債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の二の交換公文
債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の二の交換公文
(海外経済協力基金関係の債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百八十五年五月二十三及び二十四日並びに九月十八日にパリで開催されたザイール共和国行政評議会の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とザイール共和国行政評議会の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 債務繰延方式による債務救済措置が、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国において施行されている関係法令に従ってとられることになる。
2(1) 繰り延べられる債務(以下「繰延債務」という。)の総額は、三十九億千二百十三万六千八百七十三円(三、九一二、一三六、八七三円)になる。繰延債務は、ザイール共和国行政評議会が基金に対して負う債務であって、千九百八十五年一月一日から千九百八十六年三月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したものから成る。その内訳は、この書簡の付表に掲げられる。
(2) (1)にいう総額及びこの書簡の付表は、ザイール共和国行政評議会の関係当局及び基金が行う最終的照合の後に日本国政府とザイール共和国行政評議会の関係当局間の合意により修正されることがある。
3 債務繰延べの条件は、ザイール共和国行政評議会と基金との間で締結される債務繰延契約(以下「債務繰延契約」という。)であって、なかんずく次の原則を含むものにおいて規定される。
(1) 繰延債務を構成する債務の各々の九十五パーセントは、千九百九十一年二月十五日に始まる十回の均等半年賦払によって支払われる。
(2) 繰延債務を構成する債務の各々の五パーセント(千九百八十六年三月三十一日及び千九百八十七年一月三十一日に弁済されるべきものであって、この書簡の日付の日より前に既に支払われたもの)に係る利子等は、債務繰延契約に定める条件に従って支払われる。
(3) 繰延債務に対してそれぞれ当初の弁済期日から適用される利子率は、年四・二五パーセントとする。
本使は、閣下が、前記の了解をザイール共和国行政評議会に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百八十九年七月二十五日にキンシャサで
日本国特命全権大使 大村喬一
大蔵大臣 カタンガ・ムクマディ・ヤムトゥンバ閣下
(ザイール側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をザイール共和国行政評議会に代わって確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。
千九百八十九年七月二十五日にキンシャサで
大蔵大臣 カタンガ・ムクマディ・ヤムトゥンバ
日本国特命全権大使 大村喬一閣下
(商業上の債務についての債務救済措置に関する日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の交換公文)
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、千九百八十五年五月二十三及び二十四日並びに九月十八日にパリで開催されたザイール共和国行政評議会の代表者と関係債権諸国政府の代表者との間の協議の結論に基づき日本国政府の代表者とザイール共和国行政評議会の代表者との間で行われた最近の交渉に言及する光栄を有します。本使は、更に、前記の交渉において到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1(1) この取極は、一方においてザイール共和国の居住者である関係債務者(以下「債務者」という。)と他方において日本国の居住者である関係債権者(以下「債権者」という。)との間で行われた契約に基因し、日本国政府が保険を引き受けた次の商業上の債務の元本及び契約上の利子の総額に適用される。
(i) 過去に繰り延べられなかった債務であって、債務者と債権者との間で千九百八十三年六月三十日より前に行われた契約に基因し、弁済期間が一年を超え、かつ千九百八十五年一月一日から千九百八十六年三月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(ii) 過去に繰り延べられた債務であって、弁済期間が一年を超え、かつ千九百八十五年一月一日から千九百八十六年三月三十一日までの間(両期日を含む。)に弁済期限が到来したもの
(2) 1(1)にいう債務の総額は、四百七万九千五百六合衆国ドル二十セント(四、〇七九、五〇六・二〇合衆国ドル)と見積もられる。その内訳は、次のとおりである。
