平成20年7月8日
日程・場所
北海道洞爺湖にて開催されているサミット(主要国首脳会議)では、8日、ワーキング・セッション、ワーキング・ランチ及びワーキング・ディナーが開催され、以下の議題で議論が行われた。
(1) 世界経済(午前)
(2) 環境・気候変動(ワーキング・ランチ)
(3) 開発・アフリカ(午後)
(4)政治問題(ワーキング・ディナー)
主な論点
(1)世界経済(イ)冒頭総理より、G8は下記のメッセージを打ち出すべき旨述べた。
(ロ)総論
昨年のサミットに比べ、世界経済は減速し、不確定性あるも、その展望については基本的に肯定的との評価が大宗の首脳より示された。原油・食料価格高騰への対応、金融市場の一層の安定化、保護主義を防ぐことの必要性につき議論の一致がみられた。
(ハ)石油価格高騰
産消国間対話は双方の利益になるとして、その強化を主張する発言もあった。国際的なエネルギーフォーラムを創設し、各国のベストプラクティスをつくるべきとの意見について、多くの首脳から賛意が表明された。
(ニ)貿易
ドーハラウンドについて、交渉の成功裏の妥結の重要性について賛意が表明されたが、バランスのとれた合意が重要であり、農業分野のみを対象にした合意は不適切との発言もあった。
(2)環境・気候変動
(イ)冒頭総理より、化石燃料への依存を断ち切り、温暖化、資源枯渇等の課題に対処すべく、低炭素社会へ舵を切れるかどうかがかかった、重要なサミットである旨述べた。
(ロ)長期目標
G8は、2050年までに世界全体の排出量の少なくとも50%削減を達成する目標というビジョンを、UNFCCCのすべての締約国と共有し、採択することを求めることで合意した。
(ハ)中期目標
G8は、全ての先進国間で排出量の絶対的削減を達成するため、野心的な中期の国別総量目標を実施することで合意した。
(ニ)セクター別アプローチ
セクター別アプローチについては、中期目標の策定と各国の排出削減を進める上で有用な手法との評価を得た。
(ホ)気候投資基金
G8首脳は、途上国の努力を支援するための世銀の「気候投資基金」設立を歓迎、さらに多くの国の参加に期待を表明した。
(3)開発・アフリカ
(イ)総理より、MDGsの達成に向け、特に保健分野に重点を置き、新たな協力を打ち出す重要性及び食料価格高騰問題に対する国際社会の取組みの方向性を示す必要性につき述べた。
(ロ)開発総論
ミレニアム開発目標(MDGs)に向けた中間年にあたり、G8として目標達成に向けた決意表明がなされるとともに、対アフリカODAを2011年以降も増加させる必要性に言及した。
(ハ)保健
G8の過去のコミットメントの履行状況を示す一覧表とともに提出されたG8保健専門家報告書を歓迎するとともに、保健分野の行動原則を盛り込んだ「洞爺湖行動指針」を立ち上げた。
また、G8としてハイリゲンダム・サミットで合意した保健分野支援のための600億米ドル供与については、今後5年間で供与するとの目標に向けて取り組むことに合意した。
さらに、アフリカ諸国における保健従事者の比率が、世界保健機関(WHO)の基準値である「1000人当たり2.3人」まで高めることに合意した。
加えて、マラリア対策として、G8として2010年までに蚊帳1億張を提供することを目指すことに合意した。
(ニ)アフリカ
第4回アフリカ開発会議(TICADIV)の重要な貢献を歓迎。また、ジンバブエにつき議論が行われるとともに、アフリカが経済成長を続ける上でのガバナンスの重要性につき認識が共有された。
(ホ)食料価格高騰
冒頭、総理より、食料価格高騰の問題に対しては、緊急対応に加え、中長期的観点の政策が不可欠、本問題に関する支援の過半を提供し、世界の食料需給に大きなシェアを占めるG8が、国際社会の取り組みの方向性を示す必要があるとして、G8専門家グループの設置等につき発言。これに関し、食料価格高騰の複合要因と必要な対策につき議論した。
(4)政治問題
(イ)北朝鮮
総理より、1)北朝鮮が提出した申告の内容をしっかりと検証していくこと、2)北朝鮮の完全な核放棄の実現に向けて粘り強く取り組むこと、3)拉致問題を含む日朝関係を進展させることが必要である旨発言。これに対し、各国首脳より理解と支持が得られた。
(ロ)イラン
各国首脳より、イランの核開発に対する強い懸念を表明。また、「対話」と「圧力」を並行して進めることの重要性について一致した。
(ハ)アフガニスタン、中東和平
G8としてのコミットメントを強化することで一致した。
(ニ)スーダン
現状への懸念を共有。スーダン政府等に対する働きかけを強めるとともに、国連による平和活動等を支援していく必要性につき一致した。
(ホ)ミャンマー
サイクロン被害に関し、ミャンマーに対し支援要員受入れの更なる改善を求めること、また、すべての関係者を含む対話と政治プロセスの進展を求めることの必要性につき一致した。
(ヘ)ジンバブエ
各国首脳より現状への深刻な懸念を表明し、「ジンバブエに関するG8首脳共同声明」を発出した。