円借款の供与に関する日本国政府とテュニジア共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府とテュニジア共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本使は、日本国とテュニジア共和国との間の友好関係及び経済協力を強化することを目的として資金還流措置の下でテュニジア共和国に対して供与される日本国の借款に関して日本国政府の代表者とテュニジア共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 百億円(一〇、〇〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、構造調整計画(以下「計画」という。)を支援すべく海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従って、テュニジア共和国に供与されることになる。
2(1) 借款は、テュニジア共和国政府と基金との間で締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び使用に関する手続は、なかんずく次の原則を含むことになる前記の借款契約によって規制される。
(a) 償還期間は、七年の据置期間の後十八年とする。
(b) 利子率は、年二・九パーセントとする。
(c) 支出期間は、借款契約の発効の日から二年とする。
(2) (1)(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3(1) 借款は、テュニジア共和国内の輸入者が調達適格国の供給者に対して行う支払で、計画の実施に必要な生産物の購入及び当該生産物の購入に付随する役務の購入のために当該輸入者と当該供給者との間で既に締結されたか又は締結されることのある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物及びそれらの国から供給される役務について行われる。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
4(1) テュニジア共和国政府は、テュニジア国庫の名義でテュニジア中央銀行に開設される見返資金勘定当座預金口座に同銀行が借款の円貨による支出額に等しい額をテュニジア通貨に振り替えるようにするための措置をとる。このようにして振り替えられたテュニジア通貨は、テュニジア共和国における経済及び社会開発事業計画に使用されなければならない。
(2) テュニジア共和国政府は、要請に応じ、日本国政府及び基金に対し、(1)にいう見返資金の使用についての報告を提出する。
5 テュニジア共和国政府は、3(1)にいう生産物又は役務が基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか、なかんずく従うべき国際入札の手続を定める。)に従って調達されることを確保する。
6 テュニジア共和国政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輸送に関し、両国の海運会社の公正かつ自由な競争を妨げることのあるいかなる制限も課さない。
7 テュニジア共和国政府は、基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらに関連してテュニジア共和国において課されるすべての財政課徴金又は租税を免除する。
8 テュニジア共和国政府は、借款が、適正かつ専ら3(1)にいう生産物又は役務を購入するために使用されることを確保するために必要な措置をとる。
9 テュニジア共和国政府は、要請に応じ日本国政府及び基金に対し、借款の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
10 両政府は、この了解から又はそれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。
 本使は、閣下が前記の了解をテュニジア共和国政府に代わって確認されれば幸いであります。
 本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
 千九百八十九年七月十一日にテュニスで
 日本国特命全権大使 西崎信郎
 テュニジア共和国
        外務大臣 アブデルハミド・エッシェイク閣下
(テュニジア側書簡)
 書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
 本大臣は、更に、閣下の書簡に述べられた了解をテュニジア共和国政府に代わって確認する光栄を有します。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
 千九百八十九年七月十一日にテュニスで
 外務大臣に代わる
        外務長官 ハビブ・ベン・ヤヒヤ
 日本国特命全権大使 西崎信郎閣下