(i) 1(1)(i)にいう債務の額は、百二十一万千二百三十四合衆国ドル二セント(一、二一一、二三四・〇二合衆国ドル)になる。
(ii) 1(1)(ii)にいう債務の額は、二百八十六万八千二百七十二合衆国ドル十八セント(二、八六八、二七二・一八合衆国ドル)になる。
(3) (2)にいう総額は、日本国政府及びザイール共和国行政評議会の関係当局が行う最終的照合の後に日本国政府とザイール共和国行政評議会の関係当局間の合意により修正されることがある。
2(1) ザイール共和国行政評議会は、1(1)にいう債務の決済のため(4)に掲げる支払計画(以下「支払計画」という。)に従って行われる支払の額及び日付を日本国政府に通告する。
(2) ザイール共和国行政評議会は、1(1)にいう債務の総額が支払計画に従いザイール銀行を通じ関係契約において指定された通貨により債権者に支払われることを保証する。
(3) 日本国政府は、関係債務が支払計画に従って行われる支払により決済されることを容易にするため、日本国において施行されている関係法令の範囲内で可能な措置をとる。
(4) 1(1)(i)及び(ii)にいう債務の各々は、次の計画に従って支払われる。
(a) 五パーセントは、千九百八十九年八月十五日に支払われる。
(b) 九十五パーセントは、千九百九十一年二月十五日に始まる十回の均等半年賦払によって支払われる。
3(1) ザイール共和国行政評議会は、1(1)にいう債務の各々について、当該債務が決済されていない限り、(2)に定めるところにより算定される利子を毎年二月十五日及び八月十五日に債権者に支払う。最初の利子の支払は、千九百八十九年八月十五日に行われる。
(2)(i) 1(1)にいう債務に対する支払計画上の利子率は、年九・二五パーセントとする。
(ii) 支払われる利子の額は、未決済の債務の額に当該債務が決済されないまま経過した日数及び一日当たりの利子率を乗じて算定される。一日当たりの利子率は、(i)にいう利子率を三百六十五で除して算定される。前記の算定方法を算式で表したものが、この書簡の付表に掲げられる。
(3) 支払計画上の弁済期日から十五日を超えて支払が遅延している関係債務については、支払計画上の弁済期日から当該債務の決済日までの期間につき、(2)に定める利子率に年一パーセントを上乗せした利子率が適用される。
(4) 支払われる利子については、ザイール共和国におけるすべての租税及び課徴金が免除される。
4 ザイール共和国行政評議会は、関係債務の決済に伴って生ずる銀行手数料を支払う。
5 債務者が支払計画に従って関係債務を決済するためザイール共和国において必要とされる措置をとらなかった場合には、ザイール共和国行政評議会は、当該債務が債務者と債権者との間で関係契約に従って決済されることを、ザイール共和国において施行されている関係法令の範囲内で容易にする。ザイール共和国行政評議会は、また、関係契約において指定された通貨による関係債務の支払金の自由な移転を保証する。
6 関係契約の条件のうちこの書簡において特に言及されていないものは、関係契約の当事者間で別段の合意がある場合を除くほか、引き続き適用されることが確認される。
7 ザイール共和国行政評議会は、いずれかの第三国の居住者である債権者に対し債務救済措置について2(4)にいう条件より有利な条件を与えた場合には、当該第三国の居住者である債権者に与えられる条件より不利でない条件を債権者に直ちに与える。
本使は、閣下が、前記の了解をザイール共和国行政評議会に代わって確認されれば幸いであります。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百八十九年七月二十五日にキンシャサで
日本国特命全権大使 大村喬一
大蔵大臣 カタンガ・ムクマディ・ヤマトゥンバ閣下
付表
利子の額の算定方法の算式
I = A × D × R × 1/365
I: 利子の額
A: 未決済の債務の額
D: 債務が決済されないまま経過した日数
R: 年間の利子率
(注)
(1) 千九百八十九年八月十五日における最初の利子の支払については、Dは、当初の弁済期日又は日本国政府とザイール共和国行政評議会との間の交換公文により行われた債務救済措置に関する取極にいう弁済期日のいずれか遅い方の日から千九百八十九年八月十四日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(2) 最初の支払の後に引き続き行われる利子の支払については、Dは当該支払に先立つ支払の日から当該支払の前日までの間(両期日を含む。)の日数に等しい。
(ザイール側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をザイール共和国行政評議会に代わって確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百八十九年七月二十五日にキンシャサで
大蔵大臣 カタンガ・ムクマディ・ヤムトゥンバ
日本国特命全権大使 大村喬一閣下