円借款の供与に関する日本国政府とパラグァイ共和国政府との間の交換公文
円借款の供与に関する日本国政府とパラグァイ共和国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本使は、日本国とパラグァイ共和国との間の友好関係及び経済協力を強化することを目的として供与される日本国の借款に関して日本国政府の代表者とパラグァイ共和国政府の代表者との間で最近到達した次の了解を確認する光栄を有します。
1 九十六億九千六百万円(九、六九六、◯◯◯、◯◯◯円)の額までの円貨による借款(以下「借款」という。)が、全国道路整備事業計画(以下「計画」という。)を実施するため、海外経済協力基金(以下「基金」という。)により、日本国の関係法令に従って、パラグァイ共和国政府に供与されることになる。
2(1) 借款は、パラグァイ共和国政府と基金との間で締結される借款契約に基づいて使用に供される。借款の条件及び使用に関する手続は、なかんずく次の原則を含むことになる前記の借款契約によって規制される。
(a) 償還期間は、十年の据置期間の後二十年とする。
(b) 利子率は、年二・九パーセントとする。
(c) 支出期間は、借款契約の発効の日から五年とする。
(2) (1)にいう借款契約は、基金が計画の実行可能性を確認した後に締結される。
(3) (1)(c)にいう支出期間は、両政府の関係当局の同意を得て延長することができる。
3(1) 借款は、パラグァイの実施機関が調達適格国の供給者、請負業者又はコンサルタントに対して行う支払で、計画の実施に必要な生産物又は役務の購入のために両者の間で締結されることがある契約に基づいて行われるものを対象として使用に供される。ただし、当該購入は、調達適格国において、それらの国で生産される生産物又はそれらの国から供給される役務について行われる。
(2) (1)にいう調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で合意される。
(3) 借款の一部は、計画の実施のための現地通貨の需要に充てるために使用することができる。
4 パラグァイ共和国政府は、3(1)にいう生産物又は役務が、基金の調達のためのガイドライン(国際入札の手続が適用できないか又は適当でない場合を除くほか、なかんずく従うべき国際入札の手続を定める。)に従って調達されることを確保する。
5 パラグァイ共和国政府は、次のものを免除する。
(a) 基金について、借款及びそれから生ずる利子に対して又はそれらに関連してパラグァイ共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税
(b) 供給者、請負業者又はコンサルタントとして活動する日本国の会社について、借款に基づいて行われる生産物又は役務の供給から取得する所得に関してパラグァイ共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税
(c) 請負業者又はコンサルタントとして活動する日本国の会社について、計画の実施のために必要とする自己の資材及び設備の輸入及び再輸出に関してパラグァイ共和国において課されるすべての関税及び関連の財政課徴金
(d) 日本人の被用者について、日本国の会社(ただし、それらの会社が計画の実施のための供給者、請負業者又はコンサルタントとして活動する場合に限る。)から取得する個人所得に対してパラグァイ共和国において課されるすべての財政課徴金及び租税
6 パラグァイ共和国政府は、借款に基づいて購入される生産物の海上輸送及び海上保険に関し、海運会社及び海上保険会社の公正かつ自由な競争を妨げることがあるいかなる制限も課さない。
7 3(1)にいう契約に基づいて行われる生産物又は役務の供給に関連してパラグァイ共和国においてその役務が必要とされる日本国民は、作業の遂行のためパラグァイ共和国への入国及び同国における滞在に必要な便宣を与えられる。
8 パラグァイ共和国政府は、次のことを確保するために必要な措置をとる。
(a) 借款が適正にかつ専ら計画のために使用されること。
(b) 借款に基づいて建設される施設が、この了解に定められた目的のために適正にかつ効果的に維持され及び使用されること。
9 パラグァイ共和国政府は、要請に応じ、日本国政府に対し、計画の進捗状況に関する情報及び資料を提供する。
10 両政府は、この了解から又はそれに関連して生じることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
本使は、更に、この書簡及び前記の了解をパラグァイ共和国政府に代わって確認される閣下の返簡が、両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百八十九年六月二十八日にアスンシオンで
日本国大使 中曽根悟郎
外務大臣 L・M・アルガニャ閣下
(パラグァイ側書簡)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、前記の了解をパラグァイ共和国政府に代わって確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡が、両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることに同意する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
千九百八十九年六月二十八日にアスンシオンで
外務大臣 L・M・アルガニャ
日本国大使 中曽根悟郎閣下