債務救済措置に関する日本国政府とギニア共和国政府との間の交換公文
債務救済措置に関する日本国政府とギニア共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡) 
 書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百八十九年四月十二日にパリで開催されたギニア共和国政府の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づいて日本国政府の代表者とギニア共和国政府の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) この取極は、一方においてギニア共和国政府と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間の契約に基づく商業上の債務であって、日本国政府が保険を引き受けた次のものの元本及び利子(以下「繰延商業債務」という。)の総額に適用される。
(a) 過去に繰り延べられなかった商業上の債務であって、ギニア共和国政府と債権者との間で千九百八十六年一月一日より前に契約され、かつ、弁済期間が一年を超える次のもの
(i) 千九百八十八年十二月三十一日以前に弁済期限が到来したもの
(ii) 千九百八十九年一月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(b) 千九百八十七年十一月五日に日本国政府とギニア共和国政府との間で交換された書簡(以下「従前の書簡」という。)により行われた商業上の債務についての債務救済措置に関する取極の適用の対象となり過去に繰り延べられた次の債務
(i) 千九百八十八年十二月三十一日以前に弁済期限が到来したもの
(ii) 千九百八十九年一月一日から千九百八十九年十二月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(2) 繰延商業債務は、合衆国ドルによって契約されたもの及び日本円によって契約されたものから成る。繰延商業債務の総額は、合衆国ドルによって契約されたものについては、五百七十三万二千七百三十四合衆国ドル六十セント(五、七三二、七三四・六◯合衆国ドル)、日本円によって契約されたものについては、八千三百六十三万二千八百四十三円(八三、六三二、八四三円)と見積もられる。
(3) (2)にいう総額は、日本国政府及びギニア共和国政府の関係当局が行う最終的照合の後に両政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
2(1) ギニア共和国政府は、(4)に掲げる支払計画であってギニア共和国政府が債権者に対し繰延商業債務の弁済期間をそれに従って延長するよう要請すべきもの(以下「支払計画」という。)を、ギニア共和国中央銀行を通じて債権者に通告する。
(2) ギニア共和国政府は、繰延商業債務を支払計画に従いギニア共和国中央銀行を通じ関係契約によって指定された通貨により債権者に支払う。
(3) 日本国政府は、商業上の関係債務が支払計画に従って行われる支払により決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(4) 繰延商業債務の各々は、次の計画に従って支払われる。
(a) 1(1)(a)(i)にいう商業上の債務の総額は、千九百九十六年十二月三十一日に始まる十二回の均等半年賦払によって支払われる。
(b) 1(1)(b)(i)にいう商業上の債務に関し、
(i) 十パーセント(千九百八十九年九月三十日までに支払われるべきものであるが、この書簡の日付の日において未払のもの)は、可及的速やかに支払われる。
(ii) 九十パーセントは、千九百九十六年十二月三十一日に始まる十二回の均等半年賦払によって支払われる。
(c) 1(1)(a)(ii)及び1(1)(b)(ii)にいう商業上の債務の総額は、千九百九十七年十二月三十一日に始まる十二回の均等半年賦払によって支払われる。
3(1) ギニア共和国政府は、繰延商業債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(2)に定めるところにより算定される利子を毎年六月三十日及び十二月三十一日に債権者に支払う。最初の利子の支払は、千九百九十年十二月三十一日に行われる。
(2)(a) 繰延商業債務に対する支払計画上の利子率は、合衆国ドルによって契約された債務については年五・一パーセント、日本円によって契約された債務については年四・◯パーセントとする。
(b) 支払われる利子の額は、未決済の債務の額に当該債務が決済されないままに経過した日数及び一日当たりの利子率を乗じて算定される。一日当たりの利子率は、(a)にいう利子率を三百六十五で除して算定される。前記の算定方法を算式で表したものが、この書簡の付表に掲げられる。
(3) 支払計画上の弁済期日から支払が遅延している関係債務については、支払計画上の弁済期日から当該債務の決済日までの期間につき、(2)に定める利子率に年○・五パーセントを加えた利子率が適用される。
(4) 支払われる利子については、ギニア共和国のすべての租税及び課徴金が免除される。
4 ギニア共和国政府は、繰延商業債務の決済に伴って生ずる銀行手数料を支払う。
5 関係契約の条件のうちこの取極において特に規定していないものは、関係契約の当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き適用されることが確認される。
6 ギニア共和国政府は、いずれかの第三国の居住者である債権者に対し債務救済措置について2(4)にいう条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国の居住者である債権者に与えられる条件より不利でない条件を、債権者に直ちに与える。
 本使は、閣下が、前記の了解をギニア共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十年十月二十四日にコナクリで
 ギニア共和国駐在
日本国特命全権大使 阿部 司
 ギニア共和国
経済・大蔵大臣 エドワール・ベンジャマン閣下
付表
 3にいう利子の額の算定方法の算式
 I=A×D×R×1/365
A: 未決済の債務の額
I: 利子の額
D: 債務が決済されないままに経過した日数
R: 年間の利子率
(注)
(1) 千九百九十年十二月三十一日における最初の利子の支払については、Dは、債務の各々の当初の弁済期日又は従前の書簡にいう弁済期日から千九百九十年十二月三十日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2) 最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払については、Dは、当該支払に先立つ支払の日から当該支払の前日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(ギニア側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をギニア共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
 千九百九十年十月二十四日にコナクリで
 ギニア共和国
経済・大蔵大臣 エドワール・ベンジャマン
 ギニア共和国駐在
日本国特命全権大使 阿部 司閣下