円借款の供与に関する日本国政府とエクアドル共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府とエクアドル共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、日本国とエクアドル共和国との友好関係及び経済協力を強化することを目的として資金還流措置の下で供与される日本国の借款にのし、日本国政府の代表者とエクアドル共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 八十九億千三百万円(八、九一三、〇〇〇、〇〇〇円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、送電網フェーズD建設計画(以下「計画」という。)の実施のため、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従つて、エクアドル共和国政府に供与されることになる。
2(1) 借款は、エクアドル共和国政府と基金との間で締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び使用にのする手続は、なかんずく次の原則を含むことになる前記の借款契約によつて規制される。
(a) 償還期間は、七年の据置期間の後十八年とする。
(b) 利子率は、年二・九パーセントとする。
(c) 支出期間は、借款契約の発効の日から五年とする。
(2) (1)にいう借款契約は、基金が計画の実行可能性を確認した後に締結される。
(3) 1(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3(1) 借款は、エクアドルの実施機関が調達適格国の供給者、請負業者又はコンサルタントに対して行う支払で、計画の実施に必要な生産物又は役務の購入のために両者の間で締結されることがある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物及びそれらの国から供給される役務を対象とするものとする。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
(3) 借款の一部は、計画の実施のための現地通貨の需要に充てるために使用することができる。
4 エクアドル(共和国政府は、3(1)にいう生産物又は役務が、基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか従うべき国際入札の手続をなかんずく定める。)に従つて調達されることを確保する。
5 エクアドル共和国政府は、次のものを免除する。
(a) 基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらにの連してエクアドル共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税
(b) 供給者又は請負業者として活動する日本国の会社について、借款に基づいて供与する生産物又は役務のエクアドル共和国以外の国からの供給から取得する所得に関してエクアドル共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税
(c) 請負業者又はコンサルタントとして活動する日本国の会社について、計画の実施のために必要とする自己の資材及び設備
の輸入及び再輸出に関してエクアドル共和国にかいて課されるすべての関税及び関連課徴金
(d) 日本人の被用技術者について、日本国の会社(ただし、それらの会社が計画の実施のためのコンサルタントとして活動する場合に限る。)から取得する個人所得に対して、及び、同会社について、その取得する所得に対してエクアドル共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税
6 両政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輪送に関し、それぞれの国の関係法令の範囲内で、両国の海運会社の間の公正かつ自由な競争を妨げることがあるいかなる制限も課さない。
7 3(1)にいう契約に基づいて行われる生産物及び役務の供給に関連してエクアドル共和国においてその役務が必要とされる日本国民は、作業の遂行のためエクアドル共和国への入国及び同国にかける滞在に必要な便宜を与えられる。
8 エクアドル共和国政府は、次のことを確保するために必要な措置をとる。
(a) 借款が適正にかつ専ら計画のために使用されること。
(b) 借款に基づいて建設される施設がこの了解に定められた目的のために適正にかつ効果的に維持され及び使用されること。
9 エクアドル共和国政府は、要請に応じ、日本国政府に対し、計画の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
10 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
 本大臣は、閣下が前記の了解をエクアドル共和国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百九十年五月九日に東京で
 日本国外務大臣中山太郎
 エクアドル共和国
外務大臣 ディエゴ・コルドベス閣下
(エクアドル側書簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をエクアドル共和国政府に代わつて確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
 千九百九十年五月九日に東京で
 エクアドル共和国
外務大臣ディエゴ・コルドベス
 日本国外務大臣 中山太郎閣下