に締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び手続は、なかんずく次の諸点を含むことになる前記の借款契約によって規制される。
(a) 償還期間は、十年の据置期間の後二十年とする。
(b) 利子率は、年二・七パーセントとする。
(c) 支出期間は、借款契約の発効の日から二年とする。
(2) (1)(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3(1) 借款は、象牙海岸共和国内の輸入者による調達適格国の供給者に対する支払で、計画の実施中に必要とされる生産物の購入及び当該生産物の購入に付随する役務の購入のために当該輸入者と当該供給者との間で既に締結されたか又は締結されることのある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物及びそれらの国から供給される役務について行われる。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
4(1) 象牙海岸共和国政府は、象牙海岸共和国政府の名義で西アフリカ諸国中央銀行に開設される当座預金口座に見返資金として同銀行が借款の円貨による支出額に等しい額を象牙海岸通貸で振り替えるようにするための措置をとる。このようにして振り替えられた象牙海岸通貨は、象牙海岸共和国における経済社会開発事業計画に使用されなければならない。
(2) 象牙海岸共和国政府は、要請に応じ、日本国政府に対し、(1)にいう見返資金の使用についての報告を提出する。
5 象牙海岸共和国政府は、3(1)にいう生産物又は役務が基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか従うべき国際入札の手続をなかんずく定める。)に従って調達されることを確保する。
6 象牙海岸共和国政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輸送及ひ海上保険に関し、両国の海運会社及び海上保険会社の公正かつ自由な競争を妨げることのあるいかなる制限も課さない。
7 象牙海岸共和国政府は、基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらに関連して象牙海岸共和国において課されるすべての租税又は財政課徴金を免除する。
8 象牙海岸共和国政府は、借款が、適正にかつ専ら3(1)にいう生産物又は役務を購入するために使用されることを確保するために必要な措置をとる。
9 象牙海岸共和国政府は、要請に応じ、日本国政府及び基金に対し、計画の実施の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
10 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
 本大臣は、閣下が前記の了解を象牙海岸共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十年三月二十六日に東京で
            日本国外務大臣 中山太郎
 象牙海岸共和国
   外務大臣 シメオン・アケ閣下
(象牙海岸側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解を象牙海岸共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
  千九百九十年三月二十六日に東京で
           象牙海岸共和国
             外務大臣 シメオン・アケ
 日本国外務大臣 中山太郎閣